その夜、先輩は僕の前に現れた。
「え……えへへ。化けて出ちゃった」
先輩は本が好きだった。 オカルトも、ミステリーも。 漫画やアニメも好きだった。 だけど、別に友達がいないわけではなかった。 少ないのはたしかだったけど。 そして、いつも話が脱線気味になるのが欠点と言えば欠点だったけど。 だけど、あの日、先輩は死んだ。 いや、殺されたのだ。 乱暴され、そしてナイフでズタズタにされて死んでいた。 死体は美術館のそばに投げ捨てられていた。 だけど、先輩は、僕の前にもう一度だけ現れて。 そして、泣いていた。 痛い、と。 苦しい、と。 悔しい、と。 だから僕は。 ヤツらを殺す決意をした。 |