関東と関西の境界、東日本と西日本の境界、豚まんと肉まん、丸餅と切り餅、おにぎりとおむすび、あほとバカ

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5-1 関東と関西 どこで分かれる 

 
そもそも「関東」「関西」ということばの語源は何だろうか。文字通りに解釈すれば,関より東,関より西の地方という意味になる。ひとまずそれで正解なのだが,それではその関とはどこのことだろうか。また,いつ頃から使われていることばだろうか。
関東地方は,かつては坂東と呼ばれていた。坂東とは「坂」の東,この場合は箱根の坂(足柄峠)を指す。「関東」ということばは,「関東管領」「関東公方」などのことばに見られるように,室町時代以降に登場する。江戸時代には今の関東地方を「関八州」と呼んでいる。その場合の関とは,箱根の関所である。
それでは,箱根より西が関西なのかというと,そういうわけでもない。私は愛知県人だが,愛知県を関西と思っている人は私の周辺にはいない。静岡の人も同様だと思うが,むしろ文化的には静岡は関東に属するのではと思う。「関西」という名称は「関東」よりも古く,奈良時代あたりには使われていたようだ。百人一首にも詠まれている逢坂の関(京都と滋賀の県境)より西を当時は関西と称していた。鎌倉時代には,越前の愛発(あらち)の関,美濃の不破(ふわ)の関,伊勢の鈴鹿の関の3つの関所を結んだ線より西を関西と呼ぶようになった。ほぼ,現在と同じ範囲たが,だからといってその東の地方を関東と呼んだりはしない
つまり,関東,関西という呼称はそれぞれ東西で別個に成立した。ある特定の場所を境として区分されたわけではないのである。それでは,「西日本」「東日本」と分ける場合はどうなのだろうか。かつて,プロ野球で「東西対抗オールスター」というイベントがあったが,愛知県を本拠とする中日ドラゴンズの選手は西軍に所属する。しかし,同じプロ野球のイベント試合でも,「出身地別東西対抗戦」になると愛知県出身の選手は東軍に所属する。こちらの東西区分もけっこうアバウトでケースバイケースのようだ。静岡県人や富山県人の意見も聞いてみたいものだ。
 
                         

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5-2 食べ物を比べてみれば・・・


 
●「豚まん」と「肉まん」
 
大阪へ行けば,所要駅はもちろんどこのデパ地下にも必ず売り場があり,それぞれ行列ができるほど人気を博しているのが,『551蓬莱の豚まん』である。一日にざっと10万個は売れているそうで,私も大阪へ行ったときはいつも買って帰る。「豚まん」とは豚肉が入った中華まんじゅうのことで,関東では「肉まん」という。大阪ではなぜ「豚まん」なのだろうか。関東では「肉」といえば食肉全般,牛肉,豚肉,鶏肉などを指すが,関西では「肉」といえば牛肉を指す。「豚肉」は「豚肉」,「鶏肉」は「かしわ」という。「牛肉入っているわけちゃうのに肉まんゆうたら変やんか」となるわけだ。同様にお好み焼きの場合,牛肉と玉子入りは「肉玉」,豚肉と玉子入りは「豚玉」という。
 なぜ,肉といえは関西では牛肉なのか。これは,関西と関東の食文化の違いにより,もともと関西は豚肉より牛肉が好まれる。松阪牛,神戸牛,近江牛など関西には牛肉のブランドも多く,一戸あたりの牛肉の消費量は関東よりも多い。逆に関東は豚肉の消費量が関西より多い。肉じゃがの肉も関西では牛肉,関東では豚肉が主流とか。

         
←これが『551蓬莱の豚まん』
       
・551蓬莱の豚まんのホームページ http://www.551horai.co.jp/

牛肉・豚肉に対する一戸あたりの家計支出 <2000年総務庁調査> 
  牛肉に対する支出   豚肉に対する支出
関東7都県平均  19,776円 関東7都県平均  22,209円
近畿7府県平均  43,418円 近畿7府県平均  20,110円


 ●「おにぎり」と「おむすび」
 全国どこのコンビニでも,一番の売れ筋は「おにぎり」だという話を聞いたことがる。この「おにぎり」,関西では「おむすび」という。関東の「おにぎり」と関西の「おむすび」,そのの違いは何だろうか?関東では三角型が主流で,海苔でくるんだりする。それに対し,関西は俵型,海苔でも巻くが,ゴマをふりかけたりする。ただ,関東・関西でも葬式や法事,祝い事などによって三角型,俵型を使い分ける地方があり,また,他にも太鼓型,ボール型のおにぎりが地方によっては見られる。
 また,いなり寿司の形も,関東では四角だが,関西では三角である。
 ・全国のおにぎり情報のホームページ http://www.nhk.or.jp/shokuryo/onigiri/index.html

 ●「こんぶ」と「かつお」
 日清のカップうどん『どん兵衛』のつゆの味が関東と関西では違っていることは,最近ではけっこう知られるようになった。『どん兵衛』のパッケージにはこんな表示がある。
  東日本:かつおと昆布のまろやかなコクつゆ
  西日本:昆布風味の柔らかなうまみのつゆ
 関西向けの『どん兵衛』のスープは,鰹と昆布だしに薄口しょうゆを使用し,関東向けのものは鰹だしに濃口しょうゆを使用している。これはうどんに限らず多くの料理でダシをとるとき,関西では昆布から,関東では鰹節からとることが多いからである。鰹節(かつおぶし)は勝男武士に通じるということで,武家社会の江戸で重宝がられた。一方,昆布といえば北海道が産地だが,江戸時代は,東北地方東岸の太平洋航路より日本海を通る西回り航路が発達しており,北海道の昆布は江戸ではなく,「天下の台所」大阪に運ばれた。そこで大阪では昆布の加工業が発達し,とろろ昆布のみそ汁,塩昆布のお茶漬けなどが庶民の食卓にはポピュラーとなった。
 なお,『どん兵衛』の味付けが変わるのは,富山あたりから関ヶ原,鈴鹿山脈あたりだそうだ。ちなみに,マルちゃんの『赤いきつね』やエースコックの『力うどん』などもやはり,関西と関東では味付けが異なっている。それぞれ,パッケージの横にE,W(エースコックではO,T)と表示されているので一度調べてみよう。

 ●「きつねうどん」と「たぬきそば」
 「時そば」という落語があるが,上方落語ではこれが「時うどん」という話になる。人々の好みの麺類は,
関東ではそば関西ではうどんということはよく知られている。これは,温暖な西日本に比べて,気候の冷涼な信州や甲州,北陸地方では悪条件の土地でも育ちやすいそばの栽培がさかんだった事情が大きい。ただ,関西と関東ではうどんやそばのメニューの呼び名がいろいろ違い,それがややこしい。何も具が入っていないうどんを関東では「かけうどん」,関西では「すうどん」という。ややこしいのは次の場合である。
 ・油揚げの入ったうどん→きつねうどん(共通)
 ・油揚げの入ったそば→きつねそば(関東),たぬきそば(関西)
 ・天かすの入ったうどん→たぬきうどん(関東) ・天かすのはいったそば→たぬきそば(関東)
 つまり,関西には「きつねそば」や「たぬきうどん」というメニューはなく,「たぬきそば」は関西と関東ではまったく違ったメニューとなる。天かすの入ったうどんやそばは関西ではどう呼ぶのだろうか。関西では天かすのトッピングは本来タダであり,天かす入りうどんやそばのメニューはない。

 ●「丸餅」と「切り餅」
 私がまだ小さい頃,「サザエさん」の漫画でカツオ君が火鉢でお餅を焼いているシーンの絵を見て不思議に思ったことがある。それはお餅が四角く描かれていたことである。大阪で育った私にとっては,鏡餅から大福餅,お雑煮に入れる餅まで餅といえばすべて丸いものであった。今は愛知県に住んでいるが,当地の知人たちは「丸い餅なんて変だがや」と思っている。藤原道長の詠んだ有名な歌に「望月(もちづき)の 欠けたることもなしと思えば」という下りがあるが,望月とは満月,餅のように丸い月という意味であり,正月の餅も丸く円満に通じるということで,古来,餅は丸いものであった。しかし,一つ一つ丸めるのは手間であり,効率アップの製餅法として切り餅が誕生した。「サトウの切り餅」というテレビCMがあるが,当然,関西では「サトウの丸餅」が売られている。

 ●「マグロ」と「タイ」
 寿司といえば江戸前,中でも江戸っ子が好んだネタはマグロである。何たって江戸時代には東京湾でマグロが捕れたのだから。古典落語に「目黒のサンマ」という話があるが,サンマだって東京湾で捕れた。前述の鰹もそうだが,関東では赤身の魚が好まれた。一方,関西で寿司といえば箱寿司,これには瀬戸内海で捕れたタイなど白身の魚が多く使われた。関西で好まれる白身の魚には他にはタチウオやハモなどがある。近年は,その差は少なくなっているが,それでも下記の統計のようにまだ魚に対する東西の嗜好の差は大きい。

マグロ・タイに対する一戸あたりの家計支出 <総務庁調査2009〜2011平均> 

  マグロに対する支出   タイに対する支出
 東京23区    8,568円  東京23区    997円
 大阪市   4,278円  大阪市   1,767円

                        
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5-3 50ヘルツと60ヘルツ 東西で周波数が違うわけ・・・

 冷蔵庫や洗濯機など家電製品を使用する場合,関東では50ヘルツ,関西では60ヘルツと電力の周波数が違うことはよく知られているが,どうしてだろうか。これは,日本で初めて発電が始まったときの経緯による。明治29年,東京電灯(東京電力の前身)はドイツのAEG社から50ヘルツの発電機を購入したが,その翌年,大阪電灯(関西電力の前身)はアメリカのGE社から60ヘルツの発電機を購入して操業を始めた。以来100余年,新潟県の糸魚川から静岡県の富士川を結ぶラインを境として,50ヘルツと60ヘルツの地域に分かれてしまった。その後,周波数を統一する動きは何度かあったが,そうするとどちらかの地方の電気製品は使えなくなってしまう。今後も統一は多難なようだ。もっとも,最近の家電製品はほとんどが共用になっている。
 なお,JRの在来線もやはり途中に50ヘルツと60ヘルツの境があるが,東海道新幹線は東京まで全線が60ヘルツの電気を使用している。


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5-4 エスカレーターの乗り方まで違う大阪と東京・・・

  道路交通法では,人の歩行は右側と定められているが,地下街やラッシュ時の駅の構内の人の流れを見ると,左側通行が慣習となっている。そのせいか東京の各駅にあるエスカレーターでは,人々は左側の手すりを持って立ち,右側は急ぐ人のために空けられている。ところが,大阪ではこの逆で,人々は右側に立ち,左側を急ぐ人が通る。この東西の違いはどこから来るのだろうか。このような説がある。東京が江戸と呼ばれたころは武士の町,武士はとっさの場合,いつでも刀が抜けるように左側を歩いていた。いっぽう大阪は商人の町,大事な風呂敷包みは右手で抱えるので,それを守るために右側を歩いていた。その名残りではないかと。話としてはおもしろく,思わず納得してしまいそうだが,もちろんそんなはずはない。
 大阪では,1960年代の終わり頃,日本で初めて動く歩道が阪急梅田駅に登場した。この動く歩道は,電車の乗り換え時間を短縮するために設けられたもので,エスカレーターとは違って歩道上を歩くのが本来の利用法である。実際当初はそのようにPRされた。そもそも動く歩道上で立ち止まっていたのでは,歩くよりも遅くなってしまう。ところが,エスカレーターのように立ち止まってしまう人が後を絶たない。そこで,アナウンスなどで立ち止まる人は右へ寄って左側を歩く人のために空けてくださいと呼びかけられた。それがエスカレーターでも大阪では左側をあけることにつながったのだろう。
 大阪が欧米と同じ国際ルールに合わせ,東京が日本の高速道路では右側が追い越し車線なのでそのルールに合わせたという説もある。

 ○大阪市内のエスカレーター  ○東京都内のエスカレーター


                         

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5-5 関東の鈴木さん,関西の田中さん・・・

 「鈴木」姓と「田中」姓は,全国の苗字ランキングの上位を占める日本のもっとも代表的な名字である。しかし,その分布を見るとまさに対照的である。「鈴木」姓は東海地方から関東地方に多く見られ,愛知,静岡,神奈川,東京,千葉,埼玉,茨城,栃木の8都県で第1位,いっぽう「田中」姓は西日本に多く,福井,滋賀,京都,大阪,兵庫,鳥取,岡山,広島,福岡,熊本の10府県で第1位となっている。私は大阪出身だが,田中君,田中さんは周囲に何人もいたが,幼稚園から高校まで私の周囲には鈴木さんは一人もいなかった。ただ,今は愛知県に居住しているので多くの鈴木君,鈴木さんを知っている。
 さて,東海・関東にはなぜ「鈴木」姓が多いのだろうか。「鈴木」姓は熊野神社に由来する。神に豊作を祈る儀式の際,熊野神社では稲穂を積み重ねた上に「ススキ」と呼ばれる神聖な棒を立てた。この「ススキ」を由来として,熊野神社の神官が「鈴木」姓を名乗り,さらに神社に縁のある人々のあいだに「鈴木」姓が広まったという。東海から関東には熊野神社の分社が多く,「鈴木」姓の分布と一致する。
 西日本には「田中」姓が多いが,「田中」姓以外でも,大阪府内の上位30傑の名字を見ると,吉田,山田,前田,上田,池田,岡田,藤田と「田」の字のつく名字が多い(東京は田中,吉田,山田,池田の4つ)。この傾向は西日本の他県でも同様で,西日本が東日本より稲作がさかんだったことを示している。
 なお,最後に東京と大阪の上位10傑の名字を紹介するが,このランキングを見て,大阪は東京に比べて画数の少ない名字が多いことに気付く。明治初期に平民が名字を名乗ることになった際,形式を重んじる武士の都市であった東京に対し,商人の町大阪の人々は合理性を重視し,画数の少ない名字を選んだとか。


 
 ○東京と大阪の名字ベスト10

東 京 1鈴木  2佐藤  3高橋  4田中  5小林  6渡辺  7中村  8伊藤  9加藤  10吉田 
大 阪 1田中 2山本 3中村 4吉田 5松本 6井上 7山田 8山口 9高橋 10小林

 
                         

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5-6 「マクド」「ドチキン」「ミスド」って何だ?・・・

 関東・関西を問わず,今も昔も庶民は長いことばを短く略して使うのは世の常だが,その略し方には関東人,関西人の気質がそれぞれのことばに現れている。たとえば,ハンバーガーチェーンのマクドナルド,関東では「マック」というが,関西では「マクド」となる。ケンタッキーフライドチキンは,関東では「ケンタ」,関西では「ケンチキ」「ドチキン」という。さらに関西の若者のなかにはミスタードーナツを「ミスド」,「ハーゲンダッツ」を何と「ハゲ」なんて言ったりする者もいるらしい。はっきり言って関東のほうがスマート,関西はダサい感じでとてもおいしそうではない。ただ,関西以外の人から見ればの話である。「どアホゥ」「ど根性」など関西人は「ど」の音に強い郷愁を持っているのだ。
 ある大学教授が全国の大学生を対象にマクドナルドをどう呼ぶかを調べた記録があるので紹介する。
「マック」→北海道,福島,関東の6都県,新潟,静岡,岡山,九州西部,沖縄
「マクド」→近畿4府県,石川,鳥取,島根,四国,
「マクドナルド」→愛知,長野,千葉
 他の県は「マック」と「マクド」混在している

 なお余談だが,一太郎のATOK14は「まくど」と入力すれば「マクド」に変換するが,MSIME2000は変換しなかった。
 
                         

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5-7 人類学から比べてみると
 日本人のルーツは,旧石器時代につながる南アジア系の縄文人と北アジア系の渡来弥生人が混血して形成されたという見方が,今日では有力である。弥生時代以降2000年を経て,混血はかなり進んだが,それでも東日本と西日本の人々の間には,人類学上からもさまざまな違いが見られる。

    東日本<縄文系>     西日本<弥生系>        
 小柄だが,筋肉質の体型 体 型  大柄で,下半身がどっしりした体型
 彫りが深く,角張った顔
 二重まぶたが多く,眉が濃い   
顔 型  鼻が低く,のっぺりした楕円形の顔
 一重瞼が多く,眉は薄い
 B型,O型が多い
 東北,北海道ではよりこの傾向が顕著
血液型  A型が多い
 近畿以西では,28%以上
 蹄状紋が多い 指 紋  渦状紋が多い


            中日新聞1992.11.8











  
                         

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5-8 東京や大阪が全国のトップレベルの生産を誇る農作物とは?・・・

 東京都と大阪府,どちらも農業という産業とはもっとも縁遠いイメージの都道府県である。事実,農家数,耕地面積,農業粗生産額など農業関連の多くの統計では,東京都と大阪府が47都道府県中46位と47位を占めている。しかし,そんな農業不振の両地方だが,品目別に見ると結構健闘している作物もある。
 東京の場合は何といっても
小松菜(コマツナ)である。その産地は都内でも比較的畑が広がる郊外ではなく,意外にも都内の江戸川区で,市区町村別の小松菜の生産高はナンと江戸川区は全国一である。東京都全体としてもつい最近まで全国一であったが,この数年はとなりの埼玉県の生産が大きく伸びている。なお小松菜という名は,江戸時代中頃,8代将軍徳川吉宗が南葛飾郡小松村(現在の東京都江戸川区)で鷹狩りをした際に立ち寄った農家で食べた青葉汁がたいそう気に入り,その青菜が村の名をとって「小松菜」と名付けられたという。地元の江戸川区では,焼酎,アイスクリーム,おやき,うどんなど小松菜商品が多く開発されている。また,マイナーな作物のため,金額的にはそれほどではないが,独活(うど)の生産も東京都が日本一である。
 大阪の特産野菜は
春菊(シュンギク)である。葉の形が菊に似ているところから関西では菊菜とも呼ばれている。大阪府南部の泉州地方が産地で,東京市場では千葉産が中心だが,関西の人々が食べる春菊は圧倒的に泉州産である。また,これも意外だが,かつて(といっても昭和初期までさかのぼるが…),大阪府が日本一のぶどう産地だったことは知られていない。主産地は河内地方の丘陵地帯だ。戦後は高度経済成長の影響を受け,ぶどう園が宅地化されるなど経営面積は縮小され,現在は全国第7位である。

       ○小松菜の生産高            ○春菊の生産高
     
@ 埼玉県   11520t
A 東京都   7860t
B 神奈川県   7250t 
C 千葉県   5600t
D 茨城県   5400t
          
@ 千葉県   4340t 
A 大阪府  3540t
B 群馬県  2270t
C 茨城県  2130t
D 兵庫県  1560t
                                              <2010年>

 
 
                         

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5-9 アホとバカの分布・・・

 「アホちゃうか」「そんなアホな」「アホくさ!」「アホかいな」大阪人は「アホ」ということばを連発するが,「アホ」と言われてもムキになって怒ったりはしない。しかし,「バカ」と言われるとムッとする。いっぽう,東京人は「バカ」と言われるより,「アホ」と言われるほうがムッとする。大阪人にとって「アホ」と言うことばは他人を罵倒する意味はあまりなく,会話を潤滑にする間投詞のようなものである。だから,「バカにする」と言うように他人を軽蔑したり,「大馬鹿者」みたいな最上級のことばは「アホ」にはない。
 ただ,この「アホ」ということが使われるのは近畿圏のみで,西日本でも西へ行けば行くほど「バカ」がよく使われる。ある言語学者の研究に寄れば,「アホ」ということばは京都が起源で,京都を中心に半径200km以内がアホ圏で,その外側はバカ圏になるそうだ。ちなみは私の住む愛知県では「たわけ」という。

  ●「アホ」の語源…秦(中国)の始皇帝がつくった阿房宮に由来するという説がある。阿房宮は周囲2kmの中国史上最大の宮殿で,それに巨費や投じ,多くの農民を工事に動員したことが秦の滅亡を早めた。愚かなことをしたという意味から阿房→阿保→アホウ→アホになった。
●「バカ」の語源…仏教の梵語で愚かと言う意味をmakaという。それを中国では「莫迦」という字漢字で表した。それが日本語読みして「バカ」となった。「馬鹿」は当て字である。
●「たわけ」の語源…「たわけ」とは田を分ける,すなわち,相続の際に,田をすべての子に平等に分け与えていると,結局は誰もが狭い田になり生活が立ちゆかなくなる。田を分けるのは愚かなことだと言うこと。
 ただ,これらは俗説で,必ずしも正しい語源かどうかはわかりません。

  
                         

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5-10 東西の高級住宅地 田園調布Vs芦屋・・・

 高級住宅地の代名詞ともなっている田園調布、住民の顔ぶれを見ると,あの長島さんや野村元阪神監督,石原都知事,民主党の鳩山代表,歌手の五木ひろしさんなど有名人のオンパレードだ。さらに,皇太子妃雅子様がご卒業された雙葉学園、橋本竜太郎元総理が卒業された田園調布小学校などもあり、文教地区としても知られている。
 田園調布は、大正時代に東急電鉄を創設した渋沢栄一によって,ロンドン郊外にあったガーデンシティをモデルにして,開発された。駅を中心に道路は放射状に伸び,学校,公園,テニスコートなどが計画的に配置され,
緑豊かな田園都市を目指した。住環境を守るため,勝手にマンションやアパートを建てたり,店を開いたり,土地を分割することも住民の協定で禁止され,現在の田園調布に発展した。

 一方の芦屋,かつてブルジョア階級の有閑夫人を指す「芦屋夫人」と言う言葉まで生んだ阪神間随一の高級住宅地である。大阪の豪商蒔岡家の4姉妹を描いた谷崎潤一郎の名作「細雪」の舞台としても知られている。芦屋もかつてはさびれた漁村であったが,阪神電鉄や阪急電鉄が開通すると,明治末より蒔岡家のような大阪の船場の金持ちが,別荘地として六甲山麓の丘陵地に大きなやしきを構えるようになった。昭和に入ると,ホンコンの外人居住地をまねた開発が進み,一軒一軒がひろい敷地を持つようになった。早くから上下水道や電力・電話線の地下埋設などが進み,静かな住環境を守るため,市当局もパチンコ店などの進出を規制してきた。
 ただ,同じ芦屋市でも,湾岸の埋め立て地には高層マンションが林立するようになり,山の手地区とは異なる景観がみられるようになった。田園調布でも,近年は地価の高騰のために相続税が支払えず,土地を手放す人がふえ,住民や景観が変わりつつあるという。
 
 ところで,田園調布や芦屋では一戸建て住宅の価格はどれほどなのだろうか。当然,誰もが気になるところであり,かなりインターネットで検索してみたが,残念ながら田園調布で売りに出されている物件を見つけることはできなかった。芦屋の場合,山手地区にいくつかの物件があったが,最低8500万(56坪木造平屋)〜最高4億7000万(260坪RC2階建)であった。ちなみに,2002年の1平方mあたりの公示地価は,田園調布4丁目が59万円,芦屋市山手町38万円である。もっとも金額だけならば,千代田区五番町か214万円と住宅地のなかではもっとも高い。

 
 
                         

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5-11 関東と関西 鉄道比較・・・

●JRと私鉄,どちらが便利
 大阪の難波駅と言えば,南海電鉄の一大ターミナル駅,また名古屋へのノンストップ特急が発着する近鉄難波駅もある。しかし,JR難波駅は大阪人でも年配の方の中には今でも「そんな駅,ほんまにあるの?」と駅の存在そのものを知らない人すらいる(JR難波駅は1990年代までは『湊町』駅だった)。南海近鉄両難波駅の毎日数十万人の通勤通学の人の波に比べ,JR難波駅は閑散としたものである。これは関西では他の地域でも同じで,JR堺市駅は,とても人口80万の大都市堺の玄関駅とは思えない。デパートもあり,大都市堺の玄関駅と言えるのは南海堺東駅である。近鉄奈良駅に比べ,JR奈良駅も国際観光都市の玄関とは思えないくらい寂しい。
 省線と呼ばれた時代から,東京駅や上野駅,新宿駅を中心にJRの鉄道網が充実している東京に比べ,大阪は,京都,神戸,奈良,和歌山どの方面へもJR線より私鉄の方が発着の列車本数も多く,だんぜん便利である。なにせ大阪府内にはJRの駅が86あるが,私鉄の駅はその3.4倍の296駅もある。
 これは,徳川幕府以来,お上の力が強い首都東京と,商人の町であった商都大阪の土地柄の違いだろうか。

    
※追記 上記の文を書いたのはこのサイトを開設した10年ほど前,その後,関西地区のJRの巻き返しはすさまじく
         私鉄の客をどんどん奪っているとか。近々,そんなことも調べてみます。


  ○首都圏の鉄道利用比              ○関西圏の鉄道利用比
  

  ●東西,私鉄NO.1は?  近鉄の新型観光特急「しまかぜ」


 












 2013年3月,近畿日本鉄道が伊勢神宮式年遷宮に合わせて投入した。展望車両やカフェ車両、和風個室・洋風個室とグループ旅行に適したサロン席がグループ席車両に設置されている。
 営業キロ  (km)  輸送人員 (百万人)
近 鉄  595.2 東 急  874.8
名 鉄  543.7 東 武  811.8
東 武  463.3 阪 急  753.7
西 武  175.4 近 鉄  743.3
南 海  165.7 小田急  630.4
阪 急  141.1 西 武  607.2
西 鉄  133.8 京 王  518.7
小田急  120.1 京 急  407.5
東 急  100.7 名 鉄  380.3
10 京 成   89.5 10 京 阪  378.8
 赤は首都圏の私鉄
 青は関西圏の私鉄
 黒はその他の地方の私鉄

 大手私鉄と呼ばれる電鉄会社は14社ある。そのうち東京を中心とする首都圏に7社,大阪を中心とする関西圏に5社,あとの2社は名古屋を中心とする名鉄,福岡を中心とする西鉄である。
 そのうち,営業キロの一位は近鉄,正しい名称は近畿日本鉄道,大阪,京都,奈良,三重,岐阜,愛知の6府県に路線が延びている。従業員数,旅客運賃収入,旅客輸送距離,それらの部門も第一位で,文句なしの日本一の私鉄である。ただ,輸送人員では,営業キロでは第10位の東急が第1位となっている。これは,東急の路線が東京南部から横浜にかけての人口集中地帯に,東横線,田園都市線,大井町線など短い路線を網の目のような張られているためである。そのため,輸送人員は多くでも,一人あたりの乗車キロは9.1キロともっとも短い。一方近鉄は,一人あたりの輸送距離でも,18.9キロとやはり,大手私鉄中ダントツの第一位である。
 なお,あの阪神は,営業キロはたった40km,高橋尚子選手なら2時間あまりで走りきってしまう距離で,営業距離では大手14社中最下位,電鉄会社としては案外ミニ会社だ。地方にはもっと長距離の第三セクターの鉄道だって珍しくない。

  ●運賃を比べると
○1キロあたりの運賃
( 乗車区間によってことなるが,概ね300円前後の区間で算出した。)







 首都圏  関西圏その他
営団地下鉄急   9.7円  阪 神   9.7円
 東 急  10.0円  阪 急  10.0円
 京 王  11.3円 大阪市営地下鉄  16.3円
 西 武  11.7円  近 鉄  20.0円
 小田急  12.0円  京 阪  21.0円
 東 武  15.8円  名 鉄(愛知)  24.2円

 全体的に見る限り,鉄道運賃の安さでは関東の勝ちのようだ。しかし,東西を問わず,人口密度の高い地域を走る鉄道がやはり乗車効率がよいため,運賃は安くなる傾向がある。近鉄,名鉄,東武の営業キロ上位3社は,路線が長い分,山間部など非都市部の赤字線をかかえており,運賃はやや高めとなっている。
 しかし,ベイエリアの新交通システムとして登場した「ゆりかもめ」は全区間11.9キロを乗車すると370円,1キロあたりの運賃は31円,大阪南港を走るOTSは全区間7.9キロの運賃が440円,1キロあたりでは何と56円にもなる。海底トンネルなど高額の建設費がそのまま運賃にしわよせがきている。なお,大阪北部の千里ニュータウンを走る北大阪急行は,初乗り運賃だけをみれば今どきたったの80円だ。
 
  ●私鉄副業いろいろ
 西武ならパルコそれに西武ライオンズ,京王は京王プラザホテル,京成は東京ディズニーランド,西でも,近鉄はバッファローズや志摩スペイン村,そして百貨店,阪神はもちろんタイガース。私鉄ならば,今やどの会社も鉄道部門以外に流通,不動産,観光レジャーなど多くの関連会社を持っている。しかし,その草分け的存在は西の阪急であろう。
 阪急グループの創業者小林一三は,その独創的な会社経営により私鉄事業の先駆者として永遠に位置づけられている。どうすれば鉄道利用者が増えるか,彼の発想の原点はそんな当たり前のところにあった。ターミナルにデパートがあれば買い物客が電車を利用する,沿線にレジャー施設があれば,沿線に住宅地があれば,そんな発想から阪急百貨店,温泉が発見された宝塚にレジャーランド建設そして少女歌劇,分譲住宅の販売など沿線居住者から生じる需要をすべて丸抱えする総合生活産業としての基盤を築いた。のちにこの手法は,多くの私鉄会社が取り入れるところとなった。
 今,阪急梅田駅周辺には,地上にはホテル阪急インターナショナル,阪急グランドビル,阪急ターミナルビルなどの高層ビル群,大観覧車のあるHEP・FIVEやHEP・NAVIOなどのレジャービル,阪急百貨店,地下にも単独地下街としては日本最大の阪急三番街などがあり,一大文化エリアが形成されている。ここまで規模の広いものは首都圏にも見られない。なお,駅としても阪急梅田駅は,10のホームを持つ日本最大の私鉄ターミナル駅で,梅田ー十三間は私鉄としては日本で唯一復々々線区間である。

  ●鉄道はじめて対決
【二階建て電車】
 路面電車ではホンコンの二階建て電車が有名だが,大阪の市電が開通したときも1両だけだか,同様の2階建て電車がつくられたことがある。しかし,本格的な2階建て電車は,1958年,近鉄が大阪−宇治山田間に登場させた「ビスターカー」が世界最初である。二階建てにすれば,台数を増やさす,プラットホームの延長工事をしなくても倍近い客を乗せることができ,乗客は高いところから景色を楽しめるという一石二鳥のアイデアだった。60年代には,大阪から伊勢方面への修学旅行専用列車の二階建て「あおぞら号」も登場した。もっとも,2階から景色も普通の車両からの景色も大差ないなというのが私の乗車体験の感想だ。
【冷房・テレビ】
 最初に冷房特急を走らせ,テレビ付き特急を走らせたのも近鉄が最初だ。その後,京阪の特急などでもテレビが設置されたが,ビデオではなく生番組であったため,終点につきもう降りなければならないのに番組はまだ途中,こりゃ不便だと思ったのが私の感想だ。
【自動券売機】
 これは以外と古い。大阪で1909年(明治42)に入場券の自動販売機が設置されている。「入場券発売函」と呼ばれたそうだ。東京では,1926年(大正15)に東京駅と上野駅に,やはり入場券の「印刷販売機」が設置されたという記事が当時の鉄道官報に記されている。また,1928年(昭和2)には,上野−浅草間に開通した日本初の地下鉄で,10銭硬貨を入れると改札が通れる自動改札みたいなものが登場した。
【自動改札システム】
 1967年,阪急が北千里駅の開業に合わせて日本で初めて導入した。利用者はニュータウンの若い住民が中心だったため,それほど戸惑いはなかったようだ。ただ,チラッと見せるだけでよかった定期券をいちいち機械に通さねばならなくなってこりゃ不便になったと思ったのが私の感想だ。
 なお,東京で自動改札が本格的に導入されたのは,なんと大阪の23年後の1990年である。
【プリペイドカード】
 ここまでの「はじめて対決」は西の圧勝だが,このプリペイドカードの導入は東が先だ。切符を買わずに改札口を通れる「イオカード」はJR山手線が1991年から採用した。実は関西でも,阪急が導入を計画していたが,プリペイドカードにおいては西は1年遅れた。 
【車内電話サービス】
 これも東が早い。箱根,熱海,伊豆といった観光地を沿線に持つ小田急は,早くから特急のサービスアップに力を入れていた。1949年に喫茶スタンドを設置,1963年には2階運転席を採用し先頭展望室,1980年には車内電話サービスを,いずれも私鉄としては初めて実現した。また,小田急の特急はロマンスカーと呼ばれるが,時速140kmという狭軌の列車としては世界最高スピードも記録した。
 
                         

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5-12 成田空港 Vs 関西空港・・・
  
○ 成田空港(新東京国際空港)と関西国際空港の比較

 成 田 空 港  関 西 空 港
  1978年 開 港 年   1994年
  940ha
<1065ha>
敷地面積
<全体計画>
  1050ha
 <1380ha>
    A 4000m
   B 2180m
滑 走 路
 <予定>
 A 3500m
 B 4000m
 3506万人 旅 客 数(05)  1643万人
 223万t 貨 物 量(05)   85万t
 188,820 発着回数(05)  112,579回
 35カ国87都市 就航国・都市数  30カ国66都市
 6:00〜23:00 利用時間  24時間
 948,000円 着陸料
(B-747機)
 908,500円
鉄道(成田−上野)60分
バス(成田ー東京駅)80分
都心とのアクセス 鉄道(関空−難波)35分
バス(関空−大阪駅)50分

 わが国を代表するハイテクの両空港だが,人口1000万の首都東京の玄関だけあって,利用頻度では当然のことながら関空よりも成田が勝る。離着陸機のほとんどはボーイング747級の大型機,38カ国51社のエアラインが乗り入れている。ただ,乗降旅客数では成田空港は日本第2位,1位は羽田空港で成田の2倍以上,年間500万人を越える利用者があり,アジアNO.1を誇っている。ちなみにアジアではソウル・ホンコン・バンコクなどの空港も,乗降旅客数で成田を上回っている。また,成田空港は,日本を代表する国際拠点空港ではあるが,スケール的には下の表からも分かるように世界の主要空港からはかなり見劣りする。また,成田空港は着陸料金が高いことでも有名で,世界の主要空港の2〜10倍の高額となっており,さらに24時間利用ができないため,世界の航空会社からは評判が悪い。そのため,東アジアの国際航空路の中心の座は,今や最近新空港を開設したソウルやホンコンに奪われている。
 さて,関西空港たが,海上空港ということで膨大な建設費を要したため,やはり,着陸料は高く,こちらも国際的評価は高くはない。しかし,利用頻度では成田や羽田に劣るものの,2007年には4000mのB滑走路が完成し,また,海上立地ということで騒音問題がなく,24時間離着陸が可能という点,さらに都心までのアクセスという点では関空は成田に勝っている。また,ほとんどが国際線の成田に対し,関空は国内線も多く,国内各地への乗り継ぎが便利である。
 この勝負,利用頻度では成田,機能・便利さでは関空の勝ち,ただ,国際的な評価は両空港ともイマイチと言ったところだろうか。
なお,通常の埋め立て地の場合は垂直に切り立っているが,関空の岸壁はなだらかな斜面が海底まで続いている。これは,斜面にすることによって太陽の光があたる面積を増やし,海草が繁殖しやすいようにするためである。さらに周辺の海底には魚礁も設置しており,ふきんは多くの魚が生息している。関空は,環境への配慮と言う点では世界に誇れる空港であり,また,そのノウハウは。やはり海上空港である中部新空港の建設にも生かされている

 ○ 世界の主要空港の比較
空港名 国名 面積 滑走路
ニューヨーク・ケネディ アメリカ  2,052  4
パリ・ドゴール フランス  3,104  2
ロンドン・ヒースロー イギリス  1,141  3
シンガポール・チャンギ シンガポール  1,663  2
バンコク・ノングハオ タイ   3,200  4
クアラルンプール マレーシア 10,000  5
仁川 韓国  1,174  4
ホンコン 中国  1,248  2
新東京国際・成田 日本   710  2
関西国際 日本   511  1
中部国際(セントレア) 日本   470  1
東京国際・羽田 日本  1,100  3


                         

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5-13 大阪人の歩く速さは世界一  



















青信号までの待ち時間を表示











大阪以外にも棒グラフタイプの待ち時間表示をする信号機を設置している都市が増えている。
 JR大阪駅東口の横断歩道には,ちょっと変わった信号機が設置されている。この信号機は,せっかちな大阪人のために,青信号までの待ち時間が表示(写真A)されているのだ。5秒刻みにカウントダウンされるが,早めに渡りだすのを防ぐため,残り10秒からは表示は変わらない。それでも10秒表示が出ると,お構いなしに渡り始めるフライングがの人が多い。大阪人のせっかちは次のようなデータからもわかる。
   ●交差点の見切り発車 <前の信号ではなく,横の信号を見ていて青から黄や赤に変わると発車>
     信号が変わる何秒前に発車   大阪=4.92秒前  東京=1.84秒前に発車  ロンドン=0.37秒
   ●赤信号を無視する道路横断 <幅が6.8m以下の道路を車が来ない場合,赤信号でも道路を渡る。>
      信号を無視する歩行者の割合  大阪=61.6%   東京=33.8%
   ●通行人の歩行速度 <街中の通行人はどれくらいの速度で歩行しているか>
    大阪=秒速1.60m  東京=秒速1.56m  パリ(フランス)=秒速1.46m  マニラ(フィリピン)=秒速1.20m

 大阪は堂々?の世界一位,ただ東京も世界二位,日本人全体がせっかちなのだ。時速に換算すると,大阪の時速5.8mに対し,マニラは4.2km。フィリピンの人がのんびりしているというより,大阪人のせっかちが特異なのだ。しかし,大阪人のせっかちが,インスタントラーメンや電子レンジなどの発明に結びついたことも忘れてはならない。まだまだおもしろいデータがあるので,それらも紹介しておこう。
   ●朝食の時間     大阪=13分   東京=19分
   ●夕食の時間     大阪=30分   東京=46分
   ●トイレの時間(一日) 大阪=6.1分   東京=6.3分


                         

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5-14 住居の違い 関東の妻入り 関西の平入り 

 日本の家屋は,出入口の位置によって「妻入り」と「平入り」に分類することができる。
屋根の短辺側,つまり屋根の棟と直角の三角形になっている面を「妻」といい,妻の側に出入口があるものを「妻入り」という。長辺側,屋根の棟と平行な面を「平」といい,平の側に出入口があるものを「平入り」という。
 起源としては,妻入りが古く竪穴住居まで遡ることができる。竪穴住居は,屋根が地表面まで葺き下されており,出入り口は必然的に雨に濡れない三角面の妻側にあった。やかで,屋根が持ち上げられ,平側に壁ができると平側に出入口を設けることが可能となった。さらに建物が大型化してくると,妻側から入るには奥行が深くなって使いづらくなり,平入りの家屋が出現するようになった。世界遺産となっている岐阜県白川郷の合掌造りの民家(妻入り),京都の町屋の民家(平入り)など,全国各地に気候や風土,様々な環境に応じて妻入りあるいは平入りの住居が発達した。
 京都や大阪では,人口が密集しているため,隣地との境界に空間を必要としない平入りの建物が発達した。近年は,様々なタイプの建物も増えているが,市内に残る昭和以前の建物はほとんどか平入りである。
 一方の東京は,平入り家屋も見られるが,江東区や墨田区などに残る昭和の古い家屋には,関西には見られない妻入りのものが多く見られる。ただ,時代の波でそれらが取り壊され,年々減ってゆくのが寂しい。
 東西の高級住宅地の家屋についてみてみよう。やはり近年はコンクリート住宅など伝統にこだわらない新しいタイプの建物が増えているが,それでもそれらを除けば,東京都内の田園調布では妻入りが78%,平入りが22%,大阪市内の帝塚山では妻入りが30%,平入りが70%の比率で,東の妻入り,西の平入りの傾向が顕著に見られる。
 また,帝塚山では3階建ての高級住宅がけっこう見られるが,田園調布には3階建て住宅はほとんど見られないことも東西の住宅の特徴だ。その代わり,田園調布では地下室を持つ家が多い。理由としては,江戸時代から火災が多かった東京では,防火対策として地下室が発達していたことや,景観保護のため,住宅の高さが規制されていたことが考えられる。大阪3階建てが多いのは,狭い敷地を有効に利用するという大阪人の合理的な考え方からであろう。

 ○白川郷の妻入り合掌造りの住宅

 ○京都祇園の町屋の平入り住宅

   ○大阪市内の平入り家屋 
  
   ○東京都内の妻入り家屋
 
  


                         

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5-15 どうして大阪のタクシーは黒塗りが多く 東京のタクシーはカラフルなの?
   ○大阪の黒いタクシー(JR大阪駅前)
  
   ○東京のカラフルなタクシー(JR上野駅前)

 街中の看板,テレビCM,おばちゃんのファッションなど,大阪といえばハデで目立つというイメージが多くの人々から強く持たれている。しかし,大阪駅前の待機所に集まった数十台タクシーは,地味というべきかシックというべきか見事に黒一色である。ハデ好きなはずの大阪でなぜだろうか。理由はきわめて分かりやすい。車体を黒にしてあるのは決して高級感を出すためではなく,冠婚葬祭時に,ハイヤーとして使用するためだ。大阪らしい合理的な考え方だ。
 ハイヤーは,goo辞書によると,営業所や特定の場所に待機し,客の申し込みに応じて営業する貸し切り乗用車とあり,日本交通のHPには「役員の移動手段、官公庁への訪問、海外VIPの送迎など、エグゼグティブ層を中心に様々な用途に利用する交通機関の中でも高い付加価値を持った個別輸送機関」という説明がある。国会周辺や高級料亭に横付けされる黒塗りの高級車で,街角で手を挙げても停まってはくれない。東京にはそんなハイヤーがタクシーとは別に約4000台登録されているが,大阪ではタクシーの車体の広告マグネットや屋根の表示灯を取り外して,ハイヤーとして使う。タクシーとハイヤーは法律上は明確な区別はないのだ。
 一方,上野駅前の待機所に集まった東京のタクシーの色は実にカラフルだ。タクシー会社が組合ごとに所属する車両を同じカラーに統一しているためである。組合ごとにタクシーの車体の色は,黄,白,赤,緑などに決められ,チンドン屋と呼ぶ人もいるそうだ。最近,関西から乗り込んだタクシー会社が,黒塗りタクシーを導入し,それらに対抗して都内にも黒タクシーを採用する会社が増えているそうだ。


                         

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5-16 おひな様にも意外な違いが… 
   ○京雛    ○関東雛                         
<写真:人形の佳月>

 桃の節句に飾る雛人形も,関東と関西では違いがある。関西の伝統的な雛人形は「京雛」と呼ばれ,京都の職人によって昔からの素材と技法で作られてきた。京雛に対して関東では,江戸時代から関東三大ひな市(鴻巣・越谷・江戸十軒店)を中心に雛人形作りが発展してきた。中でも380年の歴史と伝統を持つ埼玉県鴻巣市は,今では全国最大の雛人形の産地として知られている。
 京雛と関東雛の一番の違いは,まず男雛(お内裏様)と女雛(お姫様)の位置だ。京雛の男雛は左側(向かって右)だが,関東雛はその逆で,男雛は右側(向かって左側)である。古来より中国や日本では「左上座」の考え方があった。右大臣よりも左大臣のほうが格が高いことはよく知られているが,宮廷でも,天皇の玉座は必ず左であった。京雛も,この風習に基づき男雛は左側(向かって右)に座る。
 それでは,関東では男雛はなぜ右側(向かって左側)に座るのだろうか。これには大正天皇が深くかかわっている。明治以降,政府は積極的に欧米の文化や制度を導入する政策を進めたが,大正天皇の即位の礼も洋式を取り入れ,洋装の天皇陛下は西洋のスタイルで皇后陛下の右に立たれた。この即位時の位置にならって,関東では雛飾りも男雛を右側に座らせるようになり,全国的にも今はこのスタイルが主流となった。
 雛人形の顔立ちにも特色がある。京雛の切れ長の目に鼻筋の通った高貴で品のある古風な顔立ちに対して,関東雛は目が大きめで口元がかすかにほころびふっくらした現代風の顔立ちといわれる。
 関西と関では雛人形を飾る時期にも違いがある。関東では立春(2月4日)頃から3月3日にかけてだが,関西では3月3日から4月3日まで飾る。
 ひな祭り定番のひなあられも関東と関西では違う。関東のひなあられは,米粒大のポン菓子風,サクッとした食感で,醤油・塩味・えび風味などいろんな味が混ざっている。関西のひなあられは1cm角の餅を小さく切って揚げたものに醤油や塩で味付けしたものだ。


                         

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5-17 関東と関西 「○○遊園」駅の謎  

犬山遊園
 愛知県北部の木曽川河畔,私の自宅の近くに名鉄犬山線『犬山遊園』駅がある。この地に住むようになって30年になるが,初めはこの駅名が不思議だった。なぜなら駅名は「犬山遊園」なのたが,駅を降りても犬山遊園なる遊園地はどこにもなく,もちろん付近にもそんな町名はない。この駅が開設されたのは戦後間もない1949(昭和24)年,当時は確かに小さな遊園地があったという話だか,1956(昭和31)年に市内の丘陵地に犬山ラインパーク(現日本モンキーパーク)という本格的な遊園地が完成すると,その遊園地は消滅してしまった。しかし,半世紀以上たった現在も,『犬山遊園』という駅名だけが残っている。
向ケ丘遊園
 『向ケ丘遊園』駅は神奈川県川崎市内を走る小田急線の駅である。のだ。こちらの場合も現在は駅周辺に向ヶ丘遊園はない。向ヶ丘遊園は戦前からの歴史を持ち,地域の人々に親しまれてきた遊園地だったが,2002(平成14)年に閉園されている。
 もっとも東京周辺ではこのような例は珍しいことではない。東急東横線の『都立大学』駅,その隣の『学芸大学』駅,西武新宿線『都立家政』駅の場合も,現在,駅周辺には移転や改称によって駅名の学校は存在しない。なぜ,実態と合わない駅名が存在するのだろうか。いずれの場合も,銀行やコンビニが○○駅前店という名称を使うなど,付近の地名としてすでに地域住民のあいだに定着しているため変更を見送ったということだ。しかし,受験シーズンになると間違えてこの駅で降りる受験生が後を絶たないという話だ。
狭山遊園前
 実は大阪府内の南海高野線にも『狭山遊園前』という駅が2000(平成12)年まであった。前述2例の遊園駅と由来は同じで,この駅近くにはかつて狭山遊園と呼ばれる人気の遊園地があり,ピーク時には年間50万人を超える人々で賑わっていた。しかし,時代の波には勝てず,この遊園地も2000(平成12)年に閉園,ただ,この駅の場合は,遊園地がなくなったのに駅名がそのままではおかしいということで,駅名は同じ年に『大阪狭山市』駅に改称された。
千里山遊園
 千里山遊園は同じ大阪府内の阪急千里線にあった駅だが,この駅の名を知る人はもうほとんどいないだろう,一時期,やはり近くにあった遊園地の名を取って『千里山遊園』と呼ばれていたのが,その遊園地も廃止され,現在の駅名『関大前』,私の母校関西大学の最寄り駅である。ちなみに,『関大前』駅は花壇前→千里山遊園→千里山厚生園→女学院前→花壇町→関大前と,付近の施設が変わるたびに6回も駅名が変更された。駅名変更回数日本一の駅だ。ただ,卒業生としては残念だが,日本一とはいえあまり有名ではない。

 駅名日本一として,鉄道ファンならおそらく誰でも知っているのは島根県の一畑電鉄『ルイス・C.ティファニー庭園美術館前』駅。雑誌やテレビでも紹介された日本一長い名だった駅だ。“だった”というのは,日本一の駅として訪れる観光客は多かったが,ただ,駅名の由来となった美術館の入場者数のほうがさっぱりで,2007年に美術館が閉鎖されてしまい,2ヶ月後には駅名も『松江イングリッシュガーデン前』に改称されて,日本一の駅ではなくなってしまったのだ。赤字に悩むローカル鉄道会社に幾分かの経済効果をもたらしていたこの駅名をそのまま残そうという意見もあったそうだが,結局は実際になくなった施設を駅名に使うのはおかしいと判断された。
 関西では,「もう遊園地(美術館)があらへんのに,遊園(美術館)ちゅう駅名はめっちゃ変やで」と,地域の実態に合った駅名でなければ住民は納得しない。しかし,関東の人々は(愛知県もそうだが),そのあたりは寛容というか,「みんなが馴染んで使っている駅名なら別にいいんじゃない」と,そこに遊園地や大学が実際にあるかどうかは問題にしない。実際,駅名改称の是非についてアンケート調査が実施されたが,学芸大学の場合,賛成は37%、都立大学は59%といずれも2/3に達しなかったために改称を見送られたったという。「名より実」にこだわる関西人と「実より名」を重んじる関東人の気質の違いだろうか。 2011年,向ヶ丘遊園跡地には藤子・F・不二雄ミュージアムがオープンしたが,いっそ向ヶ丘遊園駅を『藤子・F・不二雄ミュージアム前』に改称(バス停名はすでに改称)すると,日本一長い名の駅になるのたが…

 







小田急は遊園地閉園の際に駅名の変更を検討したが,地元の反対で止めたという。
 
     
狭山遊園廃止に伴い2000年に改称
 



                         

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