地べたさんと雨水さん

上から下へ降る雨の途切れることのない
細い流れ、
静かに、人のじゃまにならないように
静かに、地べたさんをたたきます。
 
「ポッ、ポッ、起きてますか地べたさん私ですよ。またお会い出来ましたね。
久しぶりなので何か恥ずかしいですね」
 
「どういたしまして雨水さん、私も会いたかったですよ、
最近、肌が荒れて困ってたんです。草や木さんも喜びますよ。
みなさんにあいさつされました?」
 
「いえいえ、これからです。
まずは地べたさんからと思いまして、それではこれで失礼させていただきます。
後から来るみんなにもよろしく言ってやって下さい。みんな仲間ですから」
 
そう言うと雨水さんは下へ横へ流れて行きます。
多くの友達にあいさつして、河川に流れていきました。
とても優しい雨水さんでした。
 

上から横へ走る雨の途切れることのない
激しい流れ
風さんも大荒れです。
激しく激しく地べたさんをたたきます。
 
「バタドタ、バタドタ、こうしてくれる!こうしてくれる!」
 
「どうされたんです、雨水さん?そんなに怒って、
草や木さんも痛いのを我慢してますよ。
それに風さんまでも手伝って、どうしたんですか?」
 
「これが怒らずにいられますか、もう忙しいのです。
降りたくもないのに無理やり降らされて、怒っているのです。
すべてはそこらにいる人間どものせいですよ、地べたさん。
あなたも時には怒りなさいよ、私達を怒らせる原因を作っている人間どもに」
 
「私の親戚筋も時々、怒りを爆発させてますがね、それも時々です。
余り怒り過ぎると自分自身に良くないですよ。確かに人間は良くないです。
私達を雑巾、すいませんね雑巾さん、これって差別になりますね。
えーと、そうそう、
私達を無視して、自分勝手に生活しているんですからね。
それも、自分で自分の首を締めているんですから、愚かな人達ですよ。
そういう人達には勝手にやらせればいいんですよ」
 
「だから、私は怒ってるんです。このやろう!このやろう!とね」
 
「そうですか、でもね。なんの罪もない草や木さん、
それに昆虫さんなどはどうされるんですか?彼等も被害者ですよ」
 
「そうですね、それはすまないことです、トバッチリですね。
もうちょっとしたら止めますから、風さんもそう言ってますしね。
でもね、もう少し、私達のことを考えてくれないと、
いっしょに生活出来なくなりますよ。ほんと困ったことです。
教育がいけないんでしょうかね、もっと上から、
威圧的にやらないといけないんでしょうかね。困った、困った」
 
「『太陽と風』の童話知ってます?
私の考えではもっと優しく抱き込むように、
人間に接した方が効果があると思うんですよ。威圧的にじゃなくてね」
 
「いままでそれで失敗してるんですよ、地べたさん。同じですよ」
 
「そうですかねー。
人間の中には最近、私達を理解しようとしている人も、ちらほら見られますよ。
それにあのお婆ちゃん、腰が曲がってるのに、毎日野菜の面倒をみてるでしょ、
私も優しく鍬でさすってくれるんですよ、それが気持ち良いんです。
かゆいところに手が届くんですね、あのお年でね。
私はこういう人を見てると
人間もそんなに捨てたもんじゃないと思うんですよね、雨水さん」
 
「う〜ん、そうですね・・・。
太陽さん、風さん、雲さん、雷さん、雪さん、海さんなどにも
相談してみましょうかね。
その時は地べたさんも話に乗って下さいね」
 
「はいはい、いいですよ。今日はこの辺で終わりにしましょうか、雨水さん」
 
そういう会話の後、大雨は次第に小雨となり、いつもの静けさを取り戻しました。
 
南の空に大きな虹が出てきました。
 
地べたさんと雨水さんの約束の印です。
 
「素敵な世界にしましょうね」という印です。
 
子供達が学校帰り、その虹を見て
 
「きれいだね、きれいだね」と口々に言ってます。
 
地べたさんはニコニコこの様子を見ています。
私達の未来はこの子供達にかかっているのですね。
 
「雨水さんありがとう」
 


 

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