詩集「蝉の声」

 

 太陽が昇る時
 
海の向こうに
 
何か見えませんか
 
あなたの生まれたこの世界に
 
歩むべき道をみつけた
 
あの時の様に
 
太陽が昇る時
 
わたしの海には希望が見えます。
  
 
  
波にさらわれ	サクラ貝一つ
 
忘れられた美しさに	さびしさ一つ
 
日にさらされ
 
美しさもカサカサ音をたて
 
明日に消える	悲しさ一つ
  
 
 
蛍が一つ
 
手の中に 
 
闇の心に
 
光りを与え
 
神様の思い
 
手の中に
 
あたたかく
 
あたたかく
 
抱きしめる
  
 
 
夜歯ミガキ
ウガイする
口の中のキタナイもの
すべて吐き出す
臭いニオイ
鼻をつく	「グエ。グエ。」
体内のキタナイものまで
出てしまった様です
明日からキヨクなれるかしら
 
神様おやすみなさい
 
 
ミカンをむく手の先かから
 
オレンジ色の虹が飛び立ちました
 
輝く命となって飛び立ちました
 
一瞬の出来事です
 
私の虹もあの大空にかかります
 
約束の虹となって 
 
その時は今と同じ
 
一瞬の出来事です 
 
目を覚ましていて下さい
 
 
170円のカボチャを手にして
今日はごちそうだと思い
少しうれしくなります
傘の先から
ミニスカ-トのきれいな足が
近づいてきます
きれいな足です
下を向き
横にそれて
通り過ぎるのを見つめます
カボチャがみじめに思われ・・・
雨で靴下も濡れてきます
春のいたずら雨です
 
  
 
孤独な自己にフウセンをつけて
夜空に飛ばしたい
誰かこのフウセンを受け止めて下さい
出来たら
あなたのやわらかい手で
その白い豊かな胸に抱き止めて下さい
あなたの胸にこの孤独を預け
私は安らかな眠りにつきたい
 
 
 
静かに夕陽が沈みます
あの山の向こうに沈みます
空はオレンジ色におおわれ
真っ赤な太陽がポツリ
愛されていることも
愛することも忘れて
真っ赤な太陽がポツリ
 
今日はこれで終わります
いつかは人生もこれと同じです
 
真っ赤な太陽がオレンジ色の中で
私を一人にさせます
真っ赤な血をたぎらせ
私を一人にさせます
   

(児玉文男さん文恵さんご夫妻へ)
 
ひとかけらの土くれにも
大地の香りあり
ひとかけらの土の器にも
造り主の香りあり
この小さな赤子にも
両親の香りあり
ゆえに文香と名付けたり
この子に神様の祝福がありますように 
  
 

蝉のあの声は
赤子が生まれた時に泣く
生命の賛歌と同じです
短い命と知ってか
ただ ただ 
神様に喜びの声を上げています
私達もおなじように
生きている間
感謝の声を上げたいものです
 
あの蝉の声は
生命の賛歌
喜びの歌です
あなたも歌いましょう
神様への賛美歌を
 
 
 
風が遊んでくれると言いながら
少女は紙風船を追い掛け回す
「おもしろい
おもしろい」と
あどけない笑顔
風が遊んでくれると言いながら
少女は紙風船を追い掛け回す
 
あれは過ぎ去った夏の日
今日も涼しい風が吹いています
あの少女は
今も紙風船を覚えているでしょうか
 
 

カミソリよ
この闇を引き裂け
裂け口から私の血は溢れ出て
とめどもなく君を襲う
君は微笑み
純白のドレスは赤く染め抜かれ
永遠の花嫁となる
 
 

私の言葉はカミソリとなり
あなたを切り刻む
あなたは十字架上のイエスのように黙っている
流れ落ちる血は真っ赤な帯となり私にまとわり付く
口を開かないあなたは
赤い血で私に語りかける
その最後の一滴は私の心を打ち抜き終わりを告げた
 
優しさなどは天秤に掛ければ分かると高をくくった私
赤い血がどんなに重い心か
その最後の一滴で分かった私
異邦の地で枯れる優しさより
赤い血を流し私の肉を食らう女がいい
 
私の肉を食らう事なく
私の息の根を止めたあなた
 
天使なのか悪魔なのか
天秤に掛けるにも
私は消える運命
 
時が流れルビコン河を下るとき
総てを忘れたころ
神様はまた造られるだろう
私のように不器用な男を
「悲愛」という言葉を人類に与えるため
神様は女を造られるだろう
 
 
 
50kgの常識が
27才の年月が
私を現実に引き戻します
蝶が舞い
恋人同志が語り合う
春なのに
50kgの常識が
27才の年月が
私を現実に引き戻します
 
 
 
28にもなり
いまだに「ハンカチ、チリ紙。」
と言う母
かないません
どんなに頑張っても
かないません
所詮
胎内から出てきたもの
造り主にはかないません
   
 
 
菜の花畑に咲く花は
幼い頃の優しさか
黄色い色に魅せられて
幼き頃を懐かしむ
 
菜の花畑に咲く花は
幼き頃の夢の跡
母の懐恋しがり
夜更けに起きた夢の跡
 
29の春になり
菜の花畑に立つ私
あなたを抱きしめ生きたいと
幼き時に忘れた母の乳房 暖かさ
あなたの胸に恋焦がれ
菜の花畑に咲く花は
見る者魅せて懐かしむ
 
香りは風に
そよそよと
流れは何処
春の原
いけいけ
人の歩む道
行き先何処
春の原
菜の花畑
春の原
幼き時の夢の跡
見る者魅せて懐かしむ
 
 
 
雪に吹かれて白い風
空も寒さで灰色調
青い碧空 星の空
夢見る少年 雪の中
震える瞳は星の国
輝く星座を探します
 
 
 
夜の電話ボックスに一人立ちすくむ
震える手で三十円ポッキリ
22ー4520  22ー4520
幾度掛けても  22ー4520
三十円ポッキリで愛を確かめようとしたのか
呼べども 呼べども あなたの元へ届かない私の恋
三十円ポッキリを握りしめ寂しい部屋に立ち帰る
「お帰りなさい」の言葉のない部屋で
あなたの愛したテーブルへ三十円ポッキリを投げ出す
「カワン クワン チーン」
寂しい音が心に響く
「カワン クワン チーン」
 
 

 
捨てられた石を両手に抱きかかえ
その石の重さに涙する人よ
あなたの拾った石は人生の宝です
大切に
そして 
あなたの愛する人に伝えて下さい
その重さを
 (マタイ 21章42節より)
 
 
 
ほんに ほんに 
いい天気
空の上では春の宴 
青空 高く 
鳥の声
ほんに ほんに
いい天気 
私の上でも春の宴 
青空 高く
天使の声
フレンド フレンド フレンド
  
 

君のことが
分からなかった
私は私が
分からなかった
 
あれから幾日・・・
 
今
私は私が
分かるようになった
なのに
いまだ
君のことが
分からない
 
だんだん
それでいいのだと
思えるようになった
そんな私が
寂しく思われるのは
やはり
 
あなたのせいです
  
 
 
神様の事を思いし
この胸に
涌き起こし思いは
ただ一つ
 
私は今も一人です
 
 

赤い花が白い空間に
実在の花を咲かせ
私の絵の具が白いキャンバスに
私の花を咲かせる
正気と狂気の境目に
咲く花赤く燃え上がる
画家の命はキャンバスに
短き命燃え上がる
 
 
 
マナと名付けられた猫
首輪に鈴を付けられ名札には
マナ 大治町三本木西深田36ー2
と書かれています
あなたの首輪を私に付けて下さい
イエス・キリストを信じる者
と書かれた首輪を
 
 
 
冬の日に
菜の花畑思い出す
妻のいるこのひととき
 
 
 
冬の夜の
青白き光我に来て
神様の御旨
我が内に涌く
 
 
 
生きるとは
自分の醜さ知る事と
梅の香り心にしみる
32の春
 
 
 
我と妻
桜のしたで
たわむれる
まだ見ぬ子と
遊びたや
 
 
 
はらはらと
五月の野原
風にゆれ
若葉の命
青空に燃ゆ
 
 
 
救いの手
求める前に
満たされる
事を望むは
人の悲しさか
 
 
 
神の手に
委ねて歩む
辛さ知り
己の罪の
深さ知る
 
 
 
肉欲を
鎮める手だて
我になし
祈りの道は
ほど遠し
 
 
 
今の世に
悲しく響く
ヨブの声
聞く耳持てと
我に問う
 
 

 
病弱な
者には無理な
インド行き
我ら夫婦は四十にて
 
 
 
夜桜に
おぼろ月夜も
色あせる
 
 
 
五月晴れ
 
たんぽぽ ほおけて
 
宙を舞う
 
 
 
夏の日の
 
思いを残し
 
秋来る
 
 
鬼踊る
古戸の山里
花祭り
 
 
 
我が人生
聖書をもって
正気とする
 
 
 
青空に白い雲が流れています
部屋の中で横になって青空を見ていたら
縁どられた窓から見える空は
私の手の中にあるように思え
「白い雲さん
私はあなたを知っていますよ
とても好きです
いつまでもいっしょにいましょう
私の窓の中で私といっしょに暮らしましょう」
 
雲は流れています
遠くインドまで流れています
 
 
以上が1988年に出版した「蝉の声」です。
さらに「蝉の声・その延長上に」と続きます。
2000年7月〜10月の間にできた詩からの抜粋です。 
 

 
『ヤンキーなカマキリ』
 
朝一番
プランターの花たちに水をプレゼント
 
「タッタラ、タッタラッター、あれ?」
 
手と手がふれて
びっくり ドッキリ
カマキリさんが手をすべらせ
地面にバッタリ
 
夏のカマキリは青緑色
ういういしい美しさ
 
「大丈夫?つい葉っぱと思ったの。」
 
「なんのなんの これしき、
わしゃあ ヤンキーなカマキリさ。」
 
凛々しく立ち上がり
きりっとこちらを
にらみます
 
「あんさんも、気付けなあかんで!。」
 
「はい、すみません。」
 
ヤンキーなカマキリに説教された私です。
  
 
 
『賛太の夏』
 
「下を見ちゃだめ、前を見なさい
手を離すよ。」
 
そっと横にまわり
顔を見る
真剣なまなざし
緊張した首筋
 
真夏の太陽は容赦なく
照りつける
汗が水玉になり
額から頬
首筋へ落ちていく
 
黄色いマウンテンバイクが
大きく輝いて見える
 
練習する賛太の額に
水玉の汗 一つ
冷や汗 一つ
 
賛太の夏 一つ
 
 
 
『蜜集め』
 
昨日の花さん探している
「あれ あれ いないよ?
あの子は何処いった。」
見た目は同じでも
蜜の味
「違う 違う 彼女じゃないよ!」
 
ポ-チュラカ
朝一番に生まれ 一日かわいく咲いた後
夕方 花をクルクル丸めて
「これで、さようなら、お元気で。」
 
蜂さん探しても
昨日の彼女はもういない
迷って迷っているけれど
そこに丸くなったまま
咲かない花さん
それですよ
 
蜂さんが
風の便りに聞いたなら
さぞかし
さびしかろう さびしかろう 
 
蜂さん
探し探し 
蜜集め
「彼女を知りませんか?」
寂しさ隠して
蜜集め
  
 
 
『雨の日が好き』
 
晴れの日は不安
両親は一日中 仕事
兄は外へ
私だけ 
おもちゃと一人遊び
「この子は手がかからない いい子だよ」
と母は自慢した
 
昼過ぎると
そわそわ そわそわ
外で遊ぶ声に 耳をそばだてる
遊びに誘われないかと
あてもなく 待つ
塀ごしに通る人を ちらり ちらり
見てすごす
誰も来ないのを知っていながら
ちらり ちらり
見てすごす
 
雨の日は
外の出来事を気にすることなく
一日中遊べます
自分で作ったプラモデル
横一列に並べ
空想の世界に浸れます
雨の日は 
プラモデルの王様
 
大人になった 
今も雨の日が好き
 
もう王様になれないけれど
静かに想いを深め
言葉を探し
詩の世界の主人公に成れる日
そんな雨の日が好き
  
 
 
 『天のしずく(なくしたもの)』
 
バケツをひっくり返した
お.お.雨
天の大洪水
 
一瞬にして
大気の暑さも一休み
ひまわりさんたちも
ゆっくり一休み
大地のすべての熱気も
みんな一休み
 
天の大洪水の後の し.ず.く.
 
木々の葉に伝わって落ちてくる
しずく
涼しい風に乗ってくる
しずく
 
天の国からの贈り物
静かに耳をすましてごらん
何か聞えるよ
心をすましてごらん
ほら 聞えてくる
 
「暑かったね お疲れさま
今晩はぐっすり寝なさい」
 
忘れていた父の面影が頭の中をよぎる
 
なくした大切なもの
 
しずくは語りかけてきます
 
「大切なものを見失わないように」
 
 
 
『うんこ雲(入道雲)』
 
お-い うんこ雲
そんなに大きくなると
こっちに落ちてきそうじゃないか
 
うんこ雲
 
落ちるときは
きれいな水になって
町々の汚れをおとしておくれ
 
わたしの汚れもね!
 
うんこ雲
 
夏一番の元気もの!
 
あっ! うんこ雲から虹が出た
 
やった!
あっ!しょんべん
 
蝉が顔にしょんべんした
 
夏!真っ最中
 
 
 
 『おしゃべりな椅子』
 
椅子のボンちゃん
いつも同じ場所で飽きません?
私なんか子供が来るたびに
呼ばれて 汚れますが
いろんなテ-ブルに行けて
楽しいですよ
同じ場所にづ〜といるのはつらいですね
 
なんの なんの
僕はここがお気に入りさ
窓辺で日当りも良く
花壇の花さんたちとも話しができ
そうそう昨日はスズメのヤンちゃん
とも話しをしましたよ
ヤンちゃんはとても物知りでね
山のカラスさん 海のカモメさんなどとも
話しをされて 
世界中の情報を集めていますよ
今 うちのボスがはまっている
インタ-ネットですか
それと同じような
バ-ドネットってやつですよ
分からない事があったら
聞いてあげますよ
 
それにね 毎週日曜の昼
ここに座る女性がとてもステキなんです
名前はえ〜と「マミエさん」って言ってました
マミエさんが入り口に立つと
もう胸が ドギマギ ドギマギ です
やわらかく ほどよい重さのオシリ
髪の毛のなんとも言えない香り
体を動かすたびに僕の体を
その香りが包みます
もうたまりません
これっていやらしいですか?
ねえ 子供椅子のノンちゃん寝てるんですか?
僕の話し聞いて下さいよ
 
はい はい 
わたしが代わりにお聞きしますよ
おしゃべりなボンちゃん
どうぞ
  
 

 『朝』
 
目が覚めるとき
涙が自然と
にじんできた
 
なんだろう
 
こんな朝はしあわせです
 
ありがとう
 
 
 

 『遊びましょう』
 
「どこ どこにいるの?」
 
声は遥か彼方から
 
「ここよ ここよ」
と風に乗ってやってくる
 
竹やぶは生き物のように
うね うね
波打っています
 
「ここの中ですか?」
 
「いえいえ そこではありません」
 
池の波紋がいいます
「この中だよ この中だよ」
 
「いえいえ そこではありません」
 
空に流れる細長い糸雲がいいます
「北の山頂にいたよ」
 
「いえいえ そこではありません」
 
大地の中から響きます
「ここだよ ここだよ」
 
日も沈み
星空になりました
 
お月さまが静かに語りかけます
「お疲れさま また遊びましょう」
 
 
 
 『わたしのお客さん』
 
今日のわたしのお友だち
パンジ-さん
ブル-スタ-さん
コスモスさん
マリ-ゴ-ルドさん
こちらは道ばたで拾ったお花さん
そちらのテ-ブルには
シンビジュウムにランさん
たのしくお部屋を飾ります
あなたもわたしも
みんな
同じ空気を吸って
同じ時間を刻んでいます
 
水はもうあげましたよ
 
さあさあ お客さんを迎えましょう
あなたのお客さんはハチさんですか
そちらのあなたはお日様ですか
いいですね 元気になります
そちらのあなたは
嫌なお客さんのクモさんですか
そんなことは言わないで
まあまあ仲良くしてくださいよ
みんな友だちなんですから
 
わたしのお客さんはどちらかな
そちらのあなたかな
いえいえ申し訳ありません
わたしのお客さんはこれらの言葉たち
さあさあいらっしゃい
いっしょになって
わたしと詩をつくりましょう
 
 
  
『めしあがれ』
 
今日のカレ-はおいしね
どうして?
オイルさんちょっとおしえてよ
それは ひ.み.つ
なんてね
僕と野菜さんが仲良く
フラダンスしたからさ
玉ネギさんは朝8時から
僕とフラダンス
もうこんがり日焼けして
おいしそう
ニンジンさん
ジャガイモさんも後から仲間入り
さあさあ みんな輪になって
ナスさん
ブロッコリさんに
ピ-マンさん
手を取り合ってフラダンス
私はオタマ片手に
アロハ-
オイルさん
みんなの中央に
踊り出て
ダンスが盛り上がる
みんなじっくり日焼けして
健康美
今日のカレ-は
みんな仲良くフラダンス
こんがり日焼けして
おいしそう
さあ さあ お早く
めしあがれ
 
 

 『タ-ザン』
 
僕が幼稚園児のころ
お兄ちゃんたちは
墓場の裏の斜面で
大きな木の
大きな枝に
ツタを結んで
タ-ザンごっこをして遊んでいた
僕は
斜面の上の山道から
お兄ちゃんたちの
遊びを見ていた
翌日も
その翌日も
ただ見ていた
いつの日か自分の番が来ることを信じて
待っていた
そのうち一人のお兄ちゃんが
手をすべらせ骨折してしまい
その遊びは大人によって中止させられた
僕はついにタ-ザンに成れなかった
ツタを斜面の上まで持って行き
いっきに下に向かってジャンプする
お兄ちゃんたちの歓声
次は僕だ 俺だと
言う大きな声
墓場は僕達の遊び場だった
あれからいく年
斜面の上の山道は人も通らない
ケモノ道になってしまった
大きな木と墓場は
時を失ったかのように昔のままの姿である
ただ
あの子供達の喜びの歓声は
もう何処にも聞えない
 
  
 
『プラッチック』
 
「プラッチック」と言うと
すぐに
子供と妻は笑う
「またお父さんの
プラッチックが始まった。」
プラスチックを
プラッチックと言う癖
「別府方言」と言い放つも
すでに効果なし
 
 
   
『さわさわと』
 
七月二日の風に
さわさわと
ささやくように
さわさわと
 
35℃の風
なまあつく
さわさわと
ささやくように
さわさわと
 
カキの木が
さわさわと
ささやくように
さわさわと
 
「あついですね」と
かたりかける
 
 
 
『ネパ-ルを夢見た男』
 (坂野公康君へ)
 
7月31日になると
ある男を思い出す
サングラスを掛け
ニッと笑った人なつこい笑顔
あれから4年
ネパ-ルやタイの街角で
突然 鉢合せしそうな感じが
いまでも残っている
26歳という年で
ネパ-ルの国で息を引き取った 男
ネパ-ル語が堪能で観光ビザで入国して
1年間不法滞在した 男
その間 日本語学校の講師を勤め
日本語弁論大会で学校代表として
大臣にあいさつをした 男
外国人でありながらカトマンズの
市民権を偽造してしまう 男
出国する時 袖の下を使い
あたり前の様に帰国してしまう 男
ちゃめっけがあり
遊び人風でいて几帳面な 男
ネパ-ル語教室では
厳しく 分かりやすく 
丁寧に指導した 男
ネパ-ル雑貨を売って
将来に希望を抱き
ネパ-ルを夢見た 男
幾つもの可能性を秘めた 男
そんな男が・・・
青空に雲 
流れて行くはネパ-ルか
7月31日になると
思い出す男がいる
青空に雲
流れて行くはネパ-ルか
 
 

『父へ』
 
月と闇夜は時間のリセットボタン
時の流れを
在りし日のあの時へ
帰します
 
貴方がいて
私もいる
まだ幼いわたしです
みんな仲良く生きています
 
リセット時間は短く
すぐに今という時間に
戻されます
 
一瞬貴方に会えただけでも
嬉しいです
また会える時を
お待ちしています
父へ
 
 
 
『旅立ち』
(眼我 真連載小説「サトルの冒険」より)
 
キン木セイの香があなたの体を包み込み
あなたは
白いウエディングベールを着た
森の妖精
 
一輪の風が吹き抜け
白いウエディングベールを取り去る
 
私はあなたを抱き寄せ
別れの抱擁
 
別れは勇気
自分を信じ
あなたを信じ
大人への旅立ち
 
時は満ち
あふれ出る思いを後に
旅へと歩み出す
キン木セイの香とあなたの愛を
背に受けて
人生の旅は始まった
 
 
 
『さよならは勇気』
 
もう さようならしたんだから
後からごちゃごちゃ言わないで
 
「さようなら」は決断よ
 
揺らぐことのない勇気なの
後を振り返らず
前を見て歩むの
 
「さよなら、本当にさよなら。」
  

『不死のスクラム』
 
手をとり合ってみんながっちりスクラム組んでいます
一つとして欠けることのないスクラム
もし どれか一つでも欠けることがあれば
みんなで悲しみ 祈り
新しく生まれる命を待ちます
後に来る〈もの〉はまた
みんなと手を取り合って
がっちりスクラムを組みます
 
過去から来て
現在を生き
そして未来へと連なっていきます
これが不死の秘密です
一つが死して欠けても
その変わりの新しい〈もの〉が補い
連なりはとぎれることなく
その〈もの〉による
スクラムは変わりません
 
生きる〈もの〉すべてが尊く
海のバクテリアも魚も
陸の昆虫も花も
空のトンボも鳥も
すべての人 動植物
みんな同じ〈もの〉です
連なっているのです
あなたもわたしも
その〈もの〉の中の一つです
欠けることのないスクラム(地球)の〈もの〉なのです
 
 
 
 
『明日へ』
 
すずなりの樹に
すずなりに花が咲き
蜂や蝶さんたちが
すずなりに蜜を吸う
 
すずなりの樹は庭のはずれの奥まった
日当りのよい角地にあります
あまり人目につかないこの場所に
昆虫たちは群がり命を紡ぎます
 
すずなりの樹に咲く花 黄色く
おしべが手のように長く
めしべを守ります
その手にやさしく乗って
昆虫たちが命を吸っています
 
花の命は大地から
空のお日様から
紡いだ命です
 
「あなたは私の後よ」と言いながら
順番守りつながります
次から次へ紡いでいく命の糸は
果てることなくつながり
明日へと希望を紡ぎます
   
 
以上が「蝉の声/その延長上」

ご感想があればお知らせ下さい。
 
著作・ 眼我 真(ガンガマコト)

発行者・荒金 誠

発行所 ガンガー
  〒470ー0132
         愛知県日進市梅森町上松661ー6
    (052)806ー5570
              

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