2000年9月〜10月の作品
イリュージョン
湖面に映る朝日は
霧とさざ波に
優しく守られ
幻想の世界
一日の始まりを
忘れさせる
光りと霧のイリュージョン
秋のパンジー
背高ノッポのパンジーさん
秋風に吹かれて
背筋
ぎくしゃく
頭が重く
辛そうに
揺れてます
時の中の忘れ物
内の賛太は時々
大きな声で泣きじゃくる
忍耐を強いられ、我慢の我慢をして
耐えられなくなると
堰を切ったように
大きな声で泣きじゃくる
布団の中に入って知られないように
泣きじゃくる
しばらくすると疲れて精気を使い果たしたように
ぼぉうーとした顔で
恥ずかしそうにこちらを気にする
うらやましくもあり
懐かしくもある
いつごろか大きな声で泣くことが無くなった
中年親父
息子の姿に若さの源を見た思い
悔しさを吐き出す
泣きじゃくる力
「何処から来るの。」
過ぎ去った時の流れの中に忘れてしまった
忘れ物
父へ
月と闇夜は時間のリセットボタン
時の流れを
在りし日のあの時へ
帰します
貴方がいて
私もいる
まだ幼いわたしです
みんな仲良く生きてます
リセット時間は短く
すぐに今という時間に
戻されます
一瞬貴方に会えただけでも
嬉しいです
また会える時を
お待ちしてます
父へ
旅立ち(サトルの冒険より)
キン木セイの香があなたの体を包み込み
あなたは
白いウエディングベールを着た
森の妖精
一輪の風が吹き抜け
白いウエディングベールを取り去る
私はあなたを抱き寄せ
別れの抱擁
別れは勇気
自分を信じ
あなたを信じ
大人への旅立ち
時は満ち
あふれ出る思いを後に
旅へと歩み出す
キン木セイの香とあなたの愛を
背に受けて
人生の旅は始まった
さよならは勇気
もう さようならしたんだから
後からごちゃごちゃ言わないで
「さようなら」は決断よ
揺らぐことのない勇気なの
後を振り返らず
前を見て歩むの
「さよなら、本当にさよなら。」
朝焼けに
取り残されし
街灯の
光り鮮やか
最期の別れ
秋風と
遊ぶ朝顔
ただひとり
ガキッ子
トリがトビタツとき
なんだ なんだ
ウンチをぽとり
こまったやつだ
どうしてくれる どうしてくれる
泣き顔になり
ガキッ子ひとり
トツゼンはしりだす
「コラマテ トリめ!、コラマテ トリめ!。」
ソラ高く トビあがって
トリはふりむきザマに「アッカンベー!」
「コンチクショー!、コンチクショー!。」
ガキッ子は泣き出した
大きな声で泣き出した
お山のカラスさん 負けじと鳴き出した
お空のアメさん 負けじと降り出した
道の向こうから
大きな傘が歩いてきた
ガキッ子は父さん見て
もっと泣き出した 泣き出した
「よし、よし。」
父さん抱き上げ
トリさんウンチ ティッシュでポイ
ナミダもついでに ティッシュでポイ
「さあ、帰ろう。」
傘に包まれし父と子の
家路を雨は包み込む
薔薇いけて
客の来ない
寂しさよ
不死のスクラム
手をとり合ってみんながっちりスクラム組んでます
一つとして欠けることのないスクラム
もし どれか一つでも欠けることがあれば
みんなで悲しみ 祈り
新しく生まれる命を待ちます
後に来る〈もの〉はまた
みんなと手を取り合って
がっちりスクラムを組みます
過去から来て
現在を生き
そして未来へと連なっていきます
これが不死の秘密です
一つが死して欠けても
その変わりの新しい〈もの〉が補い
連なりはとぎれることなく
その〈もの〉による
スクラムは変わりません
生きる〈もの〉すべてが尊く
海のバクテリアも魚も
陸の昆虫も花も
空のトンボも鳥も
すべての人 動植物
みんな同じ〈もの〉です
連なっているのです
あなたもわたしも
その〈もの〉の中の一つです
欠けることのないスクラム(地球)の〈もの〉なのです
明日へ
すずなりの樹に
すずなりに花が咲き
蜂や蝶さんたちが
すずなりに蜜を吸う
すずなりの樹は庭のはずれの奥まった
日当りのよい角地にあります
あまり人目につかないこの場所に
昆虫たちは群がり命を紡ぎます
すずなりの樹に咲く花 黄色く
おしべが手のように長く
めしべを守ります
その手にやさしく乗って
昆虫たちが命を吸ってます
花の命は大地から
空のお日様から
紡いだ命です
「あなたは私の後よ。」と言いながら
順番守りつながります
次から次へ紡いでいく命の糸は
果てることなくつながり
明日へと希望を紡ぎます
大和撫子
「この花の名前知ってる?。」
「私のことよ。」
「?」
「大和撫子。ふふふ。」
彼女の笑いに
「そうだね。」と返事する
よく見ると蛾と蜂をミックスしたような
知らない昆虫がストローを伸ばし
花の蜜を次から次へ吸ってます
撫子の花にも来ました
「まてよ。?」
近づいてよく見ると
何やらお尻の辺をムズムズ動かしてます
お尻の先からぽとり
「?」
小っちゃな小っちゃな水滴一つ残して
さっと 飛び去りました
「おしっこ。?」
「失礼な」と思いながら
撫子さんを見ていたら
じっとして動きません
少しさびしそうに上を向いて笑ってます
沈黙と目覚め
バニヤン樹に
路端の乞食に
サリーの美しさに
カリーの辛さに
混沌が私から思考を奪う
ホテルの一室で
窓辺に腰掛け
疲れた心体を休め
夕陽の沈むのを静かに
見続ける
何処からともなく
コーランの声が聞え出し
鳥たちもあわただしく
群れをなし巣に戻る
闇が混沌を静かに飲みほす
長い夕暮れ
すべてを無に帰する闇の沈黙が
私の思考を目覚めさせる
夏草を
刈りて後の
土くれの
花壇の中に
秋を植える
(短歌)
影法師
秋の黄昏
戯れる
(俳句)
ネコのシッポ
(植物の名前)
赤いネコのシッポ
ピョンとして
誰のシッポ?
緑の葉を従えて
一個一個
別々にピョンピョン
立ち上がる
ふっくら ふんわり
膨らませる ネコのシッポ
天に向かって
「吾輩は猫の尻尾である。」と
意思表示
秋風に揺られ
ゆーらゆら
じゃれあって
ゆーらゆら
雨のひととき
雨降れば
子守歌にうとうとし
雨止めば
目を覚まし
うとうとと動き出す
静かな午後のひととき
ドアのすき間から
揺れるコスモス
秋知らせる
夜の朝顔
夜の朝顔
尻の穴
きちんと奇麗に閉じてます
もう開かない尻の穴
みんな仲良く
上向いて
礼儀正しく
終わります
一つの季節
吹き抜ける風
秋の香りが漂い始め
虫の音色も色づき始める
日に日にあの暑い夏は忘れられ
来る秋を思い起こす
去年もそうでした
今年もそうです
季節は繰り返しても
人の営みは
日々違います
今日の私は昨日の私ではありません
人は生まれて死ぬまでが
一つの季節なのかもしれません
さるすべりとトンボと秋の虫
青空の下
さるすべりは赤く
トンボの群れは紅
秋色の
静けさの中
台風のつめあと残し
秋の音色が聞えてくる
闇夜のおつきあい
夜中に降る雨 いたずら雨
ちょっとちょっとと話しかけ
私のおつむを
テンテンする
蚊さんも仲間入り
ちょっとちょっとと寄ってきて
私の手足を
チュッチュ チュッチュする
うとうと頭の私を
もう一人のわたしが
雨さんどうした
蚊さんかゆいよ
言葉をつづりだす
頭の中を散歩する
ああ 目が覚めちゃいます
眠いのに
まぶたが開き
部屋の闇を見つめだす
お月さん今日は一休み
雨さんだけが元気よく
一人はしゃいでる
しかたありません
私がおつきあいしましょうか
謎のカメムシ
カメムシさんが飛んで来て
ひょっと私の右肩に止まり
「プーツ」と屁をした
「こらっ!、臭い。」
カメムシさんは笑いながら
私の前を通り
手を振って飛び去った
「なんなんだ?、いまのは。」
臭い匂いと謎の笑い
私に何か怨みでも?
カメムシを使った短編小説を
先日書いた
それについての返事?
「もっと上手に書けよ。」
「良かったよ。」
?
謎のカメムシさん
「屁」と「笑い」と「謎」
を残して去っていった
何処ともなく
デリーの少女
デリーの朝の雑到の中
いたるところからクラクションが聞えてくる
人ごみの中を力車が走る
6人の子供たちを乗せ
足と腕を前方に押し出し
力強くペダルをこぐ青年
マフラーの下の顔は笑っている
いまを楽しんでるように
子供たちはそれぞれ雑談している
一人の少女だけ
こちらを見ている
じっとこちらを見つめている
見る人を
見つめ返す
少女
ピントを合わせ
シャッター
切り取られた時間
時は止まり
こちらを永久に
見続ける
少女
その瞬間の美しさ
ボロボロノキの下で
ポーさんの家では、将来息子たちといっしょに
暮らしたいと思って、無理をしてニ世帯住宅を建てました。
その新築の家が不審火で出火、身内で消そうとして
かえって火の手が広がり、消防を呼んだ時には
すでに遅く、全焼してしまった。
兄弟は家族のため高校を中退した。
兄は靴職人の道へ、弟は塗装工に成った。
兄は学業が優秀だったので、先生たちは
大変残念がりましたが。本人はさほど人生に
ついて考えてなく、まあこれも一つの選択か
といった程度にしか考えていませんでした。
弟は学校が嫌で嫌でしかたなく、
これみよがしに元気そのものです。
弟は不良仲間と一緒になり、
おじさんの塗装機材一式をただ同然
で借り、仲間たちと要領良く仕事を始めた。
兄は生真面目に靴作りの仕事をしていた。
ある時、お客の一人から「兄さん、こんな仕事
していても、一生家なんか持てませんよ。俺と
いっしょに旅をしょう。兄さんには人が持って
いない才能がある。わしには分かります。
その才能を生かしてみませんか。家ぐらい
簡単なものさ。」以前の彼なら、そんな話しには
耳もかさなかったけれど。今は現実の生活に
幻滅を感じていたので、その男の話しに乗ってしまいました。
家族にはいい仕事が見つかったので、そちらに変わると
だけ手紙で知らせた。
その口のうまい謎の男と旅に出た。
弟は世渡り上手で、頑張り屋だった。
いい棟梁に目を付けられ、塗装工から大工の棟梁の弟子
になった。そこで厳しく仕事を仕込まれ、
めきめき腕を上げ、3年もすると一人前の大工になり。
家族を養うようになった。
兄は謎の男と客船に乗り、男の手伝いをしていた。
男はカードの詐欺師だった。兄は相手のカードを
後ろから見て、男にサインを送った。詐欺の相方をしていた。
ニ人で組み大きな客船から客船へ渡り歩いていた。
兄は美男子だった。いたるところで可愛がられ、
もてた、いつしか酒も覚え、一人前の詐欺師になっていた。
男がある船で客に大麻を売りつけようとしたら、
その相手がマフィアのボスで、逆に縄張りを荒されたと
痛い目にあっていた。兄は近くにあった暖炉の
大きな火バチを持ってマフィアのボスを一撃で倒した。
取り巻き連中の子分がいっせいに反撃してきた。兄と男は
すぐさま川へ飛び込み、息絶え絶え対岸にたどり着いた。
かなりの重傷です。男の姿は見えません。
大きな木の下で意識が薄らいでいきます。
その木はボロボロノキといわれる不思議な木でした。
ベニツチカメムシが巣を作っています。
緑の葉にびっしり、すずなり状態です。
みんな一つの家族です。
その中の一匹が彼の額に降りてきて、彼の意識を読み取るように
しばらくじっとしていました。
彼が完全に意識を失うと、そのカメムシは飛び立ちました。
なぜか、目指すは彼の住んでいた町です。
幾日も幾日もかかり彼の家族がいる町にたどり着きました。
弟が棟梁になり、家族の家を建てています。
その柱にへばり着いたカメムシはじっと弟たちを見つめています。
弟はそのカメムシに気付き捕まえました。
昔の彼なら一撃で殺していたところですが。
今は人の上に立ち、相手の気持ちが分かる優しい人間になっていたのです。
カメムシを森に返すと、しばらく、その後を見ていました。
消息の無い兄を思い出したのです。
昔、いっしょに森に行きカメムシを見つけ、殺そうとして
兄に止められたことを思い出したのです。
子供が彼のところに来て
「ご飯だよ。」と言ってます。彼の息子です。
カメムシは森へ返りながら
泣いていました。
心の奥で無くしたあったかい思いがよみがえります。
その時、兄は意識を取り戻しました。夢なのか?。
カメムシになって昔なつかしい所へ飛んで行ったような気がしました。
目頭からあついものが込み上げてきます。
家に帰ろう、帰りたい。
大声で「助けて!。」と叫びました。
天に届くほど大きな声です。
祈りました「私の罪をお許し下さい。どうか家族の所へ私を連れて行ってください。」
しばらくするとボロボロノキからいっせいにベニツチカメムシが飛び立ちました。
彼の思いを伝えるかのように、彼の町へ向かっています。
夕陽に赤く染められたベニツチカメムシは紅に燃える鬼火のようでした。
(眼我真の短編小説)
揺れ動く
(ヘンリー.ミラー美術館にて)
ヘンリー
ヘンリー
北回帰線に乗ってサンバが流れる
少し暗めの照明が
ヘンリーの宇宙空間を作り出す
色鮮やかな水彩たちが
踊り出す
バッサバナ バッサバナ
絵の中の
ローマ字の日本語も
konnitiwa
douzo
homi doki
バッサナバ バッサナバ
と踊り出す
見る側を楽しませ
ふと
人生を感じさせる水彩たち
わたしもいつしか
宇宙空間を浮遊する
チリのように
揺れ動く
こんな風に
楽しく
自由奔放に描きたい
わたしの心が揺れ動く
思い出作り
しゃぶしゃぶ だー
牛、豚肉を山盛り
しゅんぎく、白菜、椎茸、豆腐
野菜も山盛り
うどんはやめときましょう
おなかにたまりそう
1時間
さあさあ食べなされ
ごまダレ 醤油ダレ
おいしいよ
最初は味わい 味わい
「おいしいね!」と連発
そのうち
しだいに口数少なく
重くなる
トイレで席を立ち
店の外を一回り
少しはおなか減ったかな?
もうバンドはきつすぎる
隣の席はもう終わり
最後にマイタケご飯食べ
これで打ち止め
おなか止め
ホテルの部屋まで足重く
ゲッフゲップと坂道歩く
夏の日の思い出作り
もういいですと言いながら
明日の朝のバイキングを考える
わたしです
「詩」の表紙に戻る