8月の詩


骨タロー

大雨の後タローの墓を見たら 少し陥没していました   肉が朽ち 骨となりにし 我がタロー   そのうちすべて土に還り 地球の一部になります  


 汲み取り式便所

    汲み取り式便所でのおつりの付かない利用方法 その1 まずティシュを下に落とす            ウンチを落とすあたりにティシュを落とす            うまく落ちなかったら出来るまで繰り返す   その2 うまく落ちたらティシュの上に      ウンチが落ちるようにをする      これならおつりはきません   懐かしい汲み取り式便所   何故か    幼いころの自分を思い出します  


台風が残したもの

台風11号が後に残したものは 快晴と蒸し暑さと突風 すだれが激しく踊り  店の旗がハタハタなびき 自然の元気を呼び戻し 多くの人に 自然への畏敬を呼び戻し 父親の力強さ母親の経験が 子の尊敬を招き  わが家の団結を呼び戻しました   いろいろな思いを残して 立ち去った台風11号 夏も終わり  季節の変わり目を伝えます


「台風と錦鯉」

別府市山田町を流れる山田川 小学生のころよく台風で氾濫しました ある台風のとき石槌山の土砂が崩れ 山田川の流れを狭め 山際の山田町は床下浸水 私の家から見える高台の家では池が壊れ 逃げ出した錦鯉が道路をすいすい泳いでいました 兄がそれを捕まえたのですが 家にはそんな大きな鯉を入れる池がありません タライぐらいの池はありましたが 便所のすぐ脇にあるせいか よく便所虫が泳いでいたので その時はすでにペンキの筆洗い場になっていました 兄はしかたなく水の引いた川へその錦鯉を戻しました あの錦鯉は海へ行ったのでしょうか? 台風が来ると いまでもあの錦鯉が思い出されます 


休館日営業中

新美南吉記念館 地中に作られた近代建築 古墳を思い出させる外見 私たちは南吉のお墓参りに来たのかもしれません ちょうど13日のお盆です   庭には「手袋を買いに」のきつねの親子がいました そのわきで夏休みの宿題なのか? 小学生の子が母親に見守られながら スケッチをしています   今日は休館日 それでもちらほら人がいます 私は庭のトイレへ 換気がガンガン効いてます すごい音です 休館日に来られた人のためか? トイレは元気よく営業中です


追悼

連日の38℃ この暑さに老体は耐え切れず 熱中症で意識不明   息も荒く  時々苦しそうに引き付けを起こす 死臭を漂わせ下をする 生への執着なのか? それなのに・・・ さよならの一言も言わず  寝たまま無言の「さようなら」  開いた目にはもう何も映らない 触れば動きだそうな肉体 「タロー、タロー」と呼んでも返事が無い 呼吸の停止はタローから全てを取り上げたのか?   獣医さんは明日も来て下さいと言われたのに・・・ もう点滴をする必要も無くなった   朽ち果てる肉体を地中に埋める 硬直した後ろ足が入らない スッコプで穴を大きくする 妻はつい涙顔をする 息子は呆然としている 私は感情を殺して作業を淡々と続ける   首輪 鎖 好きだったナンを添え 土を掛け始める 妻が「花を入れて!」と叫ぶ 私は側に咲いている向日葵の花をむしり取り タローの体の上にそっと置く 妻と息子が手を合わせる 私は手を合わせない じっとタローを見下ろしながら土を掛けていく ただ淡々と作業をする 少しでも手を休めると 涙が溢れそうになる ただ淡々と土を掛けていく 汗が口に入ってくる しょっぱい! 額の汗を拭きながら真夏の太陽を見上げる 今日も38℃かと思いながら 土を掛けていく 妻が花壇の花を摘み タローの墓に手向ける   私は「さようなら」を言わない 肉体は朽ち果てても タローの記憶は私の中で生き続ける タローの思い出は私の胸の内を駆け巡る   8月2日午前6時 荒金タロー死す  16歳と6ヶ月  


7月の詩

散髪

髪切られ 思いと違い 口に出せずに 胸の内 泣き出す息子 梅雨の午後


私の世界

窓から見えるホーチュラスの花と大きく育った雑草 風に吹かれリズミカルにゆれる ラジオからはラテン音楽の情熱がリズミカルに流れてくる 一人の静かな時間 思いは巡る・・・   来週 五年ぶりに母と会う 別府からフェリーで大阪南港に着いて 私たちと合流そして京都へ・・・   今日は朝から 妻と息子が「千と千尋の神隠し」を見に行っている 私は朝の仕込みを終わらせ シャワーを浴びて汗を流し 店の中でただ一人の時間を過ごす   テーブルの上には 新聞 「ゲド戦記」 コヒーカップ 仕事用帽子 膝を立てて音楽を聞いている自分 エアコンの冷気に包まれ くつろぎの時間   外は真夏 歩く人もいない暑い午前  蝉の声だけが聞こえてくる   膝を立てている自分以外 誰もいない空間 私の創作の時 私の世界


閉ざされた空間

蝿が閉ざされた部屋の中に入って来た 右に左に行ったり来たり 閉ざされた部屋の何処から出られるのか? 入ってきた場所を覚えていたら そこから出ていけるのでは? しかし蝿はいつまでたっても右に左に行きったり来たり 人がこの閉ざされた空間に生まれ落ちた時のことを覚えていたら 閉ざされた空間から抜けだせるのでは? しかし人はいつまでたっても右に左に行ったり来たり 閉ざされた空間で生まれ死ぬ なぜこの閉ざされた空間に生まれたのか? この空間の外に何があるのか? 何も無いのか? 閉ざされた空間 閉ざされた自分


夕立ち

急に激しい雨が  降る 降る つられて人が 走る走る走る  急激な変化に追い付こうと必死に走る   我も走る ブチもクロも走る タロウは・・・寝ている この雨の中  雨にうたれても そのまま寝ている 抱き抱えるとやっと目を開ける  「何なの?」って顔をする 年を取るとは・・・ すべてを受け入れることかもしれない 必死に走ることもなく ただ受け入れる タロウの静かな顔が語ります 夕立ちも思えば天からの恵み 命の雨です


7月7日の別れ

彦星と織り姫が一年一度出会える日に あなたとお別れしなくてはならないなんて・・・ これも運命? 別れは寂しいけれど 別れがあるから出会いがあると思えば なんのその こんな坂 さあ 手を振り 足踏みしながらお別れよ! 元気にね! お互い新しい出会いを探しましょう は〜い 一歩前へ! 私は振り向かない女なの!   来年の7月7日の夜が楽しみだわ またあなたに出会えるかしら


信頼

タロウが暑そうにハッ、ハッ、ハッと 息をしている アゴの下に手を添えると 手に頭を預けてくる 安心したように呼吸が落ち着く 手にタロウの重さと信頼を感じる 見つめ合う目 ふとタロウの足元に目をやると 蟻が体の数倍あるタロウの餌の残りを運んでいる その横でタマ虫がごそごそ動いている 踏みにじられ忘れられているこれらの虫たち 手の中のタロウの重さと同じ重さが これらの虫たちにもあるのだと思えたとき   自分もこれらの虫と同じなのです 生きていることに意義があるのです   手に残るタロウの重さと信頼が 生きる仲間を意識させます  


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