::: 梯子獅子の起源 :::

名古屋市中村区大秋町の長老で、梯子獅子や太鼓を経験した木村利三郎氏、笛を吹いた青山定次郎氏の口述によれば、今から四百数十年前に大秋村から知多郡大脇村へ伝授したことが明らかであります。大秋町では大正9年まで梯子獅子が行われており、大脇のほかに日比津村その他にも伝えたということであります。

梯子獅子は、大脇神明社例大祭の日に豊年感謝の意をもって奉納され、部落の若者たちにより受け継がれてきましたが、梯子獅子が大脇部落に今も存在しているのは、当時の庄屋であった相羽養元の力によるところが大であります。

養元は自分の屋敷内に櫓を立て、若者を集めて練習をさせ、稽古の最終日には、それぞれの演技担当の師匠と出演者を決め、祭礼時の奉納にあたるという熱の入れ様でありました。

このようにして、豊年の年だけに奉納される時代が長く続きましたが、明治維新の頃に約20年間途絶えておりました。

しかし明治22年、梯子獅子の中断をなげく同志が復興に尽力し、後継者の養成に努めたことにより、現在もその芸を見ることができるようになりました。

The Sisi which rises a ladder