(U-2) 8章 産業革命が東洋を制圧
15〜18世紀に展開したヨーロッパ科学技術の進歩する機構と社会国家構造の関係を見てきたが、19〜21世紀になってもその構造は変わっていない。
1840〜1842年のアヘン戦争・1853年のペリー日本来航の時は、前の章までに述べた科学技術より進歩した艦船と火砲を以って、清国を屈服させ日本に開国を行わせた。鋼製の銃・砲は発明された工作機械・切削工具で加工し、雷管使用の上ライフル化を進め年々性能が向上していた。進歩の少なかった日本・清国とヨーロッパの差は300〜400年で子供と大人の差に等しい様になっていた。
東洋の屈服はルネサンスに始まった思想・社会・制度を含めた科学精神の結果だと言える。以上の変化の無かった東洋諸国を制圧し、それが第二部「西ヨーロッパ諸国の発展と科学」の結論でありヨーロッパが勝者として選択され、日本は辛うじて免れたがアジア諸国は殆ど西ヨーロッパの植民地となった。
ルネサンスに始まった科学の進歩による社会の変化は、他歴史に例のないものでギリシャには断片的にあったが、因が果となり果が因となる発展はなかった。これはギリシャの知が今一つだったからで、真実を自分で確かめる、しかも普遍的である必要がある、即ち誰が確かめても同じ結果でなくてはならない事が知識の根本だと西ヨーロッパが気付いたことに差がある。くどかったが要は知識理論がオープンに実証される事が必要だ。
西ヨーロッパの科学技術の進歩には日本も参加して、19世紀・20世紀・21世紀に至るまで止まるところを知らない。このまま行くであろうかと言うと問題が幾つかある。一つはエネルギー枯渇問題であり、産業革命最大のポイントは木材が無くなり石炭によりエネルギーを得て、機械文明が進展した。現在は電力・重油・天然ガス・原子力にエネルギー源が変化しているが、エネルギーが近代文明の根幹で或る事に変わりは無い。これらが無くなる又はあっても使用できない(原子力の場合)事態が来たら根本的打撃をうけ、その可能性がある。
又科学の進歩は人口の増加を招き食糧問題に不安があり、環境劣化から生存し難くなるかもしれない。
エネルギーに限界があり、人の住む領域、食糧の生産限度これらにも限界がある。人間が自然を変化させ森林を切り開き耕地にし、大気の成分の変化を作り出し、石油を原料にした化学物質で、40億の歴史にない生物の生存に害のある物質を放出し続けている可能性がある。
これらは皆未来にブレーキがかかり、産業革命に端を発した科学技術文明は行き詰まると考えられる。それでどうすべきか答えはわからない。
唯産業革命を生んだ原因、「自分で真実を確かめ先入観を入れず正しい結論を得る」と言う考え方即ち科学が誤っているわけでは無く、今後問題解決の鍵となろう。
page.20.html V 1章 人類の発祥・農耕開始・国家形成へ
index.html 目次 へ