(T)2章 正義、倫理はどこにあるのか

2-1 倫理の起原

生命は自己の拡大と永続を基本とする。しかし生命が存在出来る世界は一定の限界があり拡大と矛盾する。生命の拡大は滅亡とセットになって成立する。しかし拡大する生命と滅亡する生命は元来同一のものであり、正義,倫理の根源はここにある。生命がすべて同一であるとゆうことは生を有するものすべてに公平,平等を絶対に要求してくる。

                                                                                                                          

正義,倫理の根源は40億年前に生命が生じた時できたものと考えられ、生命そのものである。之に背く者はやがて酬いを受け滅亡に向かうであろう。生き残る者は忠実に之に従うべきである。しかし其の具体的条項については人が其の都度直接考え抜く外ない。                                                                                                                         

其の結果古今無数の思想,宗教が生じ、いずれも我々を豊かにし安定をもたらした。それでも尚どれも矛盾を含み争いの原因となり災いを受けた。正義に至っては更にいかがわしい場合もある。それでも尚先人の労苦に感謝し、その業績を受け改善を加え正義と倫理を求めざるを得ない。其の理由は相争う生命すべてが植物細菌に至るまで、分子生物学で証明される通り同一の祖先から生じた同じ生命だからである。つまりすべての生命は同じものであり絶対平等が本質なのだ。

平等,博愛は当然のことであり真の生命とするには、正義と倫理を求めざるを得ない。その生命の根源は絶対の力を我々に要求してくる。

2-2 宗教

宗教の役割 社会が成立するには利害の共通もあるが、第一には共通した考え方が柱になることが必要である。そのため思想哲学が多く創造されたが何よりも宗教である。

世界に成立している主な宗教はキリスト教・イスラム・仏教である。キリスト教・イスラム教は共通した面があり社会の歪みから生ずる苦しみから人を救う側面即ち社会性が強い。仏教は生老病死に対する真実を示し人の不安を取り除く、即ち人の本質を対象にしている。

なかでもイスラムは成立時武力で布教を進めたいきさつもあり,政教一致の傾向が今日でも強い。キリスト教は社会の底辺から生まれた宗教であるけれども,中世ヨーロッパで各国の勢力争いに絡み紛争が絶えなかった。

それでもキリスト教・イスラム教のおかげで大きな区域が安定な方向に進んだ事は事実でありこれらを除いて今日の世界は無い。

仏教は社会的な面が少なかったことから社会・国家の紛争の原因にならなかったが、結果として世界に占める勢力が大きくならなかった。

宗教がなくても社会を形成している国  日本と中国がそれに当たる。考えられる理由として日本では仏教が死と関連して国民との絆が残ってはいるが、何と言っても皇室の存在が社会の安定を作り出している。

中国は共産主義で国を規律しているが経済発展が続いて社会が変化すると今後とも共産主義で規律しきれるのか問題がある。

宗教の限界  以上宗教は社会を支える柱にはなるけれども異なる社会の間に共通した柱にはならない。同じ社会の中でさえ宗派の異なるものが出て争いを作る事さえある。まして国家間の利害の調整力はなく基本的正義とはならない。現在でも宗教と民族の利害が絡んで長年見通しのつかない紛争がいくつかあり、代表として北アイルランド(プロテスタントイギリス系とカトリックアイルランド系)・パレスチナ(ユダヤイスラエルとイスラムパレスチナ)・カシミール(イスラムパキスタンとヒンズーインド)などがあげられる。

宗教は生命の正義を補完する位置にあるが先頭に立った時問題が起きる。

 

2-3 倫理の求める永遠性

倫理をきめる圧力に生命の永遠性がある。現存するすべての生命は色々の経路を経て40億年生きて来ている。今後地球の状況が変化して永久に生きていられなくなりまで、我々の生命を保つ事が努めである。そんな難しく考えるまでもなく40億年の年月は過ぎ去りこの地上に沢山のドラマを残した。沢山の種類の生物は本質的に同じものなら変わらず続いたといえる。

地球全体が凍りついた時期もあり、長い辛い日々を経過したともよくも続いたとも考えられる。

成長が容易な時代に倫理を保つ事はたやすく夢と希望に満ちた明るい時代に見える。

しかしその経験は長い時代を保ち抜くことには必ずしも役に立たない。ゼロ成長の枠の中で未来に繋ぐには、状況の変化に対し自己及び社会の改善に対し工夫,努力,克己を旨とし他人に対する愛と公平を必要とする。これらが不足する者は全体の生命を安全に保つのに不利なので自然と退場せざるをえなくなる。人類約300万年の成長の歴史にも局所的にいくらでもゼロ成長が多く生じた事実がある。

ゼロ成長の世界は正に希望,努力,克己,公平,愛情,思いやりが厳しく存在して始めて安定に成立する社会である。

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