(W)4章日本人の使命

今後の生命の流れに対しては過去からの必然性に加えて、自らの働きかけが重要でこれを除いては議論が無意味となる。

41 日本の世界への働きかけの始まり

1945815日対連合軍正しくは対米降伏の日が世界への働きかけの始まりである。この大東亜戦争又は 太平洋戦争は避けられる可能性はあったが日本人にはできなかった。

対米戦の結果日本は悲惨な状態になったが欧米のアジアに於ける覇権もまた後退した。だからといってその方が良かったとも悪かったとも言えない。無かった歴史を分析しても意味の無いことで、生じた事態をどう捉え反省除去し補正するか、何を肯定し勇気を奮い災いを転じて福となすことが大切である。V部7章(71〜76)で明治維新から第二次大戦の敗戦と復興までを取り扱ったが、その間に起こった事は数千年の人類歴史で起こったことと同じで、軍事経済力に優れた者が勝ち最終的にアメリカが日本を下し覇権を握り廃墟となった日本が勝者アメリカの支配下で復興し属国状態になった。

ただし史上起こらなかったことがある。対米戦で祖国を守るため守備隊の玉砕、航空機の特攻等により(その実情は美談と言うより無惨な面が多く二度と起こしてはならぬが、父母・兄弟・姉妹・同胞等祖国を守る心情が無くては成立しない。ご冥福を祈るのみである。)世界の常識からは狂気としか考えられない防衛戦を行い、飢えた日本人一億の滅亡一歩手前で降伏し、将来に命を繋いだ。

西暦73年ローマ軍に服しないユダヤ熱心党960人がローマ軍を相手にマサダに立てこもり女子供数人を残し全員死んだ様相と似ているが、日本の場合国家全員でありそのような土壇場にも政府国家の組織は保たれており、降伏後責任を感じ自決するもの多くその死に様に心を打たれるものも多かった。

占領軍に押し付けられたと言う人も多いが、国の運命を戦争に委ねる愚を心底より悟った。侵される時は他国(たとえば米国)の助けが無くても自ら守り抜く覚悟をもって、国家間のトラブルを武力で解決することを永遠に止める決心をした。これは人類の新しい時代を開くものになるだろう。

42  19902010(現在)日本の置かれた状況

1945              815日ポツダム条約を受諾、全面降伏を行い天皇は日本国民が選択すれば認められるがマッカーサーの支配下に置かれることになった。幸運なことにソ連とアメリカの対立が生じ、アメリカは日本を利用する方向をとった。19519月サンフランシスコ講和条約後占領は終わったが、日米安全保障条約を結び日本はソ連に対する保安を得、アメリカは日本国内に多くの基地を保有し日本にたいし支配的立場を保ち続け、フィリッピンの基地と共に東アジアを制圧できた。

わが国はアメリカの属国状態であったが、その保障のもとに目覚しい経済発展を遂げ戦前では考えられない生活水準となり、アメリカに引け目を感ずることが無くなったが子分の状態に変りはない。威勢のよいことを述べる人も多くいるが、犬の遠吠えでことアメリカに及び利害の対立を突きつけられると忽ち従う有様である。アメリカ従属ベッタリグループとアメリカに対し威勢のよいグループの左右両者があるが、両者するには共に矛盾がある。

左に徹すれば対アメリカのみならず中国、韓国、北鮮に対して犯した罪を陳謝し許をもらい、代償を支払うとすれば量計は誰が査定するのか。また陳謝と賠償を行っても心のわだかまりは永遠に消えることがない。

結局極東裁判での結論に日本は服するのみで個別的問題は付加的に話し合いで合意する以外ないが、極東裁判の枠をこえることはない。

右に徹すれば勝者アメリカと対立する事項で日本の主張をのませることができるのか。国内論争で左を攻撃して勝った積もりの矢先がアメリカに突き刺さり、アメリカから厳しく咎められ右の持論を後退する例は多いが、その逆即ちアメリカを説得できた例を聞いたことが無い。最近でも靖国神社遊就館の英文パンフレットの改定、村山談話・河野声明の継承などアメリカにクレームをつけられ、右派の大事な意見を翻したもので、内に強く外に弱いまことに情けない限りである。

しかし同時に自虐と言はれてもいつかアメリカを克服する気力がどこかに残っていたことは間違いない。その気力が残っていたからこそ廃墟からの経済復興が可能であった。だからと言って従属状態にあることは変わりなくプライドを持てる状態ではない。アメリカの政策から生じた要求に対しては100%近く受け入れている。

1945年の終戦から現在の2007年まで日本は左右に二分極化し、今後も長期に亘って漂い続けるであろう。

その発端は1945年ではなく1853年のペリー来航からである。欧米との格差をまざまざと見せられ、2000年の伝統に秘めた自尊心との間に右往左往した。尊皇攘夷と開国佐幕の争いは尊皇派が攘夷を捨て開国を取り入れて勝利、明治政府が発足和魂洋才を宗とし欧米の技術制度を急速に取り入れた。清国、ロシアの圧迫に対処して日清戦争、日露戦争と勝ち抜きこの間左右の紛争の暇は無く国内一致して国の保安に成功した。この後1910年頃からは自由な風潮だった大正デモクラシーは1931年大きく右にふれ満州事変が起こった。1935年昭和天皇も同意見であった美濃部達吉の天皇機関説を、貴族院で陸軍中将菊池武夫が学匪、謀反人と面罵非難し、猛烈な軍部右翼の攻撃があり同調者が学会を支配し、美濃部は勿論関連する勢力は袋叩きにされ大学に大量処分者が出て日本は右一色になり、そのまま対支、対米戦になだれこんだ。左右相克の事態であったら賢明な歴史を辿たろう。左右相克は激しくて結構それが進歩のエンジンになる。

43  従属から何時放たれるか

1868年明治維新から140年近く経った今も経済・制度・技術どれをとっても世界中遜色ないが極東裁判の尾をひきずり従属国家の域をでない。経済・技術・工業力で日本より低い国でもアメリカ等に従属してない国がいくつもある。日本がそうなれるのは、アメリカに劣った分野が無くなったときである。日本は経済大国になったが、まだアメリカにおとる。更に科学、ビジネスの合理性、防衛軍事力等いまひとつである。日本のハードルが高いのはアメリカとの戦いに敗れ降伏したからである。日本は己の欠点を反省し戦後目覚しい進歩を遂げたが、相手もそれなりの進歩をとげるし全く従属感から放たれるのは2~300年以上かかるかもしれない。ユダヤ人がローマによりイスラエルより追放され世界に散らばって1948年度イスラエルに建国するまで約1900年を要した。その間ユダヤ人には第T部3章平等と不平等に扱ったような進化が起こったのではないか。近世彼らのような立場の民族で才能を伸ばしやすい学者世界に巨星を出し、原子物理学を築き上げた。(第二次世界大戦前にナチスを逃れ他ユダヤ系学者はボーア、フェルミ、シラード、ウイグナー、オットーフリッシュ、オッペンハイマー、パイエルス、テラー、リーゼマイトナー・・・・当時の大物ばかりで核爆弾開発の原動力になった)

彼らの例は通常ではないが、歴史上覇者の生命はほとんど2~300年だし新興勢力も2~300年もあれば成立する。推測だが進化と退化はその位の年限で起こると考えたいし、数千年の歴史が暗示している。明治維新から140年ということは、あと160年もすれば事態の変転がよういになる。それまで辛抱強く左右相克により内部改良をつづければよい。

ところが現在の覇者を揺るがす事態が起こりつつある。それは覇者にたいしてのみならず被支配者を含み新しい文明を作り直さなくてはならないことになる。

現在の文明の基礎となる化石燃料化石燃料第三部4章で化石燃料の枯渇が50~100年と考えていたが2000~2007年のBRICsの成長石油の消費増からすると50年以前に起こるかもしれない。最近の原油値段の高騰や中国のなりふり構わぬ石油あさりは勿論だが、米国は軍事経済力に物を言わせ中東は勿論最近はアフリカの石油の出るところ出そうな所に軍事基地をおき世界の石油を抑えんとしている。たとえそんなことをしても最近の発見石油埋蔵量は小さく激増する需要をまかなえない。

1760~1770年に始まった産業革命による豊かな経済、強大な軍事力はエネルギーの枯渇とともに消滅する。石炭はまだかなり在り液化すればよいがヨーロッパ文明は限界を示しご破算にして、科学は発見されていたが化石燃料の利用の無かった1770年以前に戻ってやり直さなくてはならない。

この事態で現在世界の軍事経済力がほとんど無くなり、平等化しやり直しが50年以内に起こればその時点で覇権国も従属国もなくなる。この段階で日本人は大東亜戦争の経験から世界の戦争と核爆根絶に集中することを国是としなくてはならない。

 

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