(T) 6章
貧富の差のない理想の社会が実現できるか
6-1
原則
素質,能力の不平等は長期間の努力を前提として消し去ることが出来るから、貧富の差も又解消出来ると考えたい所であるけれども、現実には二つの理由で実現不可能であり又望ましくない。第一の理由は生命の構造は平等な世界が生ずるのを避けるはずである。平等の社会からは改善向上し事態を良い方向に持ってゆく活性生まれず、生命全体が滅亡の方向に向かう危険がある。又素質,能力の低い者が必ずしも向上克服しようと全員努力するとは限らない。その可能性が残されているだけで実行するかどうかは本人次第である。又優れた素質能力のある者は概して富んだ環境にあることが多く、努力する傾向は時と共に消滅し長い年代の後には素質,能力,社会的地位,富を失うのが歴史の法則である。遺伝子の変化が伴う事もやがて分子生物学によって解明されると思う。
第二の理由は1章に述べたように地球上の生命成長は限界があり、人類も又この限界に立ち至っているからである。この状態では一つの成長があればそれに見合う消滅が生じ、皆揃って成長するわけには行かないのである。消滅は人道上避けるべき現象とはいえない。無理に強い苦しみを与えるならば問題であるが、滅亡はおそらく自然に生ずるだろうし、何が強者で何が弱者かいまひとつ分らないから弱者が滅びて強者が残るともかぎらない。
日々の努力を重ね続けることが真の価値であり結果はやがてついて来る。ただし成果の現れる時期にずれがあり非常に長期間かかることがあり、場合によっては数世代にもわたることさえある。しかし真の価値は日々の努力
なのであり、目先の成果を追求して一時的に成功してもやがて消え去る運命にあり正義を見誤ってはならない。日々努力を重ねることは絶対平等であり人間の真実である。
生命はこの面について平等であり人が調整に立ち至る分野はない。貧富の差が無い事が長年続くと悪を生ずる原因にもなり、同時に差のあり続ける事も悪を生ずる原因となる。矛盾に満ちたこの世界に希望を持って問題解決に努力し抜いて生を終えることが地球生命の義務である。
6-2 原則の通用しない後進国
アフリカの多くの国・バングラデイシュ・中南米の一部・国なき民クルドいずれも未来に対し光のみえない所である。いかなる助力が効果あるか見通しがない。人口増加の多いところでもあり食糧援助が又それを助長している可能性もある
はっきりしていることは自助の要素が欠けており、それがこの事態を招いている。
6-3 必要な措置
先進国内で平等と不平等が生ずる原因,先進国と後進国間の平等と不平等が生ずる原因すべてについて生命は平等であり人間が調整に立ち入る分野はない。根本的には自助であって矛盾に満ちた世界を解決するには自助を中心に途方もない長時間の努力を重ねる必要がある。自助の要素が生じない所は長い年月のなかでに自然消滅せざるをえない。自助は生命の尊厳であり歴史社会の原動力,倫理である。
後進国に対する助力は成長の限界への挑戦と併せて我が国の未来を保証する最大の課題となる。
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