パーカー 51



 (1941年〜1970年代後半)
                      

 
       
 

 

 

 
「右の6本がParker 51」 「初期のブルーダイヤ」 「初期のバクマチックフィラー」
 
 「Parker 51」は、パーカー社の中でも、製造販売がロングランの製品で、30年間にわたり2千万本が販売されている。良く比較される万年筆に「Parker 75」があるが、こちらのペンは約16年間に1,100万本であった。このことからも「Parker 51」がいかに流通したペンであったかをうかがうことができる。我が国へは、終戦後のアメリカ軍の統治があり、進駐軍の物資としても大量に入荷した。
 「Parker 51」の命名の由来は、1939年にこの万年筆の設計が完成したことに始まる。折しもこの年がParker社の創業51周年目であったことや、ゴロのいいことからこの名が付けられたそうである。
 販売期間が1941年から1977年頃までの36年間のロングラン商品であり、数々の改良がなされている。多くのコレクターや、研究者は機能や付加価値などから4タイプに分類している 。通称として「Parker 51の4兄弟」と言うように分類することができる。
 
 
       
  「バクマッチク・ペン」   「初期のParker 51」   「バクマッチク・ペンのフィラー」  
 
Type1(1941年〜1948年)

 
初期タイプであり、「Parker 51」の前のバクマッチクの機構を継承し、インクの補給方式はバキュマティック方式が取り入れられている。これは「パーカーの歴史」のところで紹介した「バキュマティック・ペン」と同じインク補給方式 なのである。また、キャップのクリップの矢羽根にバクマッチクと同様なブルーのダイヤモンドマークが付けられている。
 「Parker 51」の直前のペンがバキュマティック・ペン出あることから、インクの補給方法も同一方法であったようだ。左の写真のように軸尻のキャップを外すとボタンが出てくる。ペン先をインクボトルに入れて、ボタンを押して放すと、胴軸内にインクが吸入される仕組みとなっている。
 40年代の後半には、女性用としてDemiモデルが発売された。「パーカー51」はやや、太めであり、日本人には大きめであり、デミモデルを男性も愛用していた。イギリスでは「レディ」という小型のペンが出されていた。
 
 
       
  「初期のParker 51のフィラー」   Type 2−1   「Type 2−3」  

Type 2− 2のエアロフィラー」


Type 2 (1948年〜1872年)

 現存している「Parker 51」の殆どがこのタイプで、生産数も最も多い。インクの補給方法はエアロシステム(Aeromatic Filling System)で、インクの補充方法が最も安定してきた。そのため人気が急上昇し、色々な材質を使ったり、装飾が施されたりしたペンが造られた。

 Type 2−1
(1948年頃以降)
 インクフィラーにはプラスチック製のインクを貯蔵するサックが入っていて、金属バーを押して空気を追い出し、ペン先をインクボトルに突っ込み、金属バーを放しインクを吸い込むのである。
 Type 2−1では、”TO  FILL  PRESS  RIBBED  BAR  6  TIMES  ”とフィラーに刻印されている。

 Type 2−2(1950年頃以降)
 インクフィラーは、上の写真のようにガッチリと金属に貯蔵サックが保護されている。

 Type 2−3(1950年以降)に「パーカー51  Special」が造られた。このペンのインクフィラーは、物理的にはバキュマティック方式の逆発想で、エアロプレッシャーの金属バーがU字型である。U字型の金属の中に貯蔵サックがあり、U字型をつまみ吸入するのである。
 また、ニブも金からオクタニュウムという合金を使ったり、キャップにも装飾意識が加わり、金属キャップ、クロームキャップ、イギリス製では金張りのものも造られていた。 比較的高価であったが、フライター(Flighter)などは結構安くなってきて人気が出てきていた。
 

 

「Parker 51 12KFGのセット」

「Parker 51 Flighter」

 
「Type 2−2のFP・SPのセット」 「12金メッキのキャップ」 「FP-19.75$、SP-10.250$」
「Type 2のFP・SPのセット」 「ノック方式のシャープペンシル」 「0.9oの芯」

Type 3(1969年〜1970年頃)

 この頃になると、次期開発商品として1956年から販売されていた「Parker 61」などに取り入れられていた金張りでストライブ柄のデザインの「Parker 51」も多く売られていた。61との違いは、51の方が全長で1センチ、胴軸直径で1ミリと大きいこと。61の首軸にゴールドのアローマークが付けられていること。インクフィラーが毛細管現象を応用したCAPILLARY  FILLER が使われていることで区別が付く。
 

「Type 4のParker 51」

「上 Type 3のエアロフィラー」
「下 Yype 4のカートリッジ 」
「Type 4のParker 51」

Type 4(1970年〜1970年代中後半)

 ほぼ「パーカー51」はこの時点で完成の域に到達しており、首軸と胴軸のねじが金属製となったものも製造されて、現代ペンの原型となったと言える。同じデザインで、ボールペンやシャープペンシル のセットものも数多くも造られて販売された。
 
「Yype 4のカートリッジ」 「飛行機を思わせる風貌」 「金メッキのキャップ」