パーカー  65 (1969年〜1975年) 

 

 
 


「オープンニブ」


 「パーカー 61」の後継である「パーカー 65」は、これまで Hooded Nib で、ペン先がフードで覆われていたが、オープン・ニブで登場した。
 これまでより、ニブが大きくなり、またオープンニブということで、漢字を多用する人にとっては、ペン先のしなやかさなど書き味の良いペンとして生まれ変わったと言える。
 万年筆全体のスタイルは、「パーカー 61」とそっくりで、首軸から先だけが異なっている。
 
 
 
 右の写真では、キャップがされているために区別が付かないが、下が12KGFキャップの「パーカー 65」である。「パーカー 51」と極似していると言われているが、ペンの大きさ(胴周り、長さ)からみても「パーカー 61」と全く同じ大きさであること、キャップクリップの矢羽根デザインが、若干「パーカー 51」に似ていた時期があったようだ。
 

 
 

 
  「パーカー 65」 「オープン・ニブ」 「エアロ・インクフィラー」  

 この「パーカー 65」がオープン。ニブになって以降、復刻された「パーカー 51」以外 Hooded Nib の万年筆は造られなくなったのは、寂しい気がする。
 「パーカー 61」の発売は1956年で、この「パーカー 65」は1969年の発売となっている。しかし、これより5年前の1964年に「パーカー 75」が発売されているし、1960年には「パーカー 45」が発売となっている。このことから、パーカー万年筆の命名については、番手の数字が大きくなるという規則的なものでなく、開発時の工夫や、開発時期が創業からの経過年数であったり、他の商品からヒント (参考例「Parker 45」はコルト45というピストルが流行した時期に製造された。)を得て付けられたりした。
 
《 追 加 》  07’−01−27
「上 後期type」
「下 初期type」
「上の初期型が5mm長い」 「上 初期の固定エアロ型」
「下 後期カートリッジ型」


 最近のオークションにパーカーのビンテージ万年筆の出品が少なくなってきた。そんな中で、「Parker 65」の出品があり、キャップがステンレス製であったので早速入札した。入手した(上の写真の黒い方)万年筆の点検とクリーニングに早速取りかかって、驚いた。
 インクフィラーが「Parker 51」のType V と同じ物が取り付けられているのである。「Parker 65」は、「Parker 61」に導入された Capillary Filler(毛細管スポイト)方式が不評でカートリッジ方式のエアロフィラーに改善されたはずである。であるのに後継機種の「Parker 65」に固定式のエアロフィラーが導入されていたのである。
 このことから考えられることは、「Parker 65」は「Parker 61」から開発された後継機種ではなく、全く別に開発されていたのであろう。その根拠として、以下の点が上げられる。1点は、「Parker 61」のペン先については何も問題はなかったが、ペン先をフーテッドタイプからオープンニブにしたこと。また、インクフィラーを「Parker 51」のType V と同じ物を取り付けた初期型はキャップをした状態で、「Parker 61」よりも5mm程長い。それが後期型になるとインクフィラーはカートリッジ方式のエアロフィラーになり、「Parker 61」や「VS」や「VP」とサイズに変 えられているからである。
 

「黒が初期type」 「Nib部分」 「セクション部分」


 初期型「Parker 65」が5mm程長いのは、取り付けられてエアロフィラーが長いためであり、そのためにバレル(胴軸)が長くなっているのである。この長さ以外のニブ、キャップ、クリップ、
tassies(天冠)などは全く「Parker 61」などと同じ作りである。このためにキャップを外してみないと「61」「65」「VP」なのか区別がつけられない。
 

「キャップ部分」 「左 前期キャップ」