Parker Eye dropper

       (Lucky Curve Pen #2)

        1900年 発売

 
     
       
「差し込みのキャップ」 「幅広のバンド」 「手彫りの彫金バンド」

 今回紹介する万年筆は「Parker Eye Dropper」である。100年以上も前に販売された万年筆で、当時としては大変貴重で高価なものであった。従って、稀少性が高 く、歴史的にも価値の高い万年筆である。多くのコレクターが注目する貴重な万年筆である。中でも今回紹介する万年筆は、「Parker Lucky Curve Pen」(パーカー・ラッキー・カーブ・ペン)の初期モデルなのである。材質は黒の硬質ゴム(エボナイト)製で、全長約120mm、キャップを尻部にはめると約157mmの長めのサイズである。軸はやや細めで、バレル部分で8mm、キャップで10mmである。
 キャップにクリップはなく、手彫りによる彫金バンドが填め込まれている。バレルの全体にはすべりどめの模様彫りが施されてあり、Parker Duofold Penに常用されてきているリボンの中に「
LUCKY CURVE」 GEO.S PARKER FOUNTAIN PEN JANESVILLE WIS  U.S.Aとインプリントされている。
 Nib(ペン先)には「PARKER LUCKY CURVE PEN 「2」と刻印されている。この「2」はペン先の太さを表していると言われている。
 
       
「黒の硬質ゴム製」 「バレルのインプリント」 「滑り止めの模様彫刻」

 
Eyedoropper(点眼器式)のペンはインクの補給が厄介であり、スポイトが必要であった。バレルを垂直に保って作業をしなければ、インクがこぼれてしまう 。また、セクションをきつく閉めないとインクがにじみ出してくるのである。セクションとバレルのネジの摩耗によりどうしてもインクが漏れ出してしまう 。インク漏れが頻繁に起こったのか、ペンケースに入れて持ち運んだと思われる。(ポケットに差し込み持ち運びすることは無かったのであろう。)それで、 当時の万年筆のキャップには、クリップもトップリングも取り付けられてなかったのである。
 
       
「セクションとNIb」 「ペン芯(横面)」 「ペン芯(裏面)」

 
このEye dropper(点眼器式)の万年筆では、スポイトを使ってバレル(胴軸)に直接インクを 入れていた。そして、バレルにペン芯部分をねじ込んで使用したのである。従ってインクが漏れることがしばしばおこる。そのために、セクションのねじ込み部分も長く作られている。しかし、インク漏れを防ぐシールド方法として、ワックスをネジ山に塗りつけて使用したと言われている。
 この頃はまだ高価な物であり、また、現存する物の多くに豪華な装飾が施されているものが多い。このことから考えると、これは裕福な上流階級に属する人の持ち物であったと思われる。
 以下に、この頃に販売された
Eye dropper式の万年筆を数点、資料から紹介する。詳しい資料も乏しくて、資料説明も分かっているものだけとする。今後調べていき、より確かな物としていきたいと思っている。
 
 

 

 

 

   
高浮彫り金張バンド 「Black Giant 」 「ソリッド・ゴールド」
「高浮彫り金張りバンド(1909)」
 
これは、 キャップが差し込み式の万年筆である。クリップはなく天冠に金張りの装飾が施されている。バレル(胴軸)にも幅の広い
高浮彫り金張バンドが付けられている。

「パーカーBlack Giant(1918)

 
この万年筆は、大きなキャップはねじ式である、クリップが付けられた「Eye dropper(点眼器フィラー)」である。長さ15.5cmで黒い硬質ゴム製である。クリップはニッケル でメッキ仕上げである。この万年筆本体のデザインが以後のDuofoldに引き継がれていったのである。
 
         

「金張金線細工」

「金張細工」