≪Hane (feather) ≫
Parker蒔絵万年筆
2005年限定五十本販売 Ha ne 「羽 根」
羽根とパーカー万年筆のつながりは2つある。その1つはペンの語源である。筆記具の発祥は、古代エジプト時代のナイル河流域で発祥したパピルスに「葦ペン」で文字を書いたことのようである。この文化がやがてヨーロッパに伝わっていったが、肝心の「葦」が豊富に入手できなく、その代用として鳥の羽根が用いられたのである。「PEN」の語源は「鳥の羽根」を指すラテン語なのである。「羽根ペン」は、羊皮紙とともに7世紀頃から使われ始めて19世紀初頭まで使われた筆記具であった。1803年にやっと金属ペンが登場し、後に万年筆へと移りかわってきたのである。 2つめの関連は、パーカー万年筆のクリップに関連したことである。パーカー社の商標とも言える「矢羽根」は、1933年に美しいプラスチック軸の「バキュマティック・ペン」の製造販売を始めた。その萬年筆に付けたのが最初で、このデザインはジョゼフ・プラットというニューヨーク在住のデザイナーの考案であった。矢羽根のように「常により良い製品を開発追求し続けよう。」という当時の社長の向上心を表現したのではないかと想像できる。蒔絵万年筆「羽根」をモチーフにしたのは、こうしたペンやパーカーブランドの原点を振り返り、よりよい製品、一層愛される製品、より高品質なものを目指す決意が感じられる。
この「羽根」の制作に使われた蒔絵は、軽やかに舞い上がる「羽根」のディテールまでを「総研ぎ出し」という最も難しい技法で、細かな部分まで見事に表現されている。作業工程は、 @ 万年筆に合うよう配置他、技法も考慮し型紙を作る。 A 地面全体を漆で薄く地塗りをし、金粗粉を薄く均等にまく。 B 朴炭を細く切った針炭で文様以外の地面を傷つけないよう慎重に研ぐ。 C 漆で2回目の全体塗りこみをする。 D 文様と周りの薄蒔きの部分が同じ高さになるように平坦になるまで仕上げ研ぎをする。