Parker 「老 松」  

「老松(oimatsu)」

 パーカー蒔絵万年筆

  2002年限定七十本販売

 
   「老 松」
(oimatsu)

  「Gift boxの外箱」   「落ち着いた木製の箱」   「頒布品一式」  

 Parker社は、2000年になって「Duofold Special Edition」と題して、日本の伝統工芸の蒔絵シリーズの制作販売を実施した。丁度、ミレニアム問題が解決し、バブルによる経済問題もどん底を脱して来た絶好のタイミングであった。バブルの崩壊後に流通改革が進むと共に、大型大量販売による安価な品物が街にあふれるようになった。しかし、その一方で「本物指向」も目を出しかけて来た折りの販売開始であった。今回紹介するのは2002年に発売された「老松」 (Oimatsu)である。
 
  「醸成された日本の美」   「風格のある老松の雅さ」   「キャップリングの
       シリアルNo」
 


 万年筆は、お椀や重箱とは違って、細くしかも円筒状である。従って緻密に美しく描き上げられた蒔絵万年筆は、もう美術品であるといる。「老松」は風格、重厚さと共に優美で流れるような絵であ る。それはまた、控えめな金色の輝きで、日本の自然を最も端的に表現している。Parker社の1921年から営々と製品開発に努め、磨き上げて来た万年筆の「Duofold」に、 新たな息吹を注ぎ込んだ。それは400年の伝統を有する加賀蒔絵の高度な漆技術を導入したのである。そのために、Parker社は卓越した技量のある作家 を選定した。この作家の精魂込めて仕上げた万年筆が、今回紹介する蒔絵「老松」(Oimatsu)である。

 初期の蒔絵シリーズの作者は「東藤達也」作の制作によるもので、日本の風情を物語る植物が題材となっている。 この蒔絵万年筆の制作には、ほぼ1ヶ月半を費やした作業行程によりキャップ、セクション(首軸)バレル(胴軸)に加賀蒔絵を仕上げるのである。作業工程は、

「針切り研出し技法」を用いた作業では、
 それぞれの部分に漆を塗り、金粉を細かく播く。そして、針を使って漆の地を出すところを丁寧に削り取る。金粉の所には色漆を塗る。それが乾いたら、砥石で磨き出すと、下の金地が浮かび上がって くる。そして、色漆と金の調和のとれた美しさが引き立ってくるのである。加賀蒔絵では最高の技法と言われており、東藤達也氏はこの技法の第一人者である。

「老松の高蒔絵」の作業では、
 下絵に基づいて
文様をほどこして、その部分だけ肉上げ する。そして、その上に平蒔絵を施して立体感を出す技法で、金粉や金箔がふんだんに用いられる。

「磨き仕上げ」の行程は、
 最後の仕上げ行程である。高蒔絵が終わった段階のものの上から全体に漆を掛ける。そして、研磨剤を使ってきめ細かに磨き上げていく。表面にツヤが出てくるまで磨き込み、更にその上に生漆を使って擦り込 む。それで、万年筆は傷の着きにくい状態に仕上がる。最後にもう一度、つや出し剤を使って仕上げの磨きをほどこす。

 それぞれの行程に二週間ほどの作業期間を必要とする。一ヶ月半ほど掛かかってParker Penと加賀蒔絵の合作「老」(Oimatsu)が完成するのである。
 

  「色漆と金のコンビネーションは伝統工芸の粋」   「クリップにも良くマッチ」   「インクフィラーを装備」  

 「老松」の製品仕様は以下のとおりである。
 
     
Nibの材質   18Kソリッドゴールド装飾仕上げ
Nib幅   M(中字)のみ
ボディ   アクリル切削成型仕上げ 蒔絵加工
クリップ   ペリリウム合金ベース23金ゴールドプレート仕上げ
トリム   23金ゴールドプレート仕上げ
インクフィラー   カートリッジ・コンバーター両用式 (コンバーター付)
サイズ(長さ)   174mm(キャップをグリップエンドに装着時) 
   (太さ)    13.2mm(バレルの軸径)
   (重量)   31g
付属品   木製ギフトボックス、ボトルインク、保証書
限定数   70本
販売開始   2002年11月
標準価格   195,000円     

  「NibはMのみ」   「天冠はDuofoldマーク」   「蒔絵作者のサイン」  

 1921年に誕生した「Parker Duofold」の歴史に新たに日本の伝統工芸が癒合した万年筆が誕生したと言える。このペンからはこれまでにない重厚さの息吹が感じられる。Nib(ペン先)やペン芯が書き味の「命」であり、キャップやバレル(胴軸)の装いは書き手の「心」である。皆さんも是非この「命」と「心」が一体となった万年筆を1本見つけて、愛用してほしいと思う。