Parkerの「お客さん喜ばれる製品開発」の伝統で「Duofold」が誕生した。そして21世紀に入って、加賀蒔絵の歴史との融合によって、また新たな「Duofold」が世に出た
。「Duofold」の蒔絵万年筆の第11作
目の「雷神」である。「雷神」の出所は、古来、天候を支配する神として畏れ敬われてきた神である。農耕を主体としてきたわが国において、雨水は必要不可欠
な条件であった。「雷神」が雨をもたらす神であるとして崇拝されてきた。反面、雷鳴や稲光などから恐怖を感じ嫌われもした。中国においても大切に崇められたのであろう、敦煌莫高窟の壁画に雷神が描かれている。江戸時代には名匠の「俵屋宗達」の描いた国宝「風神雷神図」が大変に有名である。
今回の「雷神」の作者である針山祥山氏は、日本伝統工芸展、日本伝統漆芸展などで数々の賞を受賞している蒔絵作家である。
稲妻の部分は、高度な「ぼかし蒔き」技法により光のなめらかな濃淡を表している。闇と光彩の鮮やかな対比を見事に描いている。稲妻の光る部分は、着色により人々が浮かび上がっているのが分かる。
彼は稲妻が光っていない部分にも人物の輪郭を漆黒の漆で一つ一つ丁寧に描き出している。彼は緻密な技術を駆使し、一本の万年筆に伝統と歴史を見事に結集
させている。この万年筆は、素晴らしいとしか言いようのない作品である。日本古来の由緒ある「雷神」の迫力ある姿が実感できる万年筆である。
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