Vacumatic Golden Web 1936〜1937販売 (今日、ビンテージとして出回っている多くはアメリカ製であるが、カナダでも製造されていたのである。)
1936〜1937年に製造販売されていた他のVacumaticsと違って、「Golden Web」は黒い尻キャップとキャップトップには黒い宝石を付けている。バレルやキャップはセルロイド材であるがセクションは、黒の硬質ゴム製である。おそらくこれは、セクションの強度、細かな細工などのことからセルロイドでは無理であったものと思われる。 インクフィラーは、「ロックダウンフィラー(1932〜38年まで採用)」である。これは、インクを取り込んだ後、アルミボタンを押し込んでロックできるタイプであった。
「Golden Web」の製造が2年間で終わった理由に、インクフィラーの改善があったからではないかとも言われている。1932年から導入されていたロックダウンフィラーからSpeedlineフィラーへの改良が1938年にあったことから推察できる。 ロックダウンフィラーの扱いは押し込んでロックしなければ、尻キャップが填められない。また、この取り扱いが面倒であること。そして、これが度々 故障したり、壊れやすかったなどの不具合があった。こうしたことからSpeedlineフィラーはより簡単に使用することができ るようになった。インクの吸引も速くなり、さらに、より破損が少なくなった。デザイン的には、尻キャップが長くなるために、デザイン的にもペンの再設計が必要となった。このために2年間という短い製造期間の筆記具となってしまったのであろう。 Vacumaticペンは非常に使いやす い。そして、これは誰でも簡単にインク供給量を確認しながら吸入することができる。また、この方式は耐久性に富んだ常用的な万年筆であると思う。これまでのDuofoldとは異なり、Vacumaticはインクを保存する のはバレルである。(脇道にそれるが、このことから万年筆の主軸をバーレル(貯蔵樽)と呼ぶようになったのではないかと思っている。) Vacumaticのインクフィラー方式は、1940年代まで導入され続けた。戦後の筆記用具を風靡した「Parker 51」の初期モデルまで用いられた。