「稀少性の高い、Parker Golden Web of  MADE IN CANADA」

 

Vacumatic Golden Web

1936〜1937販売

(今日、ビンテージとして出回っている多くはアメリカ製であるが、カナダでも製造されていたのである。)

 
「MADE IN CANADAセット」 「MADE IN U.S.Aセット」 「アロークリップ」

 1936
年に、Parkerは最も製造期間の短いVacumaticペンとして、特別にデザインした「Golden  Web」 (Golden Color Web)を導入した。万年筆は19361937年の わずか2年間製造されただけである。Vacumaticペンは結構長い期間製造されてきた ものの中では、珍しい出来事であったようだ。そのために販売価格にも、割高な価格が付けられた 。これは、今日、多くのコレクターが必死になって探し求めている万年筆でもある。

 Vacumatic
ペンの特徴は、「Parker Pen」=「矢」の等式を作りだした万年筆である。ニューヨーク在住アーティストのジョセフ・プラットによってデザインされたParker Arrowは、Vacumaticのクリップとペン先に導入された。この生産ラインこそが、Parker Penの繁栄と今日まで使っているArrow商標を打ち立てたと言っても過言ではない。
 「Golden  Web」の設計がジュニア・サイズで、長さ
は、4インチ7/8である。他のVacumatic Junior の長さは、4インチ3/4であり、やや長めの設計と言える。
 「Golden  Web」のジュニアのアメリカで製造されていたものは、2つのキャップリングを付けていて、5.00ドルという高値であった。カナダ製とアメリカ製の違いは、以下の通りである。
 
相 違 点 ア メ リ カ 製   カ ナ ダ 製
 キャップリング  細い2重リング    9mm幅の1重リング
 Nib(ペン先)  アローデザイン     英国の刻印
 尻キャップ  黒い宝石入り    黒の硬質ゴム製 

「インプリント」 「K9のキャップリング」 「貧弱な尻キャップ」


 1936
1937年に製造販売されていた他のVacumaticsと違って、「Golden  Web」は黒い尻キャップとキャップトップには黒い宝石を付けている。バレルやキャップはセルロイド材であるがセクションは、黒の硬質ゴム製である。おそらくこれは、セクションの強度、細かな細工などのことからセルロイドでは無理であったものと思われる。
 インクフィラーは、「ロックダウンフィラー(1932〜38年まで採用)」である。これは、インクを取り込んだ後、アルミボタンを押し込んでロックできるタイプであった。

「円錐形の天冠」 「シリアルナンバー?」 「Nibは英国製」


 「Golden  Web」の製造が2年間で終わった理由に、インクフィラーの改善があったからではないかとも言われている。
1932年から導入されていたロックダウンフィラーからSpeedlineフィラーへの改良が1938年にあったことから推察できる。
 ロックダウンフィラーの扱いは押し込んでロックしなければ、尻キャップが填められない。また、この取り扱いが面倒であること。そして、これが度々 故障したり、壊れやすかったなどの不具合があった。こうしたことからSpeedlineフィラーは
より簡単に使用することができ るようになった。インクの吸引も速くなり、さらに、より破損が少なくなった。デザイン的には、尻キャップが長くなるために、デザイン的にもペンの再設計が必要となった。このために2年間という短い製造期間の筆記具となってしまったのであろう。
 
Vacumaticペンは非常に使いやす い。そして、これは誰でも簡単にインク供給量を確認しながら吸入することができる。また、この方式は耐久性に富んだ常用的な万年筆であると思う。これまでのDuofoldとは異なり、Vacumaticはインクを保存する のはバレルである。(脇道にそれるが、このことから万年筆の主軸をバーレル(貯蔵樽)と呼ぶようになったのではないかと思っている。)
 Vacumaticのインクフィラー方式は、1940年代まで導入され続けた。戦後の筆記用具を風靡した「Parker 51」の初期モデルまで用いられた。

「左 Lockdown filler 」
「右 Speedlin filler   」
「ゴージャスなセット」 「上 シニアサイズ」
「下 Golden Web」

 「Golden  Web」セットのシャープペンシルは、1.09mmの芯を使用している。繰り出しはキャップの回転方式が採用されている。ユニークなのは替え芯の保存方法である。キャップを外すと消しゴムが出てくる。この消しゴムを引き抜くと、替え芯を出し入れする窓の付いたカプセルが出てくる。 このカプセルの中に予備の替え芯を保管できるようになっている。このカプセルにParker Penの名などが刻印されている。
 

「1.09ミリの芯」 「替え芯のカートリッジ」 「パーカー名の刻印」