1984年発売の「Vector」

 
       
 

 

2007年発売の「Vector」

Vector                   
 1984年〜販売         

Vector V88        
  2005年9月〜販売   

Vector UK(マニア)
2007年6月〜販売

             
             
  「1984年製のFountainpen」   「1995年製のRollerball」   「1998年製のFlighter」  


 「
Vector」の名称の由来は、この万年筆のデザインに関係していると思われる。ドイツ語よみでは「ベクトル」であ る。これは大きさと向きをもつ量で、力や速度などを表すのに使われている。サンフォード社の解説では、Vector」は航空用語として使用されて いる。そして、飛行機の進路や、方向を示す用語として使用されている。この万年筆の直線的なフォルム から名付けられたということであった。
 確かに「Vector」のデザインは単純な、きれいな管状である。そのため、大量生産しやすい万年筆であると思う。上質の筆記具の性能を備えなていながら、Parker Penブランドの中では最も安価な万年筆である。「Parker Vector」の誕生は、1981年に先ずローラボールペンが作られた。1984年になって、シンプルな筒形のプラスチックキャップの万年筆が作られたのである。

  Arrowに似た天冠   Arrowに似たキャップ   「Rialtoに引き継がれたNib」  

 
 1982年から製造販売されていた「Parker Arrow」とデザイン面で似たところが多くある。キャップトップの天冠、クリップの形状である。ペン芯やNibは新たに開発されたものである。Nibはステンレス製で堅そうであるが、実際に使ってみると 、見た目より柔らかい書き味である。それはオープンニブであることで弾力性が持たせてあるからである。
 20年近く前の万年筆であったが、デッドストック品を探して5本入手できた。これらのNib幅がすべて「F」ばかりであった。当時も「F」だけしか販売してなかったのではないかと思われる。 (これは反対に「F」だから売れ残ったのかもしれない。)

  「1990年代のGift=Box」   「3種類のプリント柄」   「若年層向けの商品」  

 
1986年に、Parkerは「Vector」のキャップを短くし、バレルを延ばした形のペンに設計し直した。バージョンアップされた「Vector」は、標準タイプ、ステンレス製タイプ、および特別なモデルの導入で販売が再開された。 1988年の「Vector」でクリップおよびキャップの天冠はステンレス製に変わった。普及版は1989年に加えられ、金属製の無光沢の黒いペンは1990年に導入された。2000年に、Parkerは新しい標準的な色の「Vector」を再度部分改良を施した。クリップをより柔らかくさせたこと。改良されたクリップは黒いトリムに映えるようにゴールド色 が加えられた。
 
  「カリグラフィーセット」   「簡易カリグラフィー」   「外国のRBパック」  

 「Vector」の万年筆が販売からどの程度売れたのかは分からない 。しかし、若年層に販路を求めた様子が当時販売されていた商品から読み取ることができる。数種類のプリント柄を導入した万年筆がある。また、「Calligraphy Set」の開発と販売がなされた。また、「安価によい商品をお客さんに!」などの創始者の意向を汲んだパッケージの導入などからも知ることができる。
 
アメリカで「Vector」の小売値段は、万年筆が $8.50、キャップ式のRBが $6.95、押しボタン式のBPボールペンと押しボタンのSPが $5.99 と格安な価格であった。
 
「V88のGIFT-BOX」 「GIFT-BOXの中」 「白・赤・青・黒の4色」

 2005年9月に、Parkerは「Vector V88」の販売を開始した。若年層に人気のあった筆記具だけにベクターの基本的なスタイルを継承しつつ、斬新な現代感覚を注入したデザインとなっている。このV88に用意されたのは、白・赤・青・黒の4色で、それぞれに、FP,RB、BP,SPが用意されている。

  「V88のクリップ」   「斬新なデザイン」   「パーカーマークの天冠」  

 新たにデザインされたキャップリングと一体化したクリップには、パーカーの「ロゴ」と「PARKER」とが印されている。黒い地に、白でパーカーの
ロゴマークである「P」がインプリントされた天冠がクロム色のキャップリングとクリップで一層引き立ったファッショナブルなデザインで登場した。
 
この天冠部分には、企業名や会社のロゴのを入れることが可能な作りとなっている。これは、ビジネスギフト品としての販売も眼中においた商品開発なのである。

  「NibはFが用意されている」   「すっきりした白」   「さわやかな青」  

 万年筆のサイズは、長さが
157mm(キャップをボディエンドに取り付けた状態)で、軸径が8mm、重さは、15gと一般的なサイズであり、小学校高学年から大人まで使用が可能である。Nib(ペン先)はステンレス製でイリジウムを用いている。文字幅は、Fサイズ(細字)のみである。 インクフィラーは、簡易コンバーターが装着されているが、カードリッジインクも使用できる。クリップは、ステンレススチールクローム仕上げである。
 
  「ステンレスの首軸」   「簡易コンバータが付属」   「4色を用意」  
             

 追 加   Vector UK(マニア)2007年6月〜販売            (07-06-22)

 
             
       
  「4種類の発売」   「簡易なGift-Box」   「ユニオンジャック」  
             
 


 21世紀になって、日本ではほとんど万年筆を日常で使う人はいなくなったと言っても過言ではない。万年筆販売のN氏の話しでは、「中国や台湾などでは万年筆を今も使う人が多い」と言うことであった。そして興味をそそられたのは、「Vector V88」について、日本で販売されているのはRB(ローラー・ボール)のみで、台湾や中国ではFP(Fountain Pen)も販売されているそうである。
 今回紹介するのは、この6月に新発売となった「 Vector UK 」である。英国のポップカルチャーを素直に、愉快に表現して再登場した。 前述してあるが、かつてプリント模様の3種類が発売されていたものとは全くちがう。書く楽しさ、ペンを持つ楽しさが味わえるアイテムとして再登場したのである。
本体のデザイン等は、1984年に販売された初期の規格と同じで ある。「Vector V88」で天冠が新しくなったが、「UK マニア」は元のままである。
 「UKマニア」らしい雰囲気をもった「ユニオンジャック」「ジェントルマン」「
クラブ 」「マップ」の4種類のデザインである。主な規格は以下の通りである。
 
  ボディ   ABS樹脂とステンレススチール  
  Nib   ステンレススチール クローム仕上げ(M)  
  クリップ・トリム   ステンレススチールクローム仕上げ  
  インク吸入方法   カートリッジ両用式(コンバーター別売)  
  サイズ 長さ   155mm 軸径8mm  
      重さ   12g  
  付属品   説明書、カートリッジインク1本、簡易Gift-Box  
  価格   税込 2,100円  

 

 
             
       
  「ジェントルマン」   「クラブ」   「マップ」  
             
         
  「V88と同じサイズ」       「鮮やかな4種類」