Parker  41
 

 
 

 
 

  Parker 41

 
 

         Parker 41

     (1950〜1951年 販売)


 Parker 51のスクールペン(廉価版)として発売された。
 
     
  「Parker 41のセット」   「21、41、51の陳列」   「左 21、右 41」  
 
 先日、友人からホームページを観て、「Parker 41」が掲載されていないのでプレゼントしてあげようか----。「えー、そうだった?」としか応えられなかった。パーカーは種類が多いから大変だ。確かめてみると、未だ紹介していない。必死になっ てしまい込んでしまった箱から万年筆を取り出して調べてみた。すると、ケースの中に3本の「Parker 21」と5本の「Parker 51」間に1本だけ、ひっそりと「Parker 41」が収まっていた。
 第2次戦後、「Parker 51」が売れに売れていた。当時、アメリカで15ドルという高価な値段であった。そこで、廉価版でもあり、やや小振りな作りで女性にも愛用してもら得ることを意図として開発されのが「Parker 41」や「Parker 21」なのである。ちなみに販売価格は「Parker 41」が10ドルで、「Parker 21」は、5.75ドルに設定されていた。
 
 
  「左 21、右 41」   「左 21、右 41」   「上 41、下 21」  

 万年筆の本体の大きさは、「Parker 21」と全く同じであり、「Parker 51」のデミタイプや、現在の「SONNET」の規格と同等である。従って、「Parker 21」といくつかの部品が共用されていて交換が可能なのである。
 ペン先(Nib)は写真にあるように、Parker「21」や「51」と同じで、ペン先がカバーされた「
Hooded Nib」のスタイルである。ペン芯のインクが乾きにくいシステムとして、当時は大変に流行したのである。この万年筆のペン先(Nib)の材質はoctanium合金で、これ以後に販売された廉価版の万年筆のほとんどに採用されている。インクフィラーもエアロフィラーが導入されて いる。エアロフィラーはバクマチック方式より、構造も簡単な方式である。また、それよりも堅牢であり、効率的なインクフィラーである。そのためこのエアロ方式 は更に改良されて今も使われている。
 私の所持している「Parker 41」は、無惨な形に変形している。これは残念なことに、写真でも分かるようにセクションが縮んでしまっている。これはキャップがステンレスで あるため、熱を帯びるとセクション部分のプラスチックが変形する。陽の当たる所に数時間置 いただけで変形してしまった。結構熱に弱い材質が使われていた。あの戦闘機のムスタングのホルムが無くなってしまったのは、とても残念である。   
 
「左 41、右 21」 「上から順に」
 「51, 51デミ、41,SONNET」

「上から順に」
「51
デミ, 41, 21

 
 「Parker 41」は廉価版と言うことで開発された訳である。しかし、そのことが後継機に数々の遺産を譲りわたしていく結果となった。その一つが、キャップトップの天冠(
tassies)の材質をプラスチック製にしたこと である。万年筆のデザインに素晴らしいアクセントを付ける元となった。これ以後、色々なtassiesが取り入れられるようになったのである。
 「Parker
41」は、廉価版の万年筆であったという理由で、コレクター仲間でもあまり注目していない。だが、 私にとって、販売期間が短く希少価値があるという理由だけでなく、Parker Penの開発思想が強く感じられてならない。「Parker 41」が私の目を引き付ける非常に魅力的なペンであると思 っている。
 

「Parker 41」

       

 

追 加 (’07−06−30)      

 Parker   Debutante 1950-1951

  「左 Parker 41     」
「中  41
Debutante
「右 Parker 21     」
  「左 Parker 21      」
「中 41
Debutante
「右 Parker 41      」

「斬新さが売り物」


 1950年にParker社は、女性を引きつけるであろうと計算して、ピンクで淡いターコイズの明るい色の「Parker
41」を販売した。これは、「Parker 51」の保守的な色に関して、多くの女性から不満の声が出ていたからである。
 「Parker
51」よりも低い価格設定で、しかも魅力的な色彩にした 。だがしかし、「Parker 41」の販売は伸びなかった。その要因は、安価な「Parker 41」よりも、品質に信頼性の高い万年筆、「Parker 51」のデミサイズ(「Parker 41」より3年前に販売されていた)の方に女性の人気が集中していたのである。パーカー社の市場調査が甘かったようである。
 従って、
「Parker 41」は2年という短い寿命であった。そして、「Parker 51」のより安いバージョンが製造されるようになったのである。
 

「女性をターゲット」 「左 Parker 21      」
「中 41
Debutante
「右 Parker 41      」

「前 Parker 21      」
「中 Parker 41      」
「後 41
Debutante


 1950年に、「Parker
21」の非常に珍しくて美しいキャップの万年筆が作られた。白いエナメル塗装に、金色の「fishscale」(漁網)と言われるパターンがあしらわれたものである。売上高を押し上げる策としてParker社はこれらのキャップを 「Parker 41」に取り付けたのである。そして、「Parker Debutante」と命名して市場に出したのである。
 ステンレスのキャップの部分が、塗装されたものになっているだけであった。しかし、この新しい取組の万年筆も短命で合った。1961年に段階的に「Parker 41」が市場から姿を消していく歯止めの役目も果たさなかった。
 

「左 Parker 41       」
「中  41
Debutante
「右 Parker 21       」

「左 Parker 41       」
「中  41
Debutante
「右 Parker 21       」

「Parker 21のfishscale


 今回、偶然にもオークションで「Parker Debutante」の出品を見つけた。そして、それを入手することができた。手にするまで、「Parker 21」か「41」なのか分からなかった。入手して調べてみると、キャップのインプリントは「MADE  IN  USA」だけであり、エアロインクフィラーには、「PARKER」とインクフィラーの使い方だけのインプリントである。従って、区別が付けられるのは、フーテットニブ(Hooded  Nib)の窓からペン芯の形状の違いで判断するしかなかった。
 その結果、今回入手できたのは、「Parker 41」の「
Parker Debutante」であった。かれこれ70余年の歳月を経過したものであるが、天冠に僅かなさびがあるくらいである。エアロフィラーも調子よく機能するし、オクタニュームのNibも滑らかな書き心地であった。