"Parker 85"

 

   
     
           Parker 85

1980年代にアメリカやヨーロッパで販売された)

 

     
  「ゴールドのセット」   「上  万 年 筆」
「下  ボールペン」
  「パーカー75の進化か?」  

 今回紹介する「Parker 85 」は、1964年から製造され、順調な売れ行きであった「Parker 75」の後継機種として、フランスのメルー工場で開発された万年筆である。
 前身の「Parker 75」は製造開始から10年ほどして、アメリカ工場からフランスへ全面的に移されたことは、「パーカー 75」のところで紹介した通りである。フランスでの製造が軌道に乗ってきて、これまでとは変わった、斬新な感覚の万年筆が数多く製造されたのである。小生の所有する万年筆 の中でも、この「Parker 75」が一番数が多く60本を越えていることからも頷けることである。
 こうした状況下で、「Parker 85」は、ヨーロッパ感覚と言うか、フランスの芸術的な新たなセンスが織り込まれた、全く新たなモチーフのモデルとして登場したのである。 

「左 PARKER75」
「右 PARKER85」
「左 PARKER75」
「右 PARKER85」
「唯一似ているクリップ」

 
「Parker 75」の後継機種の高級ペンとして作られたその確かな根拠は、14金のペン先(Nib)とペン芯が一体となった「Parker 75と同じ物であること、ペン先(Nib)が書き手の癖に合わせられるようにペン先が回せる様なっているのである。
 実際に後継機種となったのは、現在市販されている「SONNET」であり、その首軸(セクション)の形状が「
Parker 85」のものとそっくりであることからも、この万年筆が次期商品の開発品であったと言えよう。
 
  「個性的なクリップ」   「SONNETの原型か?」   「気品ある樹皮パターン」  

 
「Parker 85」の主な仕様は、ペン先は先にも述べたが、14金のオープンニブで、ペン芯は初期の「Parker 75」のものと同じである。クリップ形状は他のペンと全くことなるタイプで、平らな面に矢印が彫り込まれたものである。インクフィラーはコンバータ/カートリッジ式である。
 今回紹介する
「Parker  85」の装丁は、バーメイルで樹皮模様である。 この万年筆が販売される1年前に、イギリスで製造された「Parker 105 」も本体のデザインに樹皮模様が取り入れられているが、全く趣は異なった物であった。(ここのクリックで参照)
 このバーメールのほかに、金張り、銀メッキのものも販売されていて、縦に平行な溝が刻まれたデザインであった。
 
  「フランス工場で製造」   「オープンNib」   「落ち着いたtassies」  

 この 「Parker  85」に関して解説されている記事の中に、以下の様な説明があった。

Top line pen, somewhat like the Parker 75 but with a square clip. Didn't sell to good but is very sought for by collectors. Made in England.
< 正方形のクリップがあり、いくらか「Parker 75 」に似ているトップラインのペンであるにもかかわらず、多くの数は売れていない。よってコレクターはしかり捜し求めている。これはイギリスで作られている。>

 しかし、所有している万年筆には、はっきりと「MADE  IN  FLANCE」と刻まれていることから、他のペンと勘違いしておられる人も多い。
 また、パーカー社を受け継いだサンフォード社では、この「Parker 85」の生い立ちや、どれだけの数作られたのか、何時まで製造販売されたかも定かでないようである。このことについて、販売数が少ないことや、日本では販売されなかった様であることをコレクターであるK.S氏が語っている。
 
「気品のあるフォルム」 「K.S氏のシルバープレート」 「K.S氏のボールペン」
「キャップクリップ」 「FPのスケッチ」 「FPのソラリゼーション」