Parker Duofold
Maki-e Limited Edition
"Bamboo Panda"
( Releases in 2007 )
2000年の12月から、パーカーはDuofoldラインに蒔絵シリーズを展開してきた。また、Classic Pens社はParkerと共同で、Maki-eの斬新なデザインを導入した日本の蒔絵作家によるCPのLB2やLSシリーズ(Lambrou Sunami Collection)の制作を展開してきた。 2007年パーカーは、新たなリミテッドエディションの蒔絵を制作した。それが今回紹介する「Parker Duofold Maki-e Limited Edition Bamboo Panda」(バンブーパンダ限定販売万年筆)である。
蒔絵を施す作業工程は結構な工程と時間を必要とするために、販売限定数が少ない。今回は世界限定150本で、そのうち日本での販売数は32本だけであった。蒔絵の技法は日本の伝統工芸の得意技で、古くは戦前の万年筆に導入され、その技術の確かさと美術的な価値は世界が認めるものであった。今回の「Bamboo Panda」にも日本の伝統職人の技と洗練された長年培われてきた美意識、高機能なパーカー万年筆が一体となって出来上がった魅力的なハンドメイドの芸術作品であると言えよう。
パンダを題材にした万年筆は他社にも見られたが、今回のような高度な蒔絵技法を取り入れたものではなかった。今回の「Bamboo Panda」では、パンダの主食の竹がふんだんに描かれている。パンダの主食である竹は、パンダと対であるという感覚で描写には欠かせないものなのである。 その竹は、材質がしなやかであるが強く用途も多彩で、竹は、食料や建築材料、日用品や薬にも用いられている。また、竹は丈夫で生命力があり、単純な美しさなどからも日本でも神社の周囲に植え込まれてあるのも珍しくない。中国の古典には、パンダは無敵の虎のように強く、悪霊から身を守ってくれる存在とされていて、 10世紀頃では、半神的な生き物とされ、大変貴重な動物であるとされていたのである。
加賀のI漆蒔絵の美しく、優美な、この新しいDuofold限定版のデザインは、繊細な手触りのジャイアントパンダであり、平和で穏やかな風情を感じさせてくれる。また、金彩色の竹からは純粋さと強さを見事に表した漆技術のすばらしい逸品である。今回の作者は表 正則氏は石川県の数々の伝統工芸展に入賞するなど加賀蒔絵を代表する漆芸作家の一人です。 この「Bamboo Panda」を試筆した感覚は、どっしりとしたパンダの重厚感に初めは圧倒される感じがあった。しかし、Section(首軸)からNib(ペン先)までは、常用しているものに取り替えての試筆であり、すぐにいつもの馴れた感覚に戻ることができた。
「Bamboo Panda」の仕様は以下の通りである。
また、この万年筆の蒔絵作者について公開されている経歴(抜粋)は以下のとおりである。 作者は、俵 正則(昭和13年8月生まれ)で、 1977年 石川県伝統産業技能奨励賞を受ける。 1999年 第40回石川県伝統工芸展に入選。 同 年 石川県伝統産業優秀技術者の知事表彰を受ける。 2000年 第41回石川県伝統工芸展に入選 等である。