PARKER  SONNET

"FIREDANCE"


1993-11新製品として9機種を発売

 

《Firedance》

「Firedance set」 「Laquer 仕上げ」 「フランス工場で製造」
 


 1988年にParker社は「Duofold」、「Insignia」の新たな製品を発売し大成功を収めた。そこで、常用の万年筆として長年販売されてきた 万年筆「Parker 75」の後継機種を開発することが企画された。Parker社の計画は、当時、まもなくやって来る21世紀をターゲットに開発を進めることとなった。1990年代に入って、開発責任者には Jim  Hancock氏、デザイナーには、Geoff  Hollington氏を要して開発が進められた。そして、ついに1993年フランスのメルー工場で新たな 万年筆の「Sonnet」シリーズが誕生した。それは、高品質で、高い価値がありながら手頃な価格という三拍子のそろった新たなシリーズとして誕生したのである。( 日本では1993年11月に発売となった。)
 クリップの矢羽根が現代的なデザインに一新された。流線型で重厚さを感じさせるバレルのデザインとなった。これまでParker社では、流行に左右されることなく、使い勝手のよい製品作りに徹してきた 。 そうしたParker社の企業精神だけに、伝統的でありながら新鮮さが感じられる万年筆が誕生したのである。聞くところによれば斬新なデザインとなったキャップの着脱や、クリップの屈伸の強度と耐性実験を何万回も繰り返し行ったそうである。また、安全性として、キャップを誤飲した時に呼吸が可能となる用に配慮されている。さらに、機能性、快適性を配慮した万年筆であるといわれている。
 万年筆の愛好家の中に、「Sonnet」は全体のスタイルから、「Parker 51」を彷彿されると賞賛している。「Parker 51」の後継機種であるという人もいる。しかし、「Open Nib で漢字交じりの日本語に最適な万年筆である。」という機能面からは、むしろ「Parker 75」あるいは「Premier」の後継機であると観るべきであろう。書き味から言っても「Parker 51」のヌルヌルとした感じはなく、スラスラと滑るようななめらかな感じである。そして、Open nibのしなやかさが、とめ、はね、はらいなど日本語の書字に欠かせない心地よさを発揮する。

 

 
       
「Nibのデザイン画」 「Open Nib」 「需要が高まるRB」

 Nibはほとんどが18Kで、ペンポイントには耐摩耗性の高いプラチナ系の金属が使われている。このために日本字の止め、跳ね、はらい等の書法や、縦線・横線など筆圧の変化に対して的確に反応してくれる柔軟性が保たれている。
 Nibへ安定したインクの供給をするfeed systemがなければ、いくらNibに柔軟性があっても役に立ちません。「Sonnet」においては先に高い評価を得た「Insignia」のインクコントロールシステム を改良して導入している。中でも世界中を駆けめぐる愛用者のために、1万フィート以上の航空機の中の気圧に耐えられるように設計されている。通常キャップを外したままにしておくと乾燥して書けなくなる。しかし、このインクコントロールシステムの導入で、キャップを外しペン先を上向きの状態においても1日程度 の放置であれば、すぐに書き始めることができる。
 今回紹介する「Sonnet Firedance」は、万年筆、ローラーボールペン、シャープペンシルという組み合わせのセットである。本体は、材質が真鍮で、ラッカー仕上げである。先に紹介した「Sonnet Moonbeam」の色違いである。

 
「気品のある万年筆」 「メカニカルペンシル」 「FP,RB,SPのセット」