街づくりの政治学

土地トラストの民主主義(1998.12.22)

名古屋瀬戸「環境破壊」道路反対

 本誌第3号で報告したように名古屋瀬戸道路を審議した日進市都市計画審議会の議事録公開を要求して監査請求をし、その後「住民訴訟」を本人訴訟(弁護士無し)を起こした。ところが、あっという間に「却下」されてしまった。市民にとって重要な議事をまったく公開せずに決めるような都市計画審議会は「不存在」であるので、そこへ支払った給与(市民の税金)は不当で違法だというボクの提訴理由に、裁判長は「まあ、でも審議委員のみなさんが実際にその会議に出席したのは事実なんで、たとえその内容に問題があったとしても、給与は支払っていいんじゃないの」と言う。でもね、いいかげんな仕事にお金を払うのはおかしい!

 さて、その後、名古屋瀬戸道路反対の動きは「土地トラスト」となって結実した。ちょうど日進市の岩崎にできるインターの付近の土地を総勢12名で共有することにした。そんなに広大な土地ではないが、道路建設計画に若干の打撃を与えたと思う。

 土地トラストとはその土地の共有権を持つということだ。だから、全員がOKしないと売却できない事になっている。メンバーには、地元の人も、ボクのようなちょっと遠い人も色々いる。でも、この手続きの中で、そこに住む人がどれだけ地域に「愛着」を持っているかと言う事を思い知らされた。「使っていない土地が高く売れていいよな!」と地権者を羨む人も多いが、実際に自分が育て、住み慣れた土地を、他人に売るということは「身を切られる」ような気持ちであるというのはその当事者でなければわからない。

 なんどもその地域へ足を運びながら、ボクはお年寄りの人と話をした。もちろんボクは「よそ者」である。それは百も承知である。いくらボクが熱を込めても、それが相手に伝わって「当たり前」というのは思い上がりであり、傲慢である。しかし、ボクは掛け値のないところでなんとか土地共有権トラストを成功させたかった。弁護士の籠橋隆明さんにお願いして説明会も開いた。約束状を作る時は全員で会議も開いた。できることはやろうというのが「遠い人」であるボクの気持ちだった。

 もともとあの地域で道路の計画に賛成している人は少ない。しかし、「御上のやる事には逆らえない」という「大ウソ」にだまされつづけてきたボクら庶民は、最後の一歩が踏み出せない。良いたとえではないかもしれないが、影山知事候補を「名前を出して推薦する」という行為だって、支持はできても「名前を出す」という行為までに「距離」のある人は意外と多い。ボクも地方公務員だが、そのあたりは慎重にしたい。でも、名前を出す出さないで「熱心・不熱心」を判断されては困るし、たまらない。影山の不肖の教え子であることを誇りに思うと同時にベットリネトネト関係も拒否したい。今回、たとえトラストが失敗していたとしてもボクは一向にメゲなかったろうと思う。ボクは万が一道路ができても反対は続けるだろうし、その「環境破壊の道路」を「民主主義への道」と置き換えることができるように、日進でつつましく?暮らしていきたいと思っている。 おわり


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