街づくりの政治学

『ちょっとまってよ名古屋瀬戸環境破壊道路』
       梅森通信28号(99年10月01日発行)

1 新市長に期待する!

 七月四日の市長選では、元市議会議員(会派アイトス)の佐護彰さんが、現職に約八〇〇票差で新市長となった。
 新市長には、新しい日進市が環境都市となるように全力を尽くして欲しい。
 この名古屋瀬戸道路に関して、今までの山田一麿市長とどのような違いがあるのかを明確に提起して欲しい。愛知県は生活道路よりも、名古屋瀬戸道路を重視してきたが、その方向性が本当に正しいことなのかを地方自治の理念にしたがって再吟味すべき。

2 質の高い地方自治を!

 もう、バブル的発想の「日進市の発展」というかけ声は、市民の生活には届かない。市民の生活を豊かにするということは、一体どのようなことか?そういう質の高い行政が為されるように期待したい。
 政治という言葉から、どうもきたない金まみれの権力者や地縁血縁のボスというイメージしかわいてこないのが日本のよくないところなのだが、佐護彰市長は「市民派」として出馬し、あらゆる政党や権力団体とたもとを分かって公約を立て、選挙運動をやってきたと聞く。是々非々で、おかしいことはおかしいと言える市長として期待したい。明確な主張とビジョンを提案し、市民を巻き込む本物の民主主義を日進市に実現して欲しい。常 に、安全地帯で能書きを垂れるだけの、日本の悪しき政治屋とは全く違う、市民主義市長を応援したい。
 最近の名古屋瀬戸道路はどうなっているのか最近の会議で日進市当局がなしたものをまとめてみました。
( )は岡崎の私的コメントです。
 しかし、日本では土地を所有している地権者が一番の権利を有している。だから、道路のルート上の地権者が「売らないよ」というと道路はできない。
 よく「強制執行」で強引に法律に則って土地を奪うということを恐れる人もいるが、 ハッキリ言えば、今どき道路でそんなことをやる意味があるのか?とも思うし、「環境」万博のアクセス道路〈環境破壊道路〉を通すために「強制執行」するという、行政のやり方が世間でどれだけ話題になるかとおもうとけっこう県はつらいだろう。
 それに、今どき道路をつくればまたそこが渋滞するのは目に見えている。肝腎なのは、「市民の生活に必要だから道路を造る」のではなく「金を使わなくてはならないから」造るのであるということだ。

3 県の財政破綻は目に見えている。

 財政再建団体になるのもいいじゃないか!とさえ言う人さえいる。
 名古屋瀬戸道路が「期待通り?」機能すれば街中が渋滞するだろうし、渋滞がなければ造る必要はないということでもある。交通システムについてどう考えているのか、県当局は真剣に考えているのだろうか?環境アセスメントにしても、かなりイイカゲンではあったが、いっそ県の都市計画課や土木課の責任者が市民の生活に責任を持つために、日進市の担当を退職までやるべきかもしれにゃア。

4  中央線の測量拒否・不売決意

名古屋瀬戸道路に接続する日進中央線は、梅の木や岩崎付近の住民に被害を与え、野方の集落を踏みつぶし、日進西中学校に接近するように計画されている。
 しかし、梅の木の住民の十人余の方が、用地測量および不売の意志を県に籠橋隆明弁護士を通して明確に伝えた。それは、住み慣れた土地を売ることは自分を売ることに等しいと考えてのことである。その真意は、梅の木の一住民の切実な想いをしたためた次の文章を読むだけで納得してもらえよう。

 私は、この道路計画は名古屋瀬戸道路に併せて県当局が突然我々に示したもので、幅六〇メートルという全く予期しない大きな計画であり、我々の大切な田は勿論、何代か継承した大切な宅地及び住居がなくなることに なった。梅の木地区で三〇戸も其の被害に合う。
 何故、梅の木部落がこれほど大きな損失を受けねばならないか、残念でしかたがない。景気の上ぼり坂の時計画された万博の為のものである。

 今迄の我々の歩みを考えるに、梅の木として万博開催決定六月一二日以前に、皆さんの協力を戴き、県及び市に対し六二名の署名簿添え、中止もしくは凍結して欲しいと提出した。また、個人面接の説明会には、道路は 作って欲しくないという趣旨のもとに「反対」という署名簿を提出した。都市計画決定についても梅の木の方の殆どの方の同意を得て沢山の名簿を提出した。
 しかるに、我々の出した要望、反対の意見はことごとく問題にされず、全く無駄の結果に終わった。然し、県は予定通り設計図を作り本年六月一八日に公開して説明会を行なった。私は建設はあくまで「反対」という立場上、本説明会には出席しなかった。此の席で五人位の意見が出たと、後日知る。県は今 回、道路の境界の杭打ちをなす、道路の幅を示す目的である。そして、其の次に個人別の面積の測量をする。次に坪数を決定し、そして確認をして、単価を決定して買収に入る。
 もうここ迄くれば、これは個人個人の交渉の場になってしまう。今迄測量をやりたいが皆さん協力してして下さいと県は今回の説明会を開く。
 みなさん、今迄の反対の立場を今一度よく考え、県には土地は売らない、絶対協力しないという「信念」を今一度かみしめてください。
 一部の人が、我々と共に歩かず静観の構えを取っているのは残念である。今、測量という段階に於て、梅の木の皆さんは心の中ではやって欲しくない、此の道路は作って欲しくない、家屋の全面移転をするにつけても替え地はない、どうしたらいいか、皆途方にくれている。だから梅の木の大方の人は、意見書の提出という事に対し、「困った困った」と想っているのみで、意見もだせなかった。
 県は財政困難な時代に何故かかる費用を使うのか、三〇メートル道路は他所の人の走る道を作るのみ、地元我々には何の特にもならない。公害、環境問題、交通関係のほか、岩崎部落との密接な関係等、道路によって寸断され、梅の木の三分の一の分散、土地の損 失、被害は甚大である。心に大きな「キズ」を生じるのみである。
 私は測量することは今迄の反対の立場から強く拒否し、断固お断りする。皆さんの同意の無いまま決行することはやって欲しくない。
 以上、色々申しのべましたが、梅の木の皆さんの今一度の奮起を期待しています。今後においてまだまだ難しい問題が生じることと思われます。お互い頑張りましょう。

  皆様へ

 こうした地元住民に対し、日進市議会は、中央線建設の要望書を県に提出している。
 来る二一世紀が「環境の世紀」であり、財政の危機の危機である愛知県であり、日進市には他にやることが山ほどあり、渋滞を解決するという道路がまた車を呼んで渋滞すること、万博はもっと簡素に既存の施設で、既存のアクセスでできるような知恵をしぼること等々の「基本的な認識」は皆無の、ひどい要望書である。日進市の市民生活が向上するというのは、日進市民の品位と叡智にある。道路問題はその沿道の人の被害は深刻なのだが、離れた人にはその深刻さが届かない。だから、道路に賛成の人に、沿道に住んでもらうのが一番だと思う。毎日騒音と排気ガスにまみれてもらう以外にない。
民主主義はどれだけ痛みや喜びを共有できるかで質が決まる。
 現在、南小学校が、児童数の過大により、分離し新設校を作ることになっている。しかし、その計画は遅々として進んでいないように見える。明日を担う子どもの「今現在の緊急事態」なのであり、市が取り組みを急ぐべきことである。市民からの要望も強く出ている。そうした、「緊急性」に議員も眼を向けるべきではないのか?
 県の財政が相当逼迫しているということは噂になっているが、本当にどれだけ危機なのかを専門家に分かりやすく説明してもらう会を開く。
 一一月一三日午後一時三〇分から瀬戸市民会館ホールで名古屋瀬戸道路に反対する連絡会(瀬戸&日進)が主催する。会費五〇〇円おもしろそうな集会になるようだ。●

(1999.10.01)



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