街づくりの政治学

日進市議会議員の皆様へ

意見書:「懲罰動議」を懲罰する!

岡 崎  勝(日進市梅森台五丁目132番地)

1 そもそも何で懲罰?

 ことの起こりは、市長公約を実現しようとする、白井議員が発信した応援の私的メールを、どこからか手に入れたA議員が怒り、マスコミにもリークして「ことを大きくしようとした」ことにある。
 そもそも、私的メールにおける内容が、誹謗中傷であれば、議員に直接抗議するか、名誉毀損で訴えればそれですむ。ところが、この私的なメールを、「総務委員会」に、A議員は公的なものとしてよいと誤認して、配布してしまっている。そして、そこですでに配布されたのだから「公の資料なので、議会運営員会でも配布すべきだ。」「中身をどうというのことでなく、事務的に……出すべき」とB議員は述べている。また、C議員「私は詳しい資料がわかりませんので、判断をつきかねますが、申し入れ書からから判断しますと、議会運営上の施策に関わることが、書かれているかと存じます」と安易に考えて、私的メールの資料提出に賛成している。

2 私的なメールは個人情報の扱い

 白井議員は「発信者に許可なく、私物を委員長権限で配布されたことはいかがなものかと思います。」と的確に問題を提起しているにも関わらず、この私信メールが資料として配布され、情報公開でも開示されてしまっている。
 ここに、重大な問題が二つある。
 まず、これが私信メールであることは明らかで、しかも、発信者の許可なく公的な場で配布されていることだ。しかも、A議員は、それをどのような経緯で受け取り、明らかにしたかを言わない。つまり、まず、私信のメールであるかどうかを(私信に決まっている、それが証拠に懲罰動議では、この話は何処か飛んでしまっている)判断するべきだった。このメールは内容を不特定多数に公開を前提として書かれたものではないし、まして、最近はHPの書き込み掲示板ですら著作権が成立するほどで、インターネット上とはいえ注意深く扱う必要がある。メールのプライバシーの権利保護は常識である。
 次に、白井議員の異議にも関わらず、「私的メールか否か」「資料提出をするかどうか」について多数決の愚を委員会は行なっている。信じられない。私的なメールかどうかを利害関係のある直接の関係者(議員)の多数決で決めるか?しかも、A氏は受信者には黒塗りで了解してもらったというが、これもまったく目茶苦茶である。了解を取るべきは、書き手であり、発信者である白井議員だ。私見だが、これは、違法行為ではないだろうか。議会制民主主義も地に落ちた感がする。もう少し冷静に対応すべきだった。
 議長も委員長も事務局もなぜこれが、大きな問題に発展すると予想できなかったのか。
 さらに、このとき、白井議員は、このメール問題は議題になりえないと申入れ書を議長らに出している。すると、それを逆にとって、「議長らに申入れをしているのだから、当然議会運営委員会で検討すべきだ……」とD議員は言う。こういうのを、無知のいじめという。この申し入れ書で、白井議員が言わんとしていることは「君らが馬鹿な事をするから君らに文句いうとるんではないか」ということにすぎないのだ。
 たとえていうなら、シカトしていじめられている子が、シカトした連中に抗議の手紙を出して、シカトしている奴等が「それをうけとったんだからシカトしてない証拠やんけ(この下線部は、突然の関西弁で、不自然さがあります。そこには、関西弁=乱暴という先入観・差別的図式があるように思いました。読者の指摘で私自身自覚するのです。あえて、残して反省の糧にしたいと思います。)と言ってるのと同じだ。

3 浅薄な人権無視の論議:すり替えられた懲罰理由

 E議員などは「私信であることばかり主張して、自分のやったことは正当だと言って見えますが、真意を疑います。私信なら何をやってもいいという事になりかねますので、私は審査をお願いしたいと思います。」などとトンチンカンなことを言っている。
 議事録を読んでいると、オドシ、多数決に依存した暴力、混乱した論議しか見えてこない。
 さて、懲罰動議は、では、メールの問題になったのか?実は、このメールの問題はどこかへふっとんでしまっている
 どうなったのか?じつは、この論議の中で、白井議員が総務省と県などに、「メール取り扱い」について参考意見を電話で聞いているが、そのことが懲罰動議の主因になってしまったのだ。
 そのことを直接いいだしたのは、B議員である。重要なので、その部分を議事録から引用する。「その間に、総務省や県やいろんな所について、こうい事由や見解を求めることについては、私達議会運営委員会は、私は冒涜するものであると思っています。それでこれを出す前に、ご本人にもこういうもの(懲罰動議の発議文書か?*岡崎注)を出すけどいいかと言いましたら、受けて立つというお話でしたので、出させていただきました。本人にも了承を受けています。」
 「総務省や県やいろんな所について、こうい事由や見解を求めること」が議会冒涜という信じられない理由である。しかも、懲罰動議には「メールの件」は一切触れられていない。これは、後で出された、「懲罰動議の補正」なるけったいな、前代未聞の文書も同様である。
 議員のみなさん、もとは「メールではじまったんではなかったのですか?」と私は聞きたい。そして、その決着のために論議したときに、いつのまにか「県や総務省へ聞いた」ことが、懲罰動議の理由になるのは、おかしくないですか?
 いや、国や県に参考意見を聞かなかったら、懲罰動議はなかったんですか?
 要するに、こう言うのを、「陥れる悪意ある行為」といい、これこそ議員の品性に欠ける「懲罰に値する」行為ではないかと思う。

4 日進市の議会制民主主義ってこんなもんですか?

 懲罰動議に賛成した議員の中には、私が支持していた、活動のしっかりした議員もいらっしゃった。それが、大変に、残念だ。その議員に「お前なんかに支持してもらわなくても結構」と、言われるかもしれないが、それでも市民として、本当に残念だ。
 このずさんな懲罰動議は、それ自体が極めて理不尽で違法性が高く、しかも、議会制民主主義のもっともよくない面を出しているのではないか?民主主義とは、異なった少数の意見、マイノリティやマージナルな人びとの意見、それらをきちんと受け止めることこそが、本意のはず。「岡崎君、学級会でなんでも多数決にする子どもたちに、きちんと民主主義を教えないと、日本は滅びるよ」と、「それを多数決のバカというのだ」と私の尊敬する新居信正(教育実践家)という人が言ったが、まさに、それだ。それとまったく反対の、多数に力をかりた暴挙であると断じざるをえない。多数ほど、慎重に、真摯に知的に行動せねばならない。

私は、懲罰動議について本会議で、明晰な判断を為して、審議されることを全議員に強く要求する。

2002年8月27日


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