三重県桑名市の学校保健会に招かれて『総合的な学習の総合的な考え方』につ
いて話をしてきました。養護教諭の皆さんに管理職がチラホラと混じっていまし
た。例によって、笑いの多い話になってしまうので、一体なんの話だったかがわ
からなくなっている人も大勢いたようです。
ボクの主旨は、要するに今度の新学習指導要領は「生きる力」がメインになっ
ているのですが、それがどういうことかがあまりわかっていないのに、ひとり歩
きしているということです。繰り返される教育言語(「生き生き」とか、「自ら
考え」等々)に、実態やイメージが中途半端に「承諾」させられて思考が制度化
されていくのです。今までの文部省教育論は論議を非生産的にするための質を多
く持っていたように思います。識者・専門家の印象批評を中心にしてその非生産
性の究極が今回の指導要領のような気がします。つまり、使っている言葉自体に
「力」がないのです。「主体的」という言葉も、ちょっとむかしは「左翼的、組
合的」なタームだったのです。それは、自分たちの批判力を示すと同時に、立場
を明確にできたわけです。さらに、批判的な思考を停止させやすくなることでも
あるわけです。
今までの対立の図式は、実は文部省や教育委員会の側によってつくられてきた
のではなかったか?そんな不安、老婆心?すらボクにはあります。学校の活性化
がなくなる教育の自自公体制が、今度の新学習指導要領のような気がしました。
2000.1.18