第2章 センシトメトリ



  1. センシトメトリ
     センシトメトリは感光材料の特性曲線を測定することである。
     センシメトリは一般用フィルムでは規格化されている。
     X線フィルムにおけるセンシメトリは、「増感紙なし」では規格化されているが、「増感紙あり」では規格化されていない。

     センシトメトリは、
    (a)増感紙とフィルムの写真的特性の測定
    (b)増感紙の感度測定
    (c)現像条件の管理
    (d)現像処理剤の性能測定     などに使用される。

     センシメトリの露光方法には、強度スケール法と時間スケール法がある。
     距離法は相反則不軌の影響を避けるため使用する。
     距離法では、7〜13回程度距離を変化させて露光量を変化させる方法である。照射時、管電圧が変動すると与えられる濃度が変化し、フィルムコントラストが変化するので、同一管電圧で照射する必要がある。
     距離法は距離の逆二乗則が成立する線質にするために放射口に金属フィルタを付加する。
     bootstrap法はアルミ階段で露光量を変化させているので、アルミ階段から発生する散乱X線の影響を受ける。
     光センシトメトリはフィルムの分光感度に一致したフィルタを用いる。
     光センシトメトリは自動現像機の濃度管理に役立つ。
     タイムスケール法は、照射時間を変えて露光量を変化させる方法である。
     S-F系でタイムスケール法は相反則不軌の影響を受ける。

  2. 写真濃度

     1.写真濃度

     フィルムに入射してきた光の強さを I0、透過してきた光の強さを I としたとき、写真濃度Dは、

               I0
         D=log―――
               I          となる。

     写真濃度とは支持体(ベース)の着色濃度と黒化銀濃度との合計である。
     正味濃度(net density)は、全濃度から支持体着色濃度とかぶり濃度を引いた濃度である。
     フィルムの写真濃度0.3とは、透過光が入射光の50%になる場合の濃度である。
     フィルムの写真濃度1.0とは、入射光の90%が吸収される濃度。または、入射光の10%が透過する場合の濃度である。
     フィルムの写真濃度1.7とは、透過光が入射光の2%になる場合の濃度である。
     入射光の90%が吸収されるフィルム(透過率10%)と99%が吸収されるフィルム(透過率1%)を2枚重ねたときの濃度は、3.0( log10 + log100 = 1+2 = 3 )である。
     X線フィルムの最高濃度は約4.0である。

     2.濃度計

     X線写真の濃度測定に通常使用される濃度計は拡散濃度計である。
     マイクロデンシトメータ(ミクロフォトメータ)は平行光を用いて濃度測定を行うので、測定値は平行光濃度である。
     拡散光濃度は平行光濃度より低値を示す。
     キャリア係数は平行光濃度を拡散光濃度で除した値で、1より大きい。
     マイクロデンシトメータを用いるフィルム画像の画質評価法は、MTF(コントラスト測定法、フーリエ変換法)、ウィナースペクトル、RMS粒状度である。
     マイクロデンシトメータのピントがずれるとMTFは低下する。

     3.マイクロデンシトメータの取扱い方

     指紋や油は測定濃度誤差要因となるから、ステージを操作するときはこれらを付けないために手袋を着用する。
     マイクロデンシトメータの測定部はフードで覆われていないので、外光の影響は避けられない。そのため、濃度測定時は測定室内の照明は暗くする。
     ステージのガラスの厚み誤差や汚染等により、測定誤差が生じるので、試料を操作する位置は一定にする。
     ピントはフィルム前面に合わせる。
     アパーチャのピントを合わせる。

    [HD曲線]


  3. 特性曲線(H-D曲線)
     フィルムの特性曲線は横軸に入力としての相対X線強度、または相対露光量の対数値を、縦軸にその出力として写真濃度を表す曲線である。

     特性曲線の図において、イは足部、ロは直線部では露出適正域、ハは寛容度、ニは肩部、それ以上は反転域を示す。
     また、図の点Aの露光量を4倍にすると写真濃度(Density)は1.0になる。

     特性曲線から得られる写真特性は、相対感度、カブリ、コントラスト、ガンマ、階調度、平均階調度、最高濃度、ラチチュードである。
     フィルム特性曲線の横軸位置は撮影条件設定時の目安となる。

     1.感度

     増感係数(率)は増感紙を使用しないときと使用したときに、同一の濃度を得るのに必要なX線量の比で表す。
     また、比感度はカブリ(グロス濃度)+1.0の濃度を生じる露光比から求める。
     増感紙・フィルム系の感度は一般に比感度で表示する。  管電圧によって特性曲線の形は変化しないが、増感紙の増感率(感度)は管電圧に依存する。
     特性曲線が右に位置するフィルムほど感度は低い。
     希土類系増感紙・フィルムの感度はレギュラー系増感紙・フィルムと比べて高い。
     一定濃度に必要な露光量と感度とは反比例する。

     2.階調度・ガンマ

     ガンマは特性曲線の直線部分の勾配で、特性曲線が横軸となす角のtangentである。
     平均階調度は特性曲線の実用域の傾き(ANSI規格ではX線フィルムの場合、カブリ+0.25〜カブリ+2.0の点を結んだ線と横軸のなす角度(β)を=tanβ)で表したものである。
     X線フィルムの平均階調度()は2〜3である。
     但し、マンモ用フィルムでは平均階調度は3〜4である。
     医療用X線写真ではガンマより平均階調度のほうがコントラストの適切な指標となる。
     特性曲線の傾斜が緩ければ(ガンマが小さい)可検域は広くなる。つまり、ラチチュードが広くなる。
     フィルム特性曲線の形状により、X線写真の可検域が変化する。
     フィルム特性曲線の形状は増感紙や現像条件に影響される。
    [平均階調度()]    [ガンマ(γ)]

     3.ラチチュード(寛容度)

     フィルムの特性曲線の適正濃度部(直線部)を横軸に投影した区域をラチチュードという。
     ラチチュードの狭いフィルムは直線部の傾きが大きく、コントラストが高くなる。
    [HD曲線と階調度曲線]

     4.その他

     特性曲線を必要とする画像評価法はMTFである。
     特性曲線を必要としない画像評価法は、ROC、RMS粒状度、解像力(並列細線)法である。

  4. 階調度曲線
     階調度曲線は特性曲線を微分すると作図できる。
     特性曲線の直線部分は階調度曲線の横軸に平行な部分と対応する。

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2011年4月作成