第23章 その他



  1. 機能撮影法とストレス撮影

     1.機能撮影

     機能撮影法は前後屈することにより、運動機能の観察、測定を目的とした撮影法である。
     機能撮影が行なわれる部位は頸椎、胸椎、腰椎、顎関節、胆嚢などである。

     2.ストレス撮影法

     骨格系撮影において、ストレス撮影が行なわれる部位は肩鎖関節、足関節、膝関節などの関節である。
     膝関節の前方引出し撮影は前十字靭帯断裂の有無に有効である。

  2. 骨密度測定
     骨粗鬆症の診断のために骨塩量(骨密度)はX線写真濃度から測定するMD(Micro Densitometry)法、二重X線吸収測定法(DEXA)、X線CT、超音波を用いる方法などがある。
     骨塩定量の測定部位はMD法では手指骨、DEXAでは腰椎・大腿骨近位部・橈骨・踵骨、X線CT装置を用いた骨密度測定法では腰椎、橈骨や脛骨などの末梢骨、超音波による測定法では踵骨であり、肋骨は対象部位としては適さない。
     骨塩定量CTは腰椎海綿骨をスキャンすることで、椎体骨密度を算出する方法である。


  3. 脊椎・脊髄の画像診断
     脊椎・脊髄の単純X線撮影は、椎体の形態(変形)、椎間板腔の変化の把握に適する。
     脊髄腔造影は硬膜下腔内外の圧迫の把握に適する。
     椎間板造影は椎間板の形態変化の把握に適する。
     脊椎・脊髄のX線CTは、骨化巣、骨棘、脊椎管等の形態解析に適する。
     椎体や椎弓の骨変化について、MRIは情報が乏しく、特に緻密骨からなる椎弓の変化の把握は困難である。


  4. 小児の骨年齢の判定
     小児の骨年齢の判定は一側の手骨のX線像から、手根骨の数、成長の度合により行われる。


  5. 在宅医療
     在宅医療のX線検査はX線撮影のみで、X線透視検査は出来ない。
     また、X線撮影である以上、撮影は医師の指示のもとに実施する。
     X線装置は携帯型X線装置を用いる。
     撮影時は0.25 mm鉛当量以上の防護衣を着用し、患者から2m離れて撮影する。


  6. 患者被ばく軽減の方法
     患者被ばく線量軽減の方法として、
    (a)管電圧を高くする。
    (b)管電流を小さくする。
    (c)曝射時間を短縮する。
    (d)透視の場合は
    デッドマン形スイッチを使用する。
    (e)付加フィルタを厚くする。
    (f)高感度増感紙やフィルムを用いる。
    (g)グリッドは固定式や低グリッド比を用いる。
    (h)撮影距離(SID)は1m以上にする。
    (i)可動絞りで照射野を絞り込む。
    (j)カーボンカセッテを使用する。
    (k)脈動率の低いX線発生装置を使用する。       などがある。

     また、焦点皮膚間距離を大きくすると被ばく線量は低減する(被写体フイルム間距離が一定の場合、焦点フイルム間距離を大きくすると皮膚線量は減少する)。
     X線被ばくが問題視される部位(乳幼児の股関節撮影、胎児撮影など)では高感度記録系の使用やグリッドの未使用により被ばくを低減する。その他の部位(副鼻腔撮影、下肢撮影、胸部撮影)では低感度や中感度記録系を用いる。


  7. ペイシェント・ケア

     1.X線検査にて

     患者が放射線検査を拒否しても、検査を独断で中止してはならない。必ず、医師に確認をとる必要がある。
     X線検査に当たっては患者の心理的不安を除く配慮をする。
     例えば、患者の羞恥心を除くために、X線検査では専用のガウンを着用させて撮影したり、聴覚障害者への検査内容や指示などは、手話で説明することである。
     カセッテの固定は、撮影部位・撮影方法により患者自身に固定させる場合もあるが、原則として、補助固定具により固定するのが望ましい。
     患者から追加撮影の要求があっても、医師に確認した上で行うべきである。
     特異な症例のため研究用として余分に撮影する場合は、患者の同意を得てから行うべきである。
     胸部X線撮影を実施するにあたり、喫煙歴の問診や同意書までは必要としない。
     撮影時に妊娠の可能性について確認すべきである。
     始業点検で装置の異常の有無を確認した。
      整位を透視下で行うのは通常不適切な行為である。

     2.血管造影検査室にて

     血管造影検査中に被検者が心停止を起こした場合、診療放射線技師としてとるべき行動は、医師が救急処置ができるようにX線管とI.I.の保持装置をテーブルから移動させる。そして、医師の指示に対処できるように待機する。
     また、X線装置の電源を切ったり、患者の家族に心停止を伝えるような行動は慎むべきである。

     3.病室撮影にて

     診療放射線技師は患者の容態や病状を充分に把握しているわけではないので、病室撮影時に被検者の歩行を確認しても、病室撮影を技師の独断で中止してはならない。
    撮影開始前に患者の氏名や患者の感染症の有無を確認する。
    患者以外で移動可能な人は退室させる。 患者に挿入されているチューブ類は取り外さずに撮影する。
    照射スイッチはできるだけ患者から離れた位置で押す。

     4.実習生について

     法律で定められている者のみが人に放射線を照射できるので、いかに診療放射線技師が確認のうえでもX線撮影を実習生にさせることは法律違反である。


  8. リスクマネジメント

     1.X線撮影でのリスクコントロール

    X線撮影でのリスクマネジメントにおけるリスクコントロールは、
    (1)QCサークルの活用
    (2)装置の定期保守点検
    (3)装置の始業時点検
    (4)インシデントレポートの作成
    などがある。
    また、多種類のフィルムの使用はフィルムの間違いによる再撮影や患者被ばく線量が増加する可能性がある。

     2.感染予防対策

    血液、体液が付着した床、壁、天井には、0.5%次亜塩素酸ナトリウムを用いる。
    血液、体液が付着したX線装置には、0.2%塩化ベンザルコニウムを用いる。
    消毒用エタノール(70%エタノール、76.9〜81.4%エタノール)は、血液などがはっきり識別できない場合で、感染防止のために器具や手指の消毒に用いる。
    また、手指の消毒には、0.5%ポビドンヨード(商品名:イソジン)や0.2%塩化ベンザルコニウム、0.2%クロルヘキシジン(商品名:ヒビテン)などが用いられる。

     3.検査とその検査に伴う有害事象

     X線CT時のX線照射による心臓ペースメーカの誤作動が生じる恐れがある。
     上部消化管X線造影での圧迫法のとき、肋骨を圧迫すると肋骨骨折の恐れがある。
     IVRでは長時間透視をするので、皮膚の被ばく線量が3mGyを超えることがあるので、皮膚潰瘍の恐れがある。
     腎機能の低下している患者に血管造影を実施擦ると腎不全になる恐れがある。
     硫酸バリウム造影剤に含まれる化学物質によりアナフィラキシー様症状が出現する恐れがある。
     MRI検査室へ磁性体物品を持込とその物品が磁力によりガントリ内への飛来するので磁性体物品は持ち込み禁止である。

     3.心臓マッサージ

    成人の心臓マッサージ方法は以下のように行う。
    (a)胸骨の剣状突起部を人差指と中指の2本の指で触れ、もう1方の手の付け根を添えて置く、この置かれた手の付け根の位置が圧迫部位となる。
    (b)手のひらを重ね、下になる方の手の指は、胸から離すようにする。
    (c)肘関節を伸展させ、上半身の体重をかけるようにして、胸骨を直下方向に押し下げる。
    (d)押し下げたら、すぐに緩める。この動作を1分間に100回の速さの正しいリズムで行う。
    (e)人工呼吸2回に対し15回の割合で行う。


  9. 諸検査の特徴
     X線を用いる検査法はDSA、CRである。
     X線を用いない検査法はMRI、超音波検査である。
     造影剤を使用せずに血流情報を得ることができるのは、MRIと超音波断層法である。また、X線CTやX線アンギオグラフィでは造影剤を必要とする。
     CT画像では歯牙や骨、MRI画像では金属、DSA画像では体動、超音波画像では空気がアーチファクトの原因となる。
     MRI、超音波検査、X線CT、軟X線撮影、RI検査のうちで、膝の靱帯損傷の診断にはMRIが最も有効である。
    ただし、症例によってはX線CTや軟X線撮影でも診断可能である。
     乳房検査に適応されるモダリティは、マンモグラフィ(軟線撮影)、超音波検査、MRI、X線CTである。
     圧迫法が用いられている検査は、乳房と消化管(胃、十二指腸、小腸、大腸)である。
     複数のモダリティでの検査を短期間に行うためには、@腹部超音波検査、A123I甲状腺ヨード摂取率検査、B腹部造影CT検査、Cバリウムによる胃X線検査の順に検査を実施する。
     代謝情報が得られるのは、RI検査(59Feによる鉄代謝など)であり、X線検査、X線CT、DR、超音波検査などは形態情報が主体である。また、MRIでは、形態情報と代謝情報が得られ、脳機能情報も得られる。

目次   第22章


超実践マニュアル 救急撮影

新品価格
¥3,990から
(2012/3/20 10:10時点)


2011年05月作成