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  〜ぶらじゃ〜
  (Main:ゆうひ Genre:ほのぼの Written by:竹枕)






  天音大の朝の教室は、閑散としたにぎやかさに満たされていた。


  様々な人々が講義を受ける、ゆえに席が決められていない大学では特に親しい者同士が集まって
 小さなコロニーを作る場合が多い。それは高校までのように一クラスという形でまとめられていた
 頃よりもより顕著で。


 「ぼんじゅ〜るみなのしゅ〜……はら? どないしたんみんな」


  その日もゆうひが間延びした挨拶と共に教室に足を踏み入れると、既に友人たち三人が固まって
 何事か話していた。


 「あ、おはよーゆうひ。ねぇ聞いて聞いて、ひよちんね、引ったくりにあったんだってさー」


 「ええっ?!」


  朝っぱらからの衝撃ニュースに一気に覚醒する。ゆうひは友人達二人を掻き分けるようにして、
 一人座っていたひよに詰め寄った。


 「ほ、ほんまなんひよちゃん?!」


  テンションの上がったゆうひとは対照的に、弱々しくコクリと頷くだけのひよ。


 「それは……大変やったねぇ」


 「ウン……」


  俯いたまま、普段にも増して大人しいひよの様子に、ゆうひですらかける言葉がすぐには見つか
 らない。


 「お決まりの、後からバイクですれ違いざまにってヤツ。大学の帰りだったんだって」


  そんなひよの代わりとばかりに若菜が身振り手振りを交えて事のあらましを説明する。


  彼女の話によるとひよは手に持っていたバッグを奪われ、一瞬の事にその場にへたり込むだけで、
 何も出来なかったらしい。


  話を聞きいたゆうひははーと感心するような声を出した後、改めてひよを見やる。


 「転んだりして、怪我せえへんかった?」


 「うん」


 「ほっ。それだけは不幸中の幸いやね」


 「私がその場に居たら、そいつ追っかけて蹴り倒してやったのに!」


  これは武闘派の洵のセリフ。余りにらしい励ましにゆうひも若菜も思わず苦笑するが、それでも
 ひよは暗い表情で俯いたままだった。


 「ほんで、警察にはもう行ったん?」


 「いやそれが――」


 「それがね」


  ゆうひの疑問にまたも若菜が答えようとしたその時、不意に被害者本人の言葉がそれを遮った。


 「もう見つかったの。バッグ」


 「え?」


  そのあっさりとした結果に、いささか拍子抜けした気分だった。


  ただひよの落ち込みようから、被害が無かった訳では無さそうだと思い直し、ゆうひはじっくり
 話を聞く為自分も近くの席に座り込んだ。


 「その、盗られたバッグの中には、何が入ってたん?」


 「お財布とか、色々と結構大事な物も入ってたんだけど……」


 「じゃ現金とかカードとか、お財布の中身だけ抜かれてたりとか?」


 「ううん、そのまんま」


 「?」


  ここでまたゆうひは首をかしげた。引ったくりならば真っ先に狙うのはその辺りだろうに。


 「財布だけ別の所に捨てられてたんだけど、中身は無事だったんだってさ」


 「財布抜かれてたのに、中身は無事? なんや変な引ったくりやねぇ」


  バッグを盗られたが、財布もその中身も無事。ますますもって分からなくなる。


  ゆうひは顔を上げて残り二人を見渡すが、若菜は首を振り、洵は肩をすくめて見せるだけ。この
 先の話はまだ二人も聞いていないようだ。


 「でもバッグの方を調べてみたら、その、一つだけ盗られてて……」


 「ほんで結局、なに盗られてん」


 「バッグには、他にお化粧品とかも入ってて、それと、あと……」


 「あと?」


 「……下着。二万円の」


 「「「エーッ!」」」


  漸う吐かれたひよの呟きに、場が一気に沸き立った。何事かと他のグループが視線を向けたほど
 だった。


 「何故かそれだけ盗られてたの」


 「し、下着って上下で二万?!」


  ややずれた問いにひよはまたも俯いてしまって、やがてようやく小さくコクリと頷いた。いつに
 も増して口が重かったのは恥ずかしさのせいもあったのだろう。


 「じゃあ結局被害総額は二万円って事か。財布が無事でもこりゃ結構痛いよね〜」


 「で、でも……二万の下着って一体どんなのよ?!」


 「う〜ん上下で一万ぐらいまでならうちもなんとか……」


 「あたしもそれぐらいが限界かなぁ」


 「そ、そうなの?」


  ゆうひ達はもう引ったくりそっちのけで、二万円の下着についてばかり語り始めていた。特に自
 分の理解の範疇を超えていた洵は、軽くパニックを起こしたようで。


 「皆凄いのねぇ。私なんか偶に200円のショーツ履いてることあるよ」


 「それはあんたにだけ彼氏が居ないから」


 「……貴様ちょっとそこへ直れー! 修正してくれるっ!」


  こんな調子でじゃれ合う洵と若菜達を横目に、ゆうひが再びひよの顔を覗き込むとそれを察した
 彼女は一人、ぽそりぽそりと消え入りそうな声で話を続けた。


 「多分免許証とか見られてると思う。それが一番、恐い」


 「て事は、向こうはひよちゃんの住所とか、知ってる可能性があるんか……」


  それを聞きまたビクッ、とひよの体が震える。


 「だ、大丈夫だってひよちゃん。そない気い落とさんで、な?」


 「ウン……」


  慌ててゆうひが肩を抱きしめ、揺すったり摩ったりするがひよはもう涙目で。


 「暫くはうちらが一緒に行動するし、それ以外は彼に付いてて貰えばええんやし」


 「そうそう、私に任せときなさいって。鍛えて鍛えて、きっと守ってみせるからさ!」


 「この人だけは彼氏居ないしね〜。なんなら今夜あたり、お泊りに行ったげてもいいよー♪」


 「うん。ありがとう、みんな……」


  いつの間に戻ってきたのか洵と若菜もドンと自分の胸を叩いたり、三本指を顔の前で振ったりと
 ゆうひと一緒になって笑顔でひよを取り囲む。


 「それにしても……二万か。は〜」


 「まーだ言ってるよこの娘は」


  洵の呟きに落ちがついたとばかりにまたドッとその場が沸き立つ。


 「クスッ。くすくすくす……」


  そうしてようやく、ひよの顔にも小さく笑みが戻ったのだった。






                     〜◆〜






  それから数日後のある夜。ゆうひは恋人である耕介を部屋に招き、二人の時間を過ごしていた。


 「と、いう訳で今日は耕介くんに、プレゼントを持ってきました〜♪」


 「何がという訳なんだよ」


  突然部屋に呼ばれたかと思ったら、何の説明も無しにという訳、などと言われても耕介には理解
 出来るはずも無い。


  ベッドに並んで腰掛けている二人。呆れ顔の耕介を余所に、ニコニコ笑顔のままゆうひはわざと
 らしく小首をかしげると。


 「えー耕介くんは嬉しないん?」


 「いや嬉しいも嬉しくないも、サッパリ話が見えん」


 「ヨヨヨ、せっかくうちがこの体で稼いだお金で、愛しの耕介くんに買うてきたゆうのに……」


 「妙な言い回しをするんじゃない」


  そう言ってしなを作るゆうひの頭をコツン、と軽くどつくが、今度はシクシクと泣き出す始末。
 これは乗ってやらないと話が進まないと判断した耕介は、深いため息を一つ、頭を下げる。


 「あーあー分かったよ分かったよ。嬉しいよ、ありがとなーゆうひ」


 「えへへ、よろしい。ほんなら……」


  すると一転、笑顔に戻ったゆうひはゴソゴソと後ろ手に隠し持っていた何かを、耕介の目の前に
 差し出した。


 「じゃーん! か〜み〜ぶ〜く〜ろ〜」


  間延びした口調で秘密道具の如く、白い紙袋を高々と頭上に掲げる。


 「おー、ホントにあったのか。どれどれ……」


  ゆうひの余りにふざけた態度からプレゼントの件も冗談、もしくは何か労働のような無形の物か
 と思っていた耕介は、その紙袋の存在に素直に驚き、喜んだ。


  受け取り思わずさっかさっかと軽く振ってみる。音はまるでしない。


 「やけに軽いな」


 「重さとちゃうで、贈り物は気持ちやねんから」


 「それは遠回しに、あんまり中身には期待するなって事か?」


 「いやいやお客さん、それはそれで」


  終始笑顔で、さも期待してくださいと言わんばかりに尻尾を振っている小犬系の恋人の態度に、
 初めは懐疑的だった耕介の気分もいやが上にも高まってくる。


 「じゃあ開けさせてもらうぞ……んん?」


  手探りでガサゴソ中を漁るが、手応えがまるで無い。更に四隅を指先で探ってみるが、触れる物
 は何も無く。耕介は首をかしげる。


 「あのー、何も入っていないようなんだが」


 「ちゃんと入っとるで。よう探してみてうちの気持ちを」


 「へいへい」


  埒が明かずとうとう逆さにして振ってみる。と、ヒラッと中から落ちた影が目の前を通過した。
 耕介はベッドの下へ滑り込んで行ってしまいそうだったそれを、慌てて拾い上げる。


 「おっと、なんじゃこりゃ?」


  それは小さな紙切れだった。訝しげに表裏を返しながらその紙を耕介が眺める。とそこには、




  スカ。




  とだけ黒のマジックで書かれていた。


 「ダーッ! てめえゆうひヲヲおどれ舐めくさっとんのかゴラァ!」


 「あっはっはははっ! じょ、ジョークやんジョークぅ」


  企みが自分の思惑通りいった時ほど嬉楽しい時は無い。


  今回は耕介自ら乗ってくれた感もあったが、紙を床に叩きつける様を見て、ゆうひはひーひーと
 コオロギの如く腹を抱えてベッドの上をのた打ち回る。


 「やー耕介くん、そないに青筋立てて怒らんでもええやねん」


 「これが立てずにはいられようか」


 「……立てるんならぁ、これからもっと他のトコおっ立ててもらわんと」


 「ああ?」


 「♪」


  思わず声を荒らげる耕介に対し、ひるむ事無くルンと笑顔で胸を張り返したゆうひは、床に打ち
 捨てられた件の紙切れをもう一度拾い直し、ハイと差し出した。


 「その紙、よーく見てみ」


 「これか? ただの紙切れじゃ……ン?」


  言われてよく見ると紙は二つ折りになっていた。耕介はくいと指でひねり、片手で器用に開いて
 見る。


 「レシートか」


 「ピンポーン♪」


  ただの紙切れと思われた物はレシートだった。何気無く内容を目で追っていくと、書かれていた
 金額に耕介は思わず天を仰いだ。


 「なになに……ゲッ! にまんいっせんきゅうひゃくはちじゅうえん〜?!」


 「むふ。うちの想いの重さ、分かってくれた?」


 「いや金額の重みだけは分かったが。だから肝心の中身はどーしたよ」


  ご丁寧にも品目はマジックで消されている。耕介はオイと顎で促すが、答えの代わりに返って来
 たのはこんな質問返しだった。


 「なあこーすけくん、耕介くんはドラ焼きの餡が好き? それとも皮が好き?」


 「はい? あんあんあんとっても大好き……って、どちらかと言えば俺は皮かな?」


 「じゃ豚まんは?」


 「うーん? 皮だけってのは虚しいが、かといって中身だけってのもなぁ」


  唐突な質問群。律儀に答えてしまうのは相方としての悲しい性なのか。


  耕介は頭の中を疑問符だらけにしながらも、キチンキチンと答えていく。


 「だから豚まん買うとちっちゃな辛子がついて来るわけだし」


 「阿闍梨餅」


 「ぬ。あれは餡子もだけど、もちもちの皮が特徴的で美味しいわけで」


 「チョコエッグ」


 「あ、それなら中身だけの方がいい。まぁ何にせよ、外も中も両方あってのものだろ」


 「せやろー♪ そ、こ、でぇ」


  ようやく希望の回答を得たのか、ゆうひは嬉しそうに膝で耕介ににじり寄り。


 「耕介くんも中身があった方がええと思て、実はもう着けて来てました〜♪」


  ドンドンドンドンパフパフ〜。


  手を叩き、そんな間の抜けた効果音まで自らの口でつける。


 「着けてきただぁ? 一体ナニをだ」


 「だからぁ、ぷれぜんとふぉーゆー!」


  そう言って両手を広げて更に身を差し出すが、耕介は眉をしかめるばかり。


 「着けて、ってアクセサリーじゃないようだし服……は違うよなあ。ひょっとして化粧品とか?」


 「ぶっぶー」


  耕介は仕方無しに可愛らしく口を尖らせた彼女の姿を改めて一瞥する。


  シャツにジーンズの簡素な格好、ナチュラルメイク、アクセも特に無し。どこも先ほど見た値段
 には釣り合わないように思えた。


 「他に時計もしてないし……?! ま、まま、ましゃか、ましゃかゆうひしゃん?」


 「んふ。んふふふふふふ」


 「あ、あああああああああお……」


  耕介は何かに気が付いてしまった。


  ゆうひの含み笑いを見て自分の推理が正しい事を確信した耕介は、後からじわじわこみ上げてき
 たダメージに軽くよろける。


 「な、なるほど、それで中身というわけか」


 「てへ。で、耕介くんは?」


 「は?」


 「外と中、どっちが好きなん?」


 「そ、そりゃお前……当然俺は皮も中身も大好物ですYO?」


  ここにきてようやく皮だの中身だのの意味を理解し、心が浮き足立つのを抑える事が出来ない。


  無意識に身を引く耕介とは対照的に、ゆうひはここ一番の笑顔を作ると。


 「じゃ単刀直入にぃ……全部まとめて、うちをもろて〜♪」


 「うは! ここにきて単刀直入〜」


  お預けをくっていた犬のように、猫なで声と共に。


  ゆうひは諸手で押し倒さんばかりの勢いで、愛する耕介の胸へと飛び込んだのだった。






                     〜◆〜






 「んっ。んー……」


  キス。一度触れ合わせるだけ、次に角度を変え深く。でもまだ舌は軽く差し入れする程度に。


  さっき一緒の物を食べたはずなのに。どうしてキスの味は違うんだろう。


  ちろちろと唇の間で絡まる柔らかな舌先に意識を奪われながら、ゆうひは漫然とそんな事を考え
 ていた。


 「……ぷぅ。えへへ」


 「ゆうひー」


 「あっ」


 「好きだよ……ゆうひ」


 「うん。うちも、好っきやー……」


  唇が離れたかと思ったら、すぐまたその広い胸に抱き寄せられた。


  胸にかかる重み。温かさ。耕介は愛おしさにくるくると何度も頭を撫でた。ゆうひもされるがま
 まに、目を細めている。


 「やん、あっ、は」


  耕介が襟から覗いている白い首筋にちょっと口付けた。一瞬の刺激に、ゆうひはピクンと自分の
 意思とは無関係に震えてしまう。


 「ハイばんざーい」


 「あはは、ばんざーい」


  瞼や、頬、鼻や口、顔同士をどこにとも無くうにうにとすり寄せ合い、触れ合わせる。まるで猫
 みたいに。


  そうして体を離すと、耕介は両手を上げたゆうひからシャツをすぽんと抜き取った。


 「あ、下は自分で脱ぐわ」


 「うむ」


  脱がすのは難しいと思ったのか、ゆうひはんしょんしょと座ったまま、少々難儀してジーンズを
 脱ぎ去った。


 「えへへ……どう、かな? 耕介くん」


 「……綺麗だ。よく似合ってるよ」


 「ありがと♪ 嬉しいけど、ちょう恥ずかしーかも」


  恥ずかしさにやや控えめに、両手を広げてほんの少し足も広げて身を捧げるゆうひ。簡素な格好
 の下から現れた鮮やかな、その扇情的な姿に耕介は思わず生唾を飲み込む。


  上下薄紫に統一された色合いといい縁を彩るレース部分といい、色っぽいと言うより上品な印象
 を受ける。それは先日のひよの引ったくり騒ぎの後、ゆうひ達が皆で購入した物だった。


  外身も中身も一番大人しいと思われていたひよが、何気に一番派手なインナーを平然と選ぶ事に、
 一同驚いたものである。


 「ほんと、綺麗だ……」


 「アッ! んん、あ、ん」


  誘蛾灯に引き寄せられるガの如く、耕介は不意に腕を伸ばした。


  光沢を放つブラにぴったりと収められた大きな乳房に手を添え、人差し指だけでくるくると回し、
 さする。薄布の向こうで弄られた先端が硬くなっていくのが分かる。


 「うん、はっ、ん、んぁ……」


  やがて両手で全体を大きく、揉みしだくが、正直ブラジャーに動きを制限されるようで少々もど
 かしい。


  またゆうひもゆったりとした刺激に上手く息を次ぐ事が出来ず、ぷるぷる細かに打ち震えていた。


 「んな、こうすけ、くぅん」


 「っと、ゆーうひ」


 「うにゃ〜」


  とうとう倒れ込むように前のめりに崩れ落ちた。その体を抱きとめると、耕介は背中に腕を回し
 ぎゅっと抱きしめた。


 「好き……大スキ……」


  ゆうひがずりずりと首に腕を絡めてくる。胸が合い、耕介が背中のホックの下に親指を差し入れ、
 人差し指とで軽くひねるとそれは簡単に外れた。


 「……ひゃん!」


  体を離すとパサリと二人の前にブラが落ちた。プルン、とおっぱいが顔を見せる。


  やっぱり中身の勝利だよな。


  耕介は少し考えた後取り去ったブラをベッドの端にかけると、無言のままいきなり桜色の先端に
 食らい付いた。


 「やっ、くしゅぐった、あっ、あっ、あ……」


  オルゴールのように、くりんと舌が一周するたび短い嬌声が室内に響き渡る。


 「ふや、くっ、んっ、ぅぅん」


 「ゆうひ」


 「……ふぁ? はいな」


 「やっぱり俺は、中身の方が好きだわ」


 「……うふふ。うん」


 「もがっ」


  と、ゆうひはガバッと耕介の頭をその豊かな胸に抱え込んで。


 「えーよー。外身も中身もぜーんぶ、うちはこーすけくんのものやから……」


  そうして後頭部をスリスリ。やがて少し名残惜しそうに放すと、


  好きにして。


  目を閉じあごを薄く上げ誘い込んだ。


 「ゆうひ……」


 「ぅん」


  ドサッ。


  引き込まれるように耕介は口付ける。と同時にゆうひの体をベッドに押し倒していった。


 「んむ、んん……あは」


  先ほどまでのキスとは違い、顔ごと唇を大きく擦り付け合い、口の周りまで唾液でべとべとに汚
 していく。


 「あ、はぁ……」


  ゆっくりと唇が離れた。ほうっと熱いため息が漏れる。


  そしてそのまま耕介も自分の隣に寝そべり、微笑んでくれている。それがゆうひには嬉しかった。


 「ふふ」


 「ん? どした、ゆうひ」


 「ううん、なーんも」


  完全に横になってしまうと、理由も無しに少し心細く、不安になる。


  しかし今はすぐ左に愛する人の顔がある。顔を上げれば鼻が触れ合ってしまうほど近く。それだ
 けでゆうひの心は安らぎに満たされていった。


 「……きゃっ!」


  そんな事を考えていて急にすりっと自分の股間に走った感触に、ゆうひは思わず足を閉じる。


 「あっ、ああん、はっ」


  が時既に遅し、耕介の掌は両足の間にあり、ゆうひを捕らえて離さない。


  ツルツルとしたシルクの感触が指の腹に心地よい。ちゅりっちゅりっと掻くように、回すように
 して耕介は下着の上から付け根の中心を愛撫していく。


 「あん、ちょ、んんっこうすけくん、タンマ」


 「うん?」


 「その……汚れてまうから」


  愛撫の為か羞恥心の為か、赤い顔して消え入りそうな声でそう呟いた。


  指先にはすでに染みる湿り気を感じており、手遅れなんじゃあと思ったがその値段を思い出して
 耕介は一旦手を止めた。


 「そーらくーるくるっと」


 「ん、あはは、んん……」


 「やーらかいなぁ、胸も、ここも」


  胸からお腹へ、くるくると臍の辺りを撫で回すと、さわさわと更に耕介の掌は下りていき。


 「ん、ん」


 「ここ、もな」


  やがて下着の隙間から手を差し入れ、茂みを越え、ぺったりと手の平を股間に貼り付けると。


 「……ひあっ!」


  くいっと薬指を折り曲げ、中身に触れた。そこは既にぬかるんでおり、たやすくくちゅくちゅと
 表面を弄る事が出来る。


 「やっ、はっ、くぅ、うん」


  指の腹で掻くように浅くクレバスをなぞると、その度にゆうひの口から熱い吐息が漏れる。それ
 が耕介には何故か無性に楽しい。


 「ん、しょっと」


 「あ……うん。ありがと」


  と、耕介は一度指を止めそのまま触れぬよう手の甲で下へ手ごと下着を引き抜いていく。ゆうひ
 も慣れたものですぐに察すると右足を上げ、片方だけ足を抜きさった。


 「ゆうひー、好きだよー」


 「うん、うちも……こーすけく、ぅんんっ!」


 「愛してるよ……」


  好きだ、愛しているという言葉以上に、自分の気持ちを伝える言葉が無い事がもどかしい耕介。


  答えるゆうひの方も、白濁していく意識の中自分もだと返す事しか出来ず、歯がゆい思いをして
 いた。


 「キャッ! ああっ! んぁ、アッ、アッ」


  下着という枷が無くなった分、耕介の行為は更に激しくなっていく。


  前のように指を折り曲げるだけでなく、今度は割れ目に沿って薬指の腹全体を押し付けながら、
 上下させ、長く、ぐちゅぐちゅと強く責め立てた。


 「んはっ! ひやっ、やめっ、だ、だめぇ……っ!」


  暴れるゆうひの体を押さえ込むように、半身に覆い被さった耕介はゆうひの左足に自分に左足を
 絡め、ぎゅっと体を密着させる。しかしその指は依然止まる事が無い。


 「あーっ! ヒッ! ……ぅ、あ……ふぁ……」


  キュッと両モモが上がり、一瞬腰が落ちビクッとゆうひが痙攣する。それにより耕介の手も動き
 を止めた。


  最後には泣き声に近かった嬌声が詰まったように治まると、やがてくてっとゆうひの全身から力
 が抜けていった。


 「は……ぁ……」


 「いっちゃった? ゆうひ」


 「…………」


  耕介がびしょ濡れになった指を舐めながらそう尋ねると、ゆうひはコクコクと小さく頷くのみ。


  ハーハーと長い息をつくゆうひの体をあまり弄らぬよう、ぴったりと密着させたまま耕介は暫く
 の間、さざなみが治まるのを待っていた。


 「ん?」


 「……いぢわる」


  程なくして、やや落ち着いてきたゆうひが力無く肘から先を動かし、耕介に当てたかと思うと、
 ちょっと恨みがましくただそれだけ呟いた。


 「ごめんごめん、ゆうひがあんまり可愛くって、さ」


 「む〜」


 「ついやりすぎちまった。スマン」


  誤魔化すように耕介は右手でゆうひの額を撫でつけ、ちゅっちゅと顔中に口付ける。左手はまだ
 体をさすってもいいものか迷ったので自分の太ももの上。


 「……さみしいん」


 「え?」


 「うちだけ先にいってまうと、なんや寂しいのっ!」


 「あ、ああ、うん」


  ゆうひは体を投げ出したまま、首だけぷいと明後日を向いて拗ねた口調でそう言った。


 「だから、もっと食べて……ほんで、耕介くんも気持ちよーなって欲しい……」


 「ゆうひ……」


  怒らせてしまったのかな、と強い語気に気圧され戸惑っていた耕介だったが、続くゆうひの言葉
 に複雑な乙女心を垣間見た気がした。


  つんつんと肩を突く。振り返ったゆうひ。二人顔を見合わせ、そろってパッと笑顔になる。


 「もちろん、そのつもりですから」


 「ん、よろしい……ってこ、こーすけくん? どこ行くんよ?」


 「いやだってコレさ」


 「あ」


  また甘いひと時が始まると思っていた矢先、突如立ち上がり行ってしまう耕介に今度はゆうひが
 慌てふためく番だった。


  一方耕介はというと、勝手知ったるなんとやらで引出しから避妊具を取り出していた。


 「つけといた方がいいだろ?」


 「あ、う、うん」


  下着まで用意して自分から誘ったのに、その事をすっかりと失念していた。間の悪い事に安全日
 かどうかもすぐには判断がつかない。


 「よし、これで準備オッケーと」


 「……いつもお前には苦労をかけるねえ」


 「それは言わない約束でしょ、おとっつあん」


  何となく申し訳なく、恥ずかしくなってしまったゆうひは冗談めかしてそう言う。耕介もそれに
 応えてくれた。


 「あは♪ きゃん……ぅぅん」


  やっぱりうちは、この人の事がめっちゃ好き。


  そんな気持ちを再確認し、にやけるゆうひの上に耕介が再び覆い被さっていった。






                     〜◆〜






 「うぅん……」


  またもう一度、静かにキスを交わす。


  今は耕介は隣に添い寝するではなく、ゆうひの両足の間に身を置き覆い被さっていた。


  好きな人の匂いをかぐと、どうしてドキドキするのに安心するんだろう。


  そんな事を思っているとゆうひの前からふいっと、匂いと熱の元である耕介の体が離れていって
 しまった。


 「あっ、ン」


  体を起こした耕介が、両手で濡れて少し冷たいゆうひの太ももと陰毛を左右に掻き分ける。


 「ゆうひ、いくぞ」


 「う、ん。来て……」


  そこへ口付けようか少し迷ったが、結局耕介は間が空いた事によりやや萎え気味のペニスを手で
 持って、ぺとっと中心部に押し当てた。


 「んん……あ、あ、はぁぁ……ッ!」


  ず、ずずず……っと柔らかな粘膜の裂け目に少しずつ耕介自身が侵入していく。


 「んっ!」


  最後に添えていた手を離し、グッと腰を前に突き出すと一番奥へと到達した。かはっとゆうひの
 肺から息が押し出される。


  耕介は両手をゆうひの腰の脇に突いて、ゆっくりと前後に抽送を開始した。


 「あっ、あっ、はっ、あっ」


  リズミカルに挿入されながら、更に胸や、接合部の上の方を親指で弄られる。


 「ひぅ! ひっ、んん……んはっ! やぁ……」


  休み無しの刺激に堪らず掻くようにゆうひは両手をじたばたとさせるが、ピンと張られたシーツ
 は掴めず、ただ上を滑るばかり。


  普段ゆうひがいい加減に敷いたシーツならこうはならなかったかもしれない。だがそのシーツは
 幸か不幸か昼間耕介がぴっしり綺麗に敷いたものだった。


 「あ……? ぅむ、ううん」


  ふと、振り回した手が何かに当たる。耕介が今度は両肘をゆうひの顔の横に突き、重なるように
 してキスしてきたのだ。


  帰って来てくれた。力の入った肩や腕に男性を感じつつ、ゆうひはついそんな気持ちになる。


  動きは腰だけのものとなり多少緩やかになるが、それがまたゆうひは好きだった。


 「はぁ、はぁ、こうすけ、くん……こうすけく、ん……」


 「ゅうひ……ゆうひ……」


  うめくように何度も互いの名を連呼する。


  すっぽりと体の上に乗られるなど、普通なら恐い気もするが耕介相手だとそれも安心に変わる。


  逆光になった顔から霧雨のように降り注ぐ汗も構わず、それどころか指で掬って舐め、しょっぱ
 いと思った事さえゆうひにはあった。


  冷静に考えると凄い事かもしれないが、更に考えてみると耕介の精液まで口に入れたこともある。
 特に汚いとは思わない。それよりも自分がそこまで耕介に恋着しているという方が驚きだった。


 「んあ、はっ、あん、ふゃ〜」


  勿論今のゆうひにそんな事を冷静に思い返している余裕は無く。


  朦朧とした想いの中、耕介の体にしがみつこうという本能、しかし動きを邪魔してはいけないと
 いう理性の間で、ただ両腕を付けたり離したりを繰り返していた。


 「んあっ!」


  と、いきなり耕介が引き抜けるほど腰を引いた後、入り口上部をえぐるようにしてグジューッと、
 再び長く深く今やパンパンに勃起したモノを突き入れる。


 「ひっ! ひっ! らめっ、や、んぁぁぁぁぁぁ……」


  そこから両足を持ち上げ、グッとゆうひの腰をひきつけるとまた体全体で抽送を始めた。


  上方を早く擦られ、奥にこみ上げてくるものがある。腰の裏、お尻の上辺りに何かもにょもにょ
 とした感触が溜まっていくようで。


 「アー……ッ!」


  ビクンッ!


  一度目とは違い、ガクガクと揺れるゆうひの体がスルメのように段々くの字に折れ曲がっていき、
 最後に達した瞬間、弓形に仰け反った。


  ゆうひに両手で下へ突き放すように、両足ではガシッと凄い力で巻き付かれ、それを合図に耕介
 も動きを止める。


 「はっ……ハッ……」


 「ふぅ……大丈夫か?」


  ズルっと身を離すと、もはや精根尽き果てたといった体で、バッタリと四肢を投げ出すゆうひ。


  ジンジンと、体全体が脈に合わせて痺れているみたい。


  その様子に流石に心配になった耕介が声をかけるが、返ってくるのは荒い呼吸音だけ。


 「う〜」


 「……悪かったって」


 「う〜う〜う〜」


  そうして暫くして復活したゆうひの口から漏れ出したのは、不満げな唸り声であった。


 「……こーすけくん、うちとHしても、あんま気持ちよくないん?」


 「いやいやいやいやいや、そんな訳ないって」


 「ほんまぁ?」


 「こういうのってほら、タイミングの問題だから」


 「む〜」


  体を起こし笑顔を見せる耕介に対し、ゆうひはまだ納得のいかない様子で頬を膨らませている。


  もしかして自分の体は相手にとって気持ちよくないのでは。そんな不安に捕らわれる時も女の子
 にはあるのだ。


  例のバストアップ運動以外に、密かに締まりのよくなる運動をしている事は耕介にも秘密だ。


 「今だって凄く気持ちがよかったし。ゆうひがいってくれたのは嬉しかったよ」


 「でも、耕介くんはまだいってへんのやろ?」


 「まぁ、そうだけど……」


  いってくれて嬉しい。いってくれなくて不安。言い換えれば同じ事のようだが、なかなかそれに
 気付く事は難しい。


 「……こうなったら!」


 「わっ」


 「意地でも耕介くんに1回いっといてもらう!」


 「ちょまっ、いち、いぢぢぢぢぢっ!」


  収まらないゆうひはそう言ってガバッと起き上がると、四つん這いで耕介の股に手を突っ込み、
 コンドームを無理矢理引っ張って外そうとする。が、先が伸びるばかりで外れない。


  更に巻き込んだ陰毛をプチプチと持っていかれ、耕介は悲鳴と共にずりずりと後ずさった。


 「ご、ゴムした後は変な味がするから嫌じゃなかったのかっ?」


 「どっちにしろ変な味や!」


 「そうなのか……うひゃあ!」


  軽くショックを受けている所へ、突然にゅるんとした温かい感触が亀頭を包み込み、耕介は先程
 とは違った悲鳴を上げる。


 「もご、うひがとこほん、ひぼりとっはる……」


 「咥えながら話すな〜っ!」


  頼むから、と耕介が掌で頬を撫でるとゆうひもやや落ち着きを取り戻し、乱暴に擦るのはやめ、
 今度は優しくねっとりと舌の平でしゃぶり始めた。


  耕介はこれはこれでまた困るんだけどなぁと苦笑しつつ、張り詰め敏感になった自身への刺激に
 身を打ち震わせるのだった。






                     〜◆〜






 「ふぃー、ひゅー、はー」


 「はぁ、はぁ、はひゃ〜」


  あの後二人は高価な下着のおかげか、調子がよかったのか。それとも結局はいつも通りなのか、
 ゲップが出るほどたっぷりとセックスしてしまった。


  二人の全身を包む気だるい倦怠感。勿論、嫌な気分ではない。


 「ん〜、ゆうひー……」


 「あん、こうすけくーん……」


  そうして落ち着いてくると自然とまた身を寄せ合い、もう何十回目だか分からないほどのキスを
 する。髪を撫でたり唇でついとさすったり、太ももをすり合わせたりと軽い後戯。


  そうしている内に先程までならそのままウン回戦目に突入していたのだが、流石にもうその余力
 も無さそうだった。


  耕介とゆうひ。二人目を閉じて、ぎゅっと抱き合う。


 「……スーッ」


 「フーッ……」


  暫くすると何時の間にか二人の呼吸がそろってくる。


  薄れゆく意識。出来る事ならそのまま寝てしまいたい所だったが、そうもいかなかった。


 「……っていかん、このままだとホントに眠っちゃうな。おいゆうひ、お前はどうする?」


 「ふにゃ〜?」


 「まだこの後色々とやろうと思ってた事があるんだよ。まさかこんな事になるとは思ってなかった
 からなぁ」


  なにせ何の用事か分からないまま呼びつけられて来た為、急ぎではないが後回しにしていた仕事
 が残っていたのだ。


  ばつが悪そうに頭を掻く耕介の隣で、既に半睡状態だったゆうひが目を細めて、壁に掛けられた
 時計の文字盤を見詰める。


 「あ、もうこないな時間やん。うん、うちも1回起きるわー」


 「じゃせーので一緒に起きるか。このままだと動く気無くなっちゃいそうだ」


 「あはは、せやね」


  こうしている間もまだ二人は寝そべったままでいた。起きなければという意識に、なかなか体が
 ついてこない。気合も必要というもの。


 「よいっ」


 「しょっとぉ」


  掛け声と共に反動をつけ、ようやく二人は起き上がった。ゆうひは裸のまま胸を反らし、んーっ
 と伸びをしている。


 「さて、俺は一旦自分の部屋に戻るかな。着替えた方がいいだろうし」


 「うちは……うーんお風呂入った方がええかぁ」


 「お互いナニしてたかバレバレの臭いさせてるもんな。体から」


 「はは。せや、お風呂一緒に入ったろか? こーすけくん」


 「俺としても出来ればそうしたい所だが、時間が早すぎるな」


  体中から唾液、体液ですえた匂いがする。口の周りやあちこちの皮膚がなんだか突っ張る感じが
 してならない。


  ベッド脇のゴミ箱には大量の風船が。その上には空箱が一つ、捨てられていた。


  深夜ならともかくまだ住人の目がありすぎる時間だった。勿論ゆうひにもそれは分かっており、
 残念と笑顔で言うもののその気持ちは本物で。


  いつか真夜中にでもこの野望は実現させよう。そう密かに誓うゆうひだった。


 「よっこいせ、っと」


  少しだけ迷ってから、ゆうひは先ず膝立ちでパンツを履く事にする。汚れるかなとも思ったが、
 正直もうどうでもよくなってきていた。


 「……こ、耕介くん? や、あんまこっち見たらあかんよ」


 「いやいや、そんなもったいない」


 「んもぅ。なんや、恥ずかしいわあ」


  と、耕介は脱ぐ時、脱がす時もいいが着ける時もまた好いもんだなと、ゆうひの着替え姿をニヤ
 ニヤしながら眺めていた。


  急に妙な気恥ずかしさに襲われたゆうひは顔を赤らめ、いそいそとショーツの縁を引き上げる。


 「こないなとこ見て、何が面白いんやか」


 「はは、いいからいいから」


  ゆうひはそう言いながらも笑顔のまま、今度は正座でブラジャーを手に取った。


 「えーっと」


  パチン。クルッ、クルッ。


 「…………」


  先ず表裏、上下前後を逆にしたブラを、背中から回しホックをおへそ辺りで留めてから、くるっ
 くるっと一回り。


  ギュ。ギュ。


 「んしょ」


  そうして前へと持ってきたカップを裏返しに、引き上げぴとっとおっぱいに当てはめると肩紐を
 かけて、見事ブラを装着した。


  更にちょこちょこと裾やわき腹の肉を引っ張って、綺麗に着くよう微調整している。


 「……ダーッ! ゆうひてめえ何やっとんのじゃコラァ!」


 「きゃっ! な、なんやの急に」


  その様子を見ていた耕介が突然咆哮と共に立ち上がったため、ゆうひは驚きの余り中腰になり、
 そのままつんのめりそうになった。


 「なんだその色気の無いブラの着け方は! せっかくの下着が台無しじゃないか! ああっ?!」


 「は、はい? そ、そないな事言われたかて……」


  その剣幕に圧されたじたじとなるゆうひ。


  一体何をそんなに怒っているのか。自分が何か悪い事をしたのか。訳が分からない。


  実は後ろ手でもどかしげに腰をくねらせ、ブラを着ける姿を期待していた耕介にとって、ゆうひ
 の行動は裏切りにも等しかったのだ。


 「だってうち、ぶらじゃー着けるのちょう、苦手なんやもん……」


 「だったら……だったらこの俺が代わりに着けてやる!」


 「え? ちょ、だって今着けたばっかりやし」


 「ならばもう一度外すまで!」


  男らしくキッパリと言い切った。


 「せやけど耕介くんやって、この後やらなかん事がある言うてたのに――」


 「真剣勝負にそんなものは関係ないわーっ!」


 「キャ〜♪」


  耕介の喧嘩魂に火がつき、再びウガーとゆうひに襲い掛かった。その大きな体を、戸惑いながら
 もゆうひがまた泣き笑いの表情で受け止める。






  結局、その夜二人が部屋から出てくる事は無かった。






                                       了









  後書き:引ったくりの話は実話。幸い私はその手の被害にあった事はありませんが、
      最近物騒な世の中のようで。気をつけましょうね。
      ブラは聞くと一人は居ますね〜つけるの苦手でああいったつけ方してる娘。
      初めはガーターでも履かせようかとも思ったのですが、
      何となくゆうひの趣味じゃ無い気がしたんで。やめときました。





  05/10/01――UP。

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