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  〜ちくび〜
  (Main:ゆうひ Genre:ほのぼの Written by:竹枕)






 「ん〜」


  ここはさざなみ寮の脱衣場。


  風呂上りのゆうひは巻きつけていたバスタオルをはらりと取り去ると、一人鏡の前で仁王立ち。


  あれこれ体をひねって見た後、おもむろに両手でむにっとおっぱいを持ち上げてみる。


  ながらでやっていたバストアップエクセサイズの効果はあまり見られないが、我ながら程よく大
 きく、形のいい乳房だとゆうひは思った。


  風呂上りの胸はまだまだ温かく、やわらかい。しっとりとした重みが両手にしなだれる。


  誰かに見せてもそれなりに恥ずかしくない出来だと言ってよいだろう。残念ながら今の所、その
 見せる相手が居ないのが問題だったが。


  候補といえば一人だけ、現在気になる存在である管理人君とは、目下の所気の合う友人どまりで
 しかない。


  それはそれなりに心地好い関係ではあったが、何とかしてそれ以上になれはしないかと心の奥底
 で願っていたのもまた事実。


  しかしながら自分から告白した事など無い、歌以外で恋などうたった事も無いゆうひにとって、
 自ら一歩踏み出すというのはいささか難易度の高いハードルであった。


  さらに件の彼にはライバルと思しき従姉殿が居り、これがゆうひの目から見ても掛け値無しに好
 い人で。ゆえにそれに比べてうちは……と一人落ち込むの事もしばしばで。


  胸でも負けてるし、勝ってるところは身長ぐらいやろか?


  おっぱいを押える手にも力無く、はぁと溜め息をつくゆうひであった。


  それはさておき。


 「かゆっ」


  急にむずむずとした痒みが襲ってきて、ゆうひは左の乳首の周り、乳輪部分をポリポリと掻く。


  荒れていたり、何か発疹でも出来ていないだろうかと見下ろすが、別段何の異常も見当たらない。
 そうしてふと、自分の薄褐色の乳首を眺める内ゆうひはある疑問に思い至っていた。


  はたしてこのちくびは、いつ頃からこのちくびになったのだろうか、と。


  まだ子供の時分、小学校高学年になる辺りだっただろうか。第二次性徴に伴い伸びる身長と同時
 に膨らみ始めた乳房、その先端に咲くつぼみはまだ薄く色付き、現在の半分の大きさも無かった気
 がする。


  何より違うのは、当時大人へと変わりゆく胸に気恥ずかしさもあって、何気にその先端を押して
 みる事もあったのだが、その時はこう、ぺったりと凹み埋没してしまった記憶があるのだ。


  なだらかなふくらみの丘の中に、隠れるようにそっと埋もれる小豆。


  平らになった先端を擦り込むように押し付けると、指先につるっとした感触を残したものだった。


  今、グッと乳首を押し込めてみる。山全体が沈みはするが当然の如く押し戻され陥没してしまう
 事は無い。


  わりとあの感触、好きやったんやけどなぁ。


  ぷにぷにと何度となく胸のボタンを押しながら、そうゆうひは思い返していた。


  自分で触ったり、異性に触れられたりすると濃くなるという噂はあったが、さほどいじった覚え
 もないのに乳首は硬く色付き、胸は自然とおっぱいになってしまった。お尻も大きく、背丈も嫌に
 なる程伸びた。


  すっかり女性への変化を終えてしまった自分の体に、なんとなく寂しさを覚えるゆうひだった。


 「ふぁ〜、あつ、あつ」


  とその時、ゆうひに続いて風呂場から上がってきた人物が居た。


 「あれ、ゆうひちゃんもまだ裸? 今日のお風呂、ちょっと熱かったよねー」


  髪を結い上げ、ほかほかと全身を上気させるその少女は知佳であった。


  火照りを冷ます為バスタオルでパタパタと自らを扇ぎつつ、正面から見られるのは恥ずかしいの
 かゆうひに背を向けたまま知佳は立ち尽くしている。


 「…………」


  丸みを帯び始めているが、細くまだ幼さを残したその体。しかし桜色に染まった背中、うなじか
 らは一種色香のようなものを感じさせる。揺れる小さなお尻が悩ましい。


  時折チラチラと覗く控えめに膨らんだ胸。その先端の色は同じくまだ桜色をしているであろう。


  そんな知佳の姿をジッと眺めていたゆうひだったが、その内にこっそり、その背後へと近づいて
 行くと。


 「うり」


 「キャーッ?!」


  いきなり後ろからキュッ、と腕を回し両手で知佳のおっぱいを鷲掴んだ。


 「お? おーおー、おお?」


 「やっ、ええっ? あひゃっ」


  知佳はおたおたと慌てふためくが、相手がゆうひだという事は分かっているので乱暴に振り払う
 事は出来ない。


  身をよじり何とか逃げ出そうとする知佳だったが、ゆうひは放すこと無く。それどころかなおも
 くりくりと、ささやかな胸の先端を指で押し込んでいった。


 「あう、ゆ、ゆうひちゃん、なにするのよぅ……」


 「あ、へこんだ」


  ちくびも。知佳も。






                                       了









  後書き:「SSSは無いの?」との感想をいただいたんで、簡単ですが一つ書いてみました。
      感想も殆ど来ないので、需要があるのかどうか今ひとつ分からなかったり。
      ただまぁよっぽど作品の出来がいいか、もしくは悪くない限り、
      わざわざメールで感想を送ってくださる人ってのは少数でしょうしねぇ。
      何か気軽に感想を出せるシステムでも導入した方がいいのかしらん。





  07/03/11――UP.

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