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プロローグ

 すべての生命にとって、水は不可欠な物質である。
 無色で透明で、水は何よりも純粋で脆い。
 神の祝福を受けた水は、この世界に存在するありとあらゆる物質よりも眩い輝きを放ち、それはどんな厄災からも人々を護ってくれる。
 それが聖水と呼ばれる水だ。
 しかし、清い水が在れば、穢れた水もある。
 古来より純粋な水は何物にも染まりやすく、一番呪いの影響を受けやすい触媒とされている。
 呪いを帯びた水は腐って濁り、異臭を放つとともに触れた者を呪いで穢す。
 歴史を紐解いていけば少なからず出くわす疫病という名の悪魔は、その殆どが穢れた呪いの水が原因となっている。
 水は万病の元であり、万病の薬であるのだ。
 そして呪われた水と共にしばしばその存在が囁かれたもの。
 それが魔女と呼ばれる忌まれる存在。
 魔女は穢れた呪いの水を用いて呪いを振りまき、疫病という名の悪魔を喚起する諸悪の根源として忌み嫌われてきた。
 世界の秩序を護り、人々の平和と安穏を管理する教会は、魔女と呼ばれる悪を討ち滅ぼすため、時に大規模な魔女狩りを行った。
 疫病が蔓延るたびに、教会は魔女狩りを行って魔女をつるし上げて処刑し、民の心から不安を拭い、民から信頼を勝ち得ていった。
 処刑された人間全てが本当に魔女であったのか、それを知ることは教会の人間以外には絶対不可能だろう。
 この時代。水と、呪いと、魔女は、切っても切れない関係なのだ。
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