taxi 回想録 in Nagoya
同業の方、又はtaxiに興味を御持ちの方の参考になれば幸いです
(経験は法人で32年です)


二種免許試験(脱輪)
学科は一種試験に旅客運送事業法を加えたものです。
名称は厳ついですが内容は一般常識ですので簡単で御座いました。
実技は5人受験し、二人が合格、私も、幸いその中に入りました。
合格発表前、皆さんは自信満々余裕で談笑してましたが
私は大きなミスをしたので諦めていました。
ミスというのは「S の字バック」で前輪を落とした事です。
勿論、前進して車輪をコースに戻しましたが・・・
二種試験で「ワッパを落とせば試験も落ちる」ってダジャレもあります。
思うに、落とした車輪は駆動輪(当時の国産車は後輪駆動のみ)でなく
また左右確認のゼスチャを大袈裟に、信号等は呼称確認したのが良かったんでは。
特に、二種免許試験は安全運転を最重視するが
運転技術のミスに対する採点は低いかも。

何故タクドラに?
志望した時期のタクドラは労働環境は厳しいが高給取りが多かったですね。
が、私は金に執着心は、なかった(ホント)今でもそうです(笑)
車好き、かつ隔日勤務で余暇があるのが魅力でタクドラ人生に入りました。
多趣味で時間が、どれだけあっても足りなかったんです。
余暇を持て余した人は競輪、競馬場へ走りました(使い方は自由ですけど・・・ね)し、
明番は化石の発掘に通う運転手さんも(本職はそちらかもね)
兼業農家の人は一日おきに農業、旅客運送業と二足の草鞋を御履きになり
田舎のタクドラに多いケースだそうですね。

車種(乗車した車種)
小型車はコルト、コロナ、ブルーバードに乗車しましが、コルトはクーラー
(エヤコンのない時代でした)のオーバーヒートに泣かされました。
中型車はルーチェ、フローリアン、クラウン、セドリック、グロリアにに乗車しました。
ルーチェ、フローリアンは低価格で中型車の料金が頂けるので
タクシー会社が 競って採用したものです。
マツダルーチェでは苦い経験があります。
トヨタ自工(当時、自販と自工に分かれていた)の工場に客送しましたが
守衛さんが通してくれないんですね。
下請けが他社の車を使うのを禁じてるのを聞き及んでましたがタクシーまでもね。
挙句の果てに「その車は外車か?」だって・・・
今は世界のトヨタですが、当時は三河のトヨタだったんですね。
トヨタモンロー主義なんて言われてました(苦笑)
グロリアは格好が厳つく高級車に見えて名古屋では客付きが悪かった。
で、皆さんがクラウンを希望するので自然淘汰された(笑)
今は皆様ご存知の通りクラウンのタクシー仕様車である
コンフォートが主力ですね。

目覚めないお客様
深夜、無線配車で道徳の某建設現場事務所に御迎えに参りました。
アルコールを帯びた御客様が御乗車
「運転手さん一宮に入ったら起こしてね」
と一言、スヤスヤと御眠りになりました。
で、ロングに当たり喜び勇んで一宮市へ・・・ここまでは良かった。
市内に入り熟睡中の御客様に声を掛けるも起きられない。
体を揺すっても反応なし。
頭の中で「不安」という文字がドンドン大きくなるし
とりあえず一宮警察署に直行しました。
係員がサイフを調べると運転免許証の現住所が岐阜の各務原市に
なっている。確かに一宮とお聞きしたのに・・・困った。
だが、アドレス帳に一宮の電話番号を発見し先方に連絡すると
奥さんの実家で「すぐ迎えに行きます」との返事
で、御二人が御迎えになられた。「コイツは」私でなく先方さんが
言われたんです。「コイツは酔っ払って寝ると6時間は起きないんだ」
と、御二人で抱えあげてライトバンの荷台に押し込み御帰りになられました。
世の中、いろんな方がおみえですね。

無賃乗車
雨降りの夕刻で御座いました。
今池の店舗の軒先で若い男性が手を振っておみえです。
まぁ 一見して傘を持ってないのでタクシーを、ということでしょう。
他に手を挙げてる方もおみえでしたが傘がなく困ってる人 優先です。
行き先は市営梅森荘ですので中距離の仕事で まぁまぁです。
目的の棟に到着しますと
御客様は「持ち合わせがないのでチョット待ってて下さい」と
住宅の中へ消えました・・・本当に消えました(笑)
待つこと半時、諦めました。
一棟に数十所帯が入居してる住宅ですので・・・捜しようがないし・・・
今まで、かような事は何回も経験してますが
皆様、必ず料金を手に戻って来られました。
困ってる人の役に立った積もりでしたので 余計むなしかったですね。

ホームレス
パブル真っ盛りの頃で御座いました。
ホームレスも、その恩恵を受け、身なりが一般人と区別出来ません。
で、間違って私の車に御乗車して頂きました(笑)
当時、矢場公園が粗大ゴミの集積場で、誰も見てなかったら拾って帰りたい
品物が溢れていました(私生活は中流の下のランクで御座いましたが)
御客様の指示で公園に直行、トランクを開けるように言われて
初めて、この方の身分に気がつきました(苦笑)
しかし、料金メーターは倒してありますし、断れば乗車拒否ですよね。
泣く泣く神様に指示されトランクに布団2枚を乗せて一路名駅西へ
とある無人の神社が目的地で、神様同志、仲よく肩を寄せ合って御暮らし
なんですね。タクドラ初心者の頃の物語で御座います。