taxi 回想録(2) in Nagoya



地理間違い
JR名古屋正面で御乗車の御客様で御座いました。
御客様が「せんげんちょう」と一言(後で分かりましたが)
で、私の耳には「へいでんちょう」と聞こえてしまいました(笑)
東進し、浅間町は700m程で左折ですが3Km程で左折し、平田町に到着です。
地名を聞き間違い、料金は4倍程になってます(苦笑)
当然の事ですが目的地に回送し深く御詫び申し上げました。
で、一つ、勉強になりました。
JR名古屋は全国の人々が出入りし、方言も多様で
当地で生まれ育った私の耳で理解出来ない語韻が、あるんですね。
以降、JR名古屋の御客様の地名指示には、区付けで聞き返します。
この仕事に王道はなく失敗の繰り返しがベテランへの道程なんですね。

飲酒運転その1
これだけ社会問題になってもなくならず・・・ですね。
それも議員だとか警察幹部とか校長とかの社会的地位の
高い人達も多いですね。
私も・・・(笑)社会的地位は低かったんですが
飲酒運転常習者でした。
プロになる数年前でしたが、飲酒運転をやめるきっかけが
ありました。繁華街の市営地下駐車場に車を置いて仲間との
宴会に出席し、帰りに駐車券を係員に渡しました。
受け取ってもらえないんで押し問答になり、駐車券をよく見ると
勤め先の社員証でした(ショック)
飲酒運転常習者はアルコールに強いという「思い込み」があって
検挙されるか、事故を起こすまで飲酒運転を続けるんです。
プロになってから、
よく経験するんですが、飲食店を出る時はタクシーを呼んで
マイホームでなく勤め先の駐車場に直行するケースが多いですね。
まぁ 飲む前は会社に車を置いて帰る積りが
飲むと車通勤の便利さの誘惑に負けるんでしょうね。

飲酒運転その2
「飲酒運転による事故は無罪」その理由は「心身喪失状態だから」
なんて判決を下した馬鹿な裁判官もいましたよね。
そんな車優先の時代から「飲んだら乗るな」の時代になったのに
相も変わらず飲酒運転が横行してます。
飲酒に甘い、この国の世相を反映してるわけですが
我々タクドラも、煩雑に被害を受けます。
一例ですが
まだ明るい夕刻、信号のある交差点を直進中(勿論、当方は青信号)
でしたが、交叉する道路からヨロヨロとコロナが・・・ガチャン・・・
私も油断しててかわせなかった。
トヨグライドを装備したコロナ(当時は高級車)のクリープが原因でした。
で、野次馬の一人が「タクシーの信号無視だ」と叫んだんです。
衝突音がしてから見ればタイムラグがあるのに・・・
相手のドライバーも「タクシーが悪い」と言い張ってるし・・・
ですが、話してる相手からアルコールの匂いがします。
私が「飲んでいますね」と言ったら顔色が変わり
警察への届出は許してほしいと懇願するんですね。
届出は義務ですし、一応、会社へ事故状況を報告しましたら
上司が来て先方とヒソヒソ話・・・
で、上司が「被害金額は全て弁償してくれるので警察への届出はしません」と
私は「法令違反になるし後で問題になるかも・・・」とくい下がりました。
それに対する説明は
当社御得意様の大手企業役員が「飲酒運転で事故を起こした」
これが公になれば、その影響は、はかりしれないんだそうです。
今は亡くなったんですが、その会社のトップになりました(苦笑)
公になったら人生変わったでしょうね。
深夜から早朝にかけて僅かな接触事故でも逃げるのは
飲酒運転か無免許運転です。なかには追突事故の被害者なのに
逃げるドライバもいると聞きます。
標語に「飲んだら乗るな、乗るならタクシー」って
ありますが御存知ですか・・・知らない?・・・やはりね。

顔見知りの御客様
前述しましたが、私は、この土地で生まれ育ちましたので
知人に、よく御乗車頂きますし同僚に中学の同級生もいます。
また、当方が知らなくても御客様から声をかけられ当惑することも度々です。
例えば、弟妹の小中学校同級生とか・・・普通は記憶にないですよね(笑)
隣家の兄さんに御乗車頂いた事もありました(確率は低いですよね)
勤務先は、この地方では大手企業の一つに数えられており
マスコミを賑わせている御得意様も多数おみえで
よく御案内させて頂いてます。

長距離(通称ロング)
もともとが、運転に縁のない世界からの転職ですので
タクドラにとって美味しい長距離の仕事が苦手でした。
東は静岡三ケ日、西は滋賀米原までが今までの最長距離です。
それ以上の依頼は他の車を呼んで乗り換えて頂きます。
呼んだ運転手さんに喜ばれ私も助かるんですが・・・稼ぎがね。
途中(流しの)の御客様で「茨城へ」という方も、おいででした。
新米ドライバーの頃ですが名古屋から三重白子経由三重名張へ
行きました。御客様が御乗車してる時は、ある種の緊張感が、あり
運転に身が入りますが、帰りは名古屋まで15分の大山田PAで
我慢できず眠ってしまいました(笑)
地図で調べると奈良の隣で三重というより関西圏なんですね。
その点、トラックドライバーからの転職者は何処へでも
気軽に行かれますね(尊敬)

殉職
同僚の死、それも相手の無謀運転で亡くなった記憶は年月を経ても
忘れる事ができません。事故車が会社に引き揚げられてたんですが
車って横からの衝撃にとても弱いんですね。
クラウンが「く」の字に曲がってました。
彼は入社半年で家族を残して殉職しましたので
「死ぬ為にタクドラになったようなものだ」
と、暫くは噂になりました。
事故の経緯ですが
時間は深夜、ドライバーは無免許、車は大型アメ車で車検切れ
そして信号無視です。
最悪のシナリオですが、事実です。

英会話
当社は外国語を話せるドライバーを登録していますが
やはり英語(米語)が圧倒的に多いですね。
私は英会話が出来るのが自慢の一つでしたが
心無い女性の一言で自信を失って登録していません。
進駐軍相手のゴルフキャディのバイトを2年しましたし
キリスト教会に通って外国人との接触もありました。
タクシー会社に転職する以前は外国船員と交流のある会社に就職し
率先して通訳を買って出ていました。
外国人と会話をしていると同僚に取り囲まれることが多く
鼻が高かったです。
ある時、同僚の女性が
「○○(私)さん、人気あるんですよ!
 ブロークンだけど会話はヤッパリ度胸よね」
「へっ・・・度胸よねって」
じゃ 取り囲んでた同僚は落語を聞いてるつもりだったんだ。
熟考してみれば軍人相手に覚えた会話は
名古屋の人間が関西弁や九州弁、東北弁を交えて話してるような
ものだったんですね。
軍人は「ガッデン メ」を連発するんですが和訳すると「クソッ」で
下品な言葉が多いんですね(汗)
で、それ以来、寡黙で通しています(笑)
ハムなんですが同類がブロークンイングリッシュで話してるのを
聞くと同僚女性の言葉を思い出して顔がほてります。