taxi 回想録(7) in Nagoya



チップ
初めてチップを頂いた時は感激しました(笑)
前職がチップと無縁でしたので尚更です。
普通、乗車料金の釣銭が多いんですが
他に御年玉、結婚式の御祝儀、葬儀の・・・等の臨時収入があります。
ホステスさんなんか釣銭を貰わないのが粋と思っていらっしゃるようです。
私の場合、弟が皆さんに御世話になったんでチップは
貯金して、定期的に日赤かユニセフに寄付させて頂いてます。
まぁ 善意の募金というより負債の返済です。

相手番(相番)
一台の営業車を二人で交互に使用する場合のパートナーを指します。
顔を合わせるのは交替の時だけですが、同じ車を使用しますので
安全面からも信頼出来る方でないと悲劇です。
車の故障箇所を申し送ったのに修理してなかったとか
掃除がズサンだとか、何時も遅れて入庫するとか
人それぞれ性格が違いますので難しいですね。
でも、一旦気持ちが通じますと親友になり、個人的に受けた仕事を
回してくれたりプライベートでタクシーが必要な時は呼んでくれますし
お互い、いい関係を築く事ができます。
父が☆になった時、葬儀に参列して下さった相手番もいました。

制服制帽
鉄道系列の会社は着用を定めている所が多いですね。
かって、JR名古屋駅長が
「制服制帽を着用してないタクシーは駅構内での営業は許可しない」
なんて暴言?を吐いた事があります。
鉄道関係者は制服に誇りを持ってるんでしょうね。

当たり屋
いるんですね(キッパリ)被害経験者ですから(笑)
この稼業に就いて数年のハリキリマンの頃です。
夕方、公団住宅でホステスさんに御乗車頂き駐車場から車道に出る
途中でした。歩道を横切るんで一時停止しました。
ホステスさんは変身の真っ最中です(笑)
買い物帰りらしい主婦達がゾロゾロ歩いており
と、そこへ初老の男性がフラフラと自転車で現れ私の車の前で転びました。
で、私は車から出て男性に
「大丈夫ですか」と一声かけました。
男性は大声で「見たか!見たか!」と大声を出したので
まわりの皆さんが振り返りました。
で、男性は何事もなかったように走り去りました。
「酔っぱらいなんだな」と格別、気にも留めませんでした。
ここで私は重大なミスを犯しました。
タクシーは一時停止中で男性が自ら転んで車に触れていないんですが
目撃者を確保しなかった事です。ホステスさんは化粧中でしたし・・
逆に男性は大声を出したので多数の目撃者をつくりましたし
一見したところタクシーが男性をはねた構図ですよね。
私は、ことの重大性に気づかず営業を続けてました。
数時間後、会社に電話攻勢が始まりました。
「お宅のタクシーに当て逃げされ、友人が大怪我をしたけれど
どうしてくれるんだ」と。
プロって凄いですね、瞬間に車のナンバー、胸につけてる私の名札を
読み取ってるんですね。しかも電話番がいて24時間体制で電話攻勢
です。業務に支障がでて、上司が私に
「○○君、業務に支障がでて無視できないし、訴えられたら勝てない。
先方が警察署で合いたいと言ってるので、一緒に行こう」と・・・
金が目的ですから交通課ではなく署の一角で合いました。
警察署を指定したのは「拒否したら訴えるぞ」って脅しです。
相手は体中に赤チンクと包帯です・・・
上司と相手が随分和やかに話し合ってます。
聞けば同郷で交渉は簡単に妥結しました。
上司は
「○○君、事故での処理なら会社として金を出しますが、今回は
私事として私費でお願いします」と一言。
事故として警察扱いになれば免許証にもキズがつきます。
くやしかったけれど10万円むしり取られました。
後で聞きましたが、この上司も、同僚達も経験があるそうです。
タクドラ経験が浅く詰めが甘かったんですね。