「Parker 180 "écorce"
 The word  is French for "bark"

 



「Parker 180
"Lacquer"



   
「パーカー 180」

    (1979年〜1985年)

 
 
 


 「
Parker 180」は1本の万年筆で、太さの違う書き方ができるペンである。発売当時は、ロットペン、ニードルペンなど、ペン先の変わった万年筆が色々売り出されていた。
 Parker社では、通常の向きではM−Nib、ペン先を裏返せばXF
−Nibとして使えるように開発したのである。多くの人が細字を書くときに、よくペン先を裏返して使 った経験があると思う。ペン先の裏表を使って書くことは、原理的には可能である。しかし、通常の万年筆のペン先は刻印のある側(通常上になっている側)の先端は、文字を書くように研 いていない。そのためペンを裏返して筆記すれば紙が引っかかりってしまう。だから、万年筆の両面を使ったことのある人にとっては取り立てて珍しい機能とは感じないであろう。だが、初めから両面を使える機能を持たせた商品として開発ことは珍しいと言える。
 

 
 

 

 

 
  「ペン先の表と裏」   「横から見たニブ」   「細身のコンバータ」  


 この「パーカー
180」と命名された 万年筆は、細身の三角形をしたペン先である。そのニブの表裏の両面を使って、太さを書き分けることができるようにしたのである。何とも革新的であり、珍しい特徴のある万年筆である。Parker社には、ニブの両面を使用するという発想の開発者がいたようである。この後に売り出された「Classic」というモデルでもニブの裏表を使い分けることができる万年筆であった。
 胴軸は細身で、「Parker 75」と、よく似ている。他社の製品にも細身のペン(モンブランのノブレスなど)が多く発売されていた時期でもある。胴軸の材質 は「Parker 75
」に見られたようにラッカー仕上げ、金張り、ステンレスなどのバリエーションがある。
 使用面で気になった点は、手の体温で軸が温まってくるとインクのぼた落ちがある。これは、カートリッジ内の空気が膨張しインクを押出すのである。(他社の細身で、金属製胴軸の万年筆でもよく似たことが起きている。)
 

 

「金張りのインシグニア」

  「ステンレスのFlighter」  

「Lacquer仕上げ」

 
上から「écorce」「Lacquer」「Insignia」「Flighter」 上から「écorce」「Insignia」「Flighter」「Lacquer」 écorceのデッドストック」


 この万年筆のサイズは、キャップをグリップエンドに装着時で、長さは127mm、
重さは17gで しかも細いことから、女性に人気が高まった。そんなことから金張りのものや、宝石まで取り付けられた豪華なものが販売された。
 

écorceのデッドストック Insignia 「宝石の付いたParker180」
  追  加  「Parker 180 Lapis blue 」   (2009-6-30)
     
「草創期からの色合い」 「ラッカー仕上げ」 「上品な仕上がり」
     


 「Parker 180」を紹介して3年が過ぎた今年(2009年)の6月、新たな1本を入手した。かつてカメラにのめり込んでいた頃に世話になったNakayaさんから譲っていただいた。
 今回紹介する「Lapis Blue 」は、Parker社が1930年代から導入していた仕上げである。1930年代の万年筆はカラー塩ビ仕上げである。この「Parker 180」は、素材の真鍮にラッカーで仕上げてある。上品な仕上がりであり、こらまでに紹介したラーカー仕様よりも上品な感じである。