Parker French Custom

(1967〜1970年販売)

 
       
       
「斬新な形のGift-Box」 「洗練されたデザイン」 「一見、Parker45??」

 1960年から「Parker 45」が3,600円程度で、主に学生をターゲットにして販売されていた。この万年筆はどちらかといえばフーテッドニブ(Hooded Nib)で、日本語を筆記するにはメリハリのない文字となってしまう。その点で、今回紹介する「French Custom」は完璧なオープンニブであり、漢字交じりの筆記には最適である。
 この万年筆はParkerのフランス工場で製造されたことから、この名が付けられた。この万年筆のデザインは、新しさを感じさせない オーソドックスなスタイルである。一見すると、英国(UK)で製造されていた
(Aerometric - UK)に似ている。Gift-Boxやケースには、 これまでにない斬新なデザインが施されている。
 
「麻布張りのケース」 「Parker名のprint」 「Open Nibを採用」

 この万年筆のNibには14Kが用いられており、当時の値段は、日本サンフォード調べで)4,300円であったという。値段からすれば結構お値打ちな商品であったと言えよう。
 天冠は「Parker 45」と類似していて、バレル(胴軸)のテールエンドは価格を押さえるために、リングや天冠もない仕上げである。クリップは、「Parker 45」の矢羽根デザインとは異なり、「Aerometric - UK」の物に近いものである。
 
「オーソドックスな14KNib」 「テールエンドとtassie」 「矢羽根クリップ」

 インクフィラーは「Aerometric - UK」と同じ形の物が導入されており、カートリッジの共用できない固定エアロマッチック方式である。これも低価格での販売を目途とした製品だからであろう。それともエアロマチックフィラーの堅牢さや耐久性を第一にして選んだのであろうとも考えられる
 
「エアロフィラーの採用」 「金メッキのキャップ」 「上 French Custom 」
「下 Parker17Duofold」

 書き味は腰のあるNibで、日本語の書字には最適な感じである。ペン先の滑りもたいへん滑らかである。万年筆の太さや、長さ、重さは、書き手の手の大きさによって書き味を微妙に左右する原因となる。この万年筆の大きさは、普通の日本人の手の大きさには馴染みやすいサイズと言えよう。同軸の直径は10mmとやや細めで、キャップを閉じた状態で120mm、キャップをテールエンドに取り付けたとき135mmとなる。
 

 追 加 (09’3−25)

「高級な感じのCustom」 「12KGFのフィニッシュ」 Milleraies調の仕上がり」

 「Parker French Custom 」は、1967年から2年間しか製造販売されなかった万年筆である。このため、稀少性も高く、市場に出てくるのは大変に珍しい。今回、紹介する万年筆は、神戸の骨董店で見つけたものである。上の写真のように奇麗な状態であ った。ほとんど使われた形跡は見あたらないものであった。下の右端の写真にあるインクフィラーもインクによる汚れが無いことからもデッドストック品と推察できる。
 最初に紹介した「Parker French Custom 」は、キャップだけが12KGFであったが、今回の万年筆は、バレルも12KGF製である。
 
「バレルがツートーン」 「tassiesとバレルエンド」 「エアロマチック」

 しかし、直ぐ上の写真からバレルの様子を見ると分かるように、プラスチックと金属のツートーンになっている。キャップを閉じた状態では、このプラスチックの部分は見えない。そのために、「Parker 75 Imperial」万年筆のようである。しかし、この
「 French Custom 」のラインデザインは、「Parker 75 Imperial」のものと違っている。ラインがキャップとバレルの周りに隙間無く入っているのである。Parker社がフランスで製造を始めてから新しいデザイン の開発をして、万年筆にどんどん取り入れたと伺うことがでる。この万年筆もそうしたことから生まれてきた新しいデザインであろう。そして、このデザインは、この後1984年に販売された「Parkr 75 Milleraies」に引き継がれたものと思われる。