Parker 45 Lady

1967年2種類販売された

(Made in U.S.A)

 

 
「Parker 45 Lady Gold」 「Parker 45 Lady Silver」 「Gold & Silver」


 

 


 1960年から販売された「Parker 45」の女性用の高級万年筆が1967年に販売された。この万年筆の生い立ちからまとめてみた。

 1940年代には「Duofold」に代わって「V
acumatic」が製造されてきた。その後継機種として計画されるとともに、世界中へ販売地域を拡大することが検討されたのが「Parker 51」である。1950年代になるとこの「Parker 51」の販売戦略は功を奏して驚異的な成果をみたのである。ハイクラスラインの「Duofold」UKシリーズ(「Duofold」の黒いカラスの時代と言われた?)とミドルクラスラインの「Parker 51」で、低価格ラインとして(「Parker 51 Demi」、「Parker 21」、「Parker 17」など)Parkerの3つの生産ラインを目標とした。しかし、低価格ラインの市場での定着が悪く、いわゆるスクールペンの開発を急ぐ必要が生じていた。
 

「左 Silverのバレルエンド」
「右 Goldのバレルエンド 」
「左 Silverのtassies」
「右 Goldのtassies 」
「上 Parker 45」
「中 45 Lady   」
「下 Parker 61」


 好都合なことに、1957年Eversharp社を買収した折りに、Eversharp社で開発していた低価格帯の「Eversharp  Challenger」を改良して1960年に「Parker 45」が誕生したのである。1966年には、カナダ工場で製造された「Parker 19」もテスト的に販売となった。
 この「Parker 45」の命名の由来は、インクフィラーがカートリッジやコンバータを導入した。その当時の1950年代頃のアメリカではテレビによる西部劇映画の全盛期で、コルト45の弾の装填に共通しているカートリッジ方式になぞらえたのである。また、軸尾を細くしたボディの形が弾の似ているからだという説もある。

 「Parker 45」のコンセプトは、以下の4項目である。

 @ 乱暴な扱いにも耐えられるバレル(ペン軸)素材の導入。
 A インクの乾きをカバーするセミフーテッドNibの導入。
 B 購入者がペン先を安く(2ドル程度)しかも簡単に交換ができる方式の採用。
 C カートリッジとインクが簡単に詰め替えられるコンバータの併用方式を導入。
 この難問を乗り越えて開発を進め、軽量化、若々しい色の導入、低価格での販売に漕ぎ着けたのである。この裏には、Eversharp社の開発があったからできた企画であったと言える。
 

「別売の取換え用Nib」 「初期モデル」 「プラスチックのキャップ」


 1960年の発売当初に販売された「Parker 45」には、ステンレスのキャップに、ブラック 、
ブルゴーニュ (Burgundy)、灰色、ライトブルー ( Light Blue 、ダークブルー( Dark Blue)、 緑色 (Green)をしたセクションとバレルのものであった。この新しいパーカー45は発売早々から大ヒットし、1960年代の中学校や高等学校の入学祝いに引っ張りだこであったことは記憶に新しい。
 カートリッジによる.充填システムが特に受け入れらた。この方式は、ほとんどの万年筆企業にも すぐに採用されていったのである。Parker社においても、Parker 61(後期タイプ) 、Parker 75 ( 1964-1994 )やその他多くの後続(現行モデルを含む)モデルで採用されている。

 さらにParker社では、1964年にプラスチック製のキャップを導入したのである。キャップの金属仕様が高価であったことにより、生産コストは安く押さえられることになった。これとは逆に、高価な全金属製のものにも人気が集まり、すべてのステンレス製のflighterはベストセラー商品となった。
 

「フライター」 「右 Parker 45 Lady」
「左 45  Harlequin  」
「奥 45 Harlequin  」
「手前  45 Lady  」


 1964年、新たに加えられたプラスチック製キャップの「Parker 45」の色には、
Black(ブラック)、 Burgundy(ブルゴーニュ)、 Grey(灰色)、 Light Blue(ライトブルー)、 Dark Blue(ダークブルー)、 Green(緑色)などであった。翌年の1965にはキャップに金メッキされたもので、 バレルの色はブラック、ブルゴーニュ、グレー、ライトブルー、ダークブルー、グリーンなどのものが販売されている。
 1967年には金メッキされたトリムの「Parker 45 Deluxe」が発売となっている。景気のよい時代を反映し魅力的な多種多様な色彩と豪華さを醸し出している。ステンレスi製のキャップで、クロームトリムと14金やオクタニウムのNibが取り入れられている。バレルの色にはイエロー、オレンジ、ピンク、アクア、オリーブなど10色以上が用意された。また、このラインアップの中に.Metal仕様で羽毛仕上げのステンレスのFlighterも販売された。
 この時に、金のPlateと銀メッキのModelで、クリップレス珍しいのが作られた。これが今回紹介する「Parker 45 Lady」と言 われる万年筆である。
 Goldタイプのtassie は格調高い造りでm材質は木製である。Silverの方はプラスチック製のtassieとなっている。
 

Parker 45 Lady 「インク格納のGift Box」 Parker 45 Lady


 さらに、1970年には英国で製造された「Harlequin(Gray Shield)」がある。この「Harlequin」はイギリス工場で製造されたものである。しかし、多分に「Parker 45 Lady」の製作技術が引き継がれたものであると思われる。この「Harlequin」は金属の表面に刻まれた模様を角度を変えて観ると、赤、青、緑色などが浮かび上がってくる。しかし、この 製造過程と加工は非常に複雑であるためにすぐに廃止となった。そのため、「Harlequin」は数も少なく「Parker 45」のコレクターの注目の的となっている。

 1980年には、アルミニウムにラッカー仕上げの導入が試みられた。「Parker 45」のBluecoatである。金属素材へのラッカー仕上げの技法は、この後耐久性、デザイン性などの改良が施されたのである。そして、これ以後に販売された多くの筆記具 の製造に生かされていったのである。
 

             

  「ラッカー仕上げのParker 45」