『おそい・はやい・ひくい・たかい』No.13
編集後記
- 今回の特集でちょっと嬉しかったのは、金子勝さんにインタビューできたことだ。金子さんは、あんまり教育には詳しくないからと言いつつも、随分と鋭い意見が聞けた。
月に一度くらい朝六時四〇分くらいからNHKラジオで金子さんの政治経済状況についての話を聞くのがボクの楽しみだ。毎週火曜日のその時間には、これもボクの好きな経済評論家の内橋克人さんの話もある。
朝食を食べながら、食器を洗いながら、家族で朝はNHKラジオである。ボクは昔からラジオが好きだった。日曜演芸場なんてのは、小さい頃から聞いていた。幼稚園のお遊戯会の出し物で、ラジオで聞いた『ときそば』をやった。これも、ラジオで落語を聴いたせいだ。今考えると、幼稚園の年長児に落語が分かったのかあな?と思うが……。
- ボクのおばあちゃんは、名古屋の港で船員相手のお菓子やさんをやっていた。ボクに歌を歌わせて、お客から「お小遣い」をもらわせ、それも自分の稼ぎにしていたくらいの「がめつい」人だった。 また停泊中の船から石炭やコークスをちょっと持ってこさせたり、バス旅行でみんなからもらったおやつを、ボクにちゃんと持ち帰らせて、おばあちゃんのおやつにしたりした。
でも、ボクはおばあちゃんが本当に大好きだった。
お出かけの時は、かならず幼稚園のスモックを持参して、乗り物に乗る時にはそれを小学一年生のボクに着せて、運転手に「まだ、幼稚園だから……」と言いながら運賃を払わなかった。
で、そういうことがまったく「不正」なことだとは思わないでボクは育った。それくらいのことは庶民の知恵であり、「常識」だと思っていた。今でも、ものを買うと「ちょっとまけてよ」と値切るのは、おばあちゃんから技術の継承だ。
- 最近、子どもが登下校時にいたずらするという苦情が学校へくる。しかし、学校にいいにくるようなことなのかな。自分で言えよな!と思う。そりゃー、学校でも「指導」はするが、子どもたちは、大人を値踏みしているんだから、きちんとその場で叱ればいいんだ。
世の中みんな小さなリスクを避けて、大きなリスクを背負ってしまっているような気がする。
(岡崎 勝)