『おそい・はやい・ひくい・たかい』No.14
特集
だれのため? 「卒業式」
知ってる人に
“おめでとう”と
いってほしい
(小四男子)
練習のしすぎで
当日はなんの
感動もなかった
(小六女子)
晴れ舞台ですか?
「卒業式って、子どもたちのための、最後の授業っていうんだそうですが、ほんとうですか?」と新任の先生が聞くと、「いちおうタテマエはそうなっているけどね……、ちょっとちがうかな。ウフフフ」とベテランの怪しい笑い。
職員会議では、校長が「卒業式は学校ではいちばん大切な儀式的な行事です。ぜひとも遺漏(いろう)のないよう、先生方、厳粛でありながら、子どもたちの思い出に残るものとなるように頑張ってください。」といつになく緊張していう。「卒業式は学校長としての晴れ舞台なんですよ」と教頭。
卒業式の係の先生たちも「別れの言葉ってさ、去年のやつをちょっとなおしておけばいいよね? でも、『天気に恵まれてみんなで楽しんだ野外活動』はまずいよな、今年は雨降っちゃったし……。」とにかく、去年の式次第やプログラムを「踏襲して」はじめる練習。
「こら! 礼をするときは、約45度くらいにお辞儀をして、一斉にすーっと顔をあげるんだよ。そして、来賓の方が座ったら、いち、に、さんと間をおいて、一斉に座る」くり返すうちに、「ザッ」という音がでるようになる。「おお、やればできるじゃないかあ」と教員にいわれ、だんだんマスゲーム感覚になってくる。
いったい、なんのため、だれのための卒業式なんだ!の怒りとため息の特集。●
(編集部)
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