きょういく大研究(1999.4.23)

きょういく大研究54号 99年の憂鬱は百年の孤独を迎えるか?

校長へのエールと要求、親の理屈を、時代で聞き、理解する。

  1.  なりゆき専科と担任希望票の関係は?

    年度末の「次年度担任希望票」に、高学年か、又は専科でもいいよと書いたら、ビンゴであった。三月下旬に前校長に校長室へ呼ばれて、専科をやってもらえないか?と言われた。むろんボクは拒否しなかった。ただし、一年契約であることを約束した。昨年の職員会で、ボクは「新しく学校へ転勤してきた人に、専科やTTを押しつけるのは(むろん「強く拒否できない御願い」をしているのだろうが)やはり、おかしい!誰かがやるべきなのに希望がいないなら、順番にでも交代でやるべきだ」と発言した。聞くところによると、専科やTTは希望が多く、担任をやりたい人が少ないという学校が増えているらしい。しかし、本校は、高学年の希望は少なく、中低学年の希望が集中したらしい。

     ボクは、専科をやることになったが、それはそれでいい。ボク個人に全く異議はない。だが、年度末の希望調査とはいったい何だろう?何のためにやるのか?全く希望していないのに、その学年にいった人も結構いる。また、希望しているのにその学年にいかない。一体、希望を書くことにどれだけ効果を『期待』すればいいのか?、それとも「どうだっていいや!」とか、「提出してもしかたがない」と思って書くべきなのか?、校長はどういうつもりか?そのあたりを来年はきちんと話してもらいたい。そして、最低の仁義として、まったく希望通りにならない場合は発表以前に「一言」あってもいいのではないか?(むろん一言あればそれでいいと言うものでもないだろうが)今回のように全く希望のなかった学年ができたときは、事情をきちんと話せば頑なに嫌という人はいないのではないか…甘いかな?

  2.  校長の「適切」なリーダーシップを期待する!

     つまり学校の運営は校長の力量にかなりかかってる。ボクのようなワガママ教員のお守りも重要だが?、それ以上に「意志の強さと、状況の的確な把握」が必要になる。

     今回の中央教育審議会の答申は、校長のリーダーシップについて述べている。むろんこの中教審答申に前面賛成するわけでは決してないが、それなりに納得のいく所もある。是々非々。

     答申では 1.校長の在職期間が短い。教職員の意欲と取組を引き出すリーダーシップが欠けている。2.横並び志向が強い。学校が没個性的になっている。3.学校内での意思形成過程と職務執行過程が不透明で責任の所在が明らかでない。4.学校が外部に対してとかく閉鎖的であり、家庭や地域との連携が十分でない。と現状指摘している。

     ところが、東京都等ではこの指摘を受けてやった事は、教員管理の強化であった。ったく!何を血迷っているのか?教員を管理して、学校が活性化するのか?このちぐはぐは見事である。

     実際に、ボクの所属するASCUが、校長と「お話し合い」をしに行くと、あまりの無知さに唖然とする事が多い。「校長になってからも、まんだ苦労するのか?」と思わずつぶやいた校長もいた。つまり校長職はゴールで、面倒なことは教頭に任せればいいくらいにしか思っていないのだ。だから、組合交渉などで直接当局としてボクらの前に立つと、どうしても、しどろもどろになる。東浦町の某中学校の校長は、電話でさえ逃げ回っている。校長の頑張りに期待したい。

  3.  親とはきちんと向き合うしかない!

     昔から学校は難しかった。しかし、昔は親が我慢していただけで、今は言いたい事をそれなりに言ってくる。だから、「言うな」というのでなく、どう言い返すか?うまく説明するのか?あるいは協力願うのか?という対応能力をボクらはつけていかなくてはならない。昔のように教員が大して勉強もしていないのに偉そうにしていた時代は、もう終わったのだ。親の「非常識」をぶつくさ言うてもしょうがない。きちっと親と向き合うしかない。

(事例1) 健康診断を受けたくないと言われた場合

 二、三日前に「女性の高校生が、校内の健康診断を受けたくないというが、拒否できるか?」との相談を受けた。

 学校保健法は、第六条で「学校においては、…児童生徒…の健康診断をおこなわなければならない。」と学校の任務として健康診断の実施を義務づけている。しかし、これは、当該者である子どもの義務ではない。だから、保護者や本人が受診したくないというなら、それは無理やり健康診断を受けさせる事はできない。そもそも健康診断は、学校教育において、児童生徒の健康の保持増進に寄与するために実施するのである。無理矢理やっていいはずがない。

 したがって、学校の義務であっても、子どもの義務ではない。だから、できるのは、健康診断の意義を本人や保護者に説明することくらいである。もちろん、「診断を受けないと退学!」などと脅す事はできない。もし、伝染性の病気の疑いがあるならば、親に責任をとってもらうしかない。しかし、親に「どうして身長や体重を学校で計る必要があるのですか?」と聞かれたら、きちんとそれに応えることは難しい。ここにも、日常的学校で「当たり前」であったことも、実は「当たり前」でなかったという学校の矛盾がある。

 とりわけ、測定はプライバシーに深く関わり、健康診断の結果は個人情報である。親が「やらせたくない」といったら、ある程度の説得は必要だろうが、無理矢理に、脅してやらせることはできない。ボクは、学校で健康診断などをやること自体が時代遅れだと思っている。保護者に、学校が考える「受けないことによるリスク」を明らかにして、それが原因で何か起きたら親に責任を取ってもらうように確認するしかない。親の言うなりになるのではなく、親の主張をハッキリさせた上で、責任の所在を明らかにしていくしかないのだ。何でも抱え込むのは×だ。自由の行使は自律と自立が伴うのだとうことだ。理に合わないゴネ得はいかん!

(1999−4−23職場で発行)


きょういく大研究     ホームページへ戻る