きょういく大研究(2004.12.15)

「わし教員だわ」33回 (月刊「家族」誌2005年1月号用)

現代の教育改革の傾向と対策(2)

 今回の教育改革を親の立場で見てみると、また、どえりゃーおかしなことがある。
 まあ、親の立場っていっても、親も色々だでね……、でもまあ聞いてちょうだい。
 親が学校づくりに関わることができるっていうけど、そう簡単に、かかわれるもんじゃないでね。
 だって、まず、時間があるきゃー? 働いとる、忙しい親や、子どもや年寄りの世話で忙しい親もおるのに、学校なんか来て、あーたらこーたら会議や相談できるきゃあ?
 そういう時間のある人は、まあ、金持ちだわな。それか、めっちゃくちゃヒマなおじさんやおばさんだわ。
 日本の勤勉な労働者は、学校を信頼、あるいはあきらめて(笑)、子どもを任せておくのが常道だったわな。
 そこへ、地域住民、保護者の学校運営参加っちゅうなら、会社が「学校参加」の特別休暇を作るとか、小さい子の世話で忙しい親には、ベビーシッターを公的に保証するとかよ、せないかんわ。
 だいたい、今でもやっとる学校評議員制度っていったって、みんなヒマそうなおっさんやおばさんか、名前だけの人が多いがね。
 本当は、生活が大変で、学校に子どもをしっかり任せたいっちゅうひとが参加せないかんわ。
 子どもをお受験でなんとか進学させ、公立を脱出しようとしとる金持ちの親なんかに、学校評議員してもらってもしょうがないでしょ。
 もう一つは、親が子どもにどうなって欲しいかということをきちんと考えんといかんわさ。
 だいたい、自分の子にどうなってほしいのか? で、その「理想」に対し、学校制度でどこまでやれるのか? そういうことをしっかり考えてから、モノを言わないかん。
 最近の学校は勉強をしないとか、基礎学力が低下しとるとかいっとる。ほんなら、家でも勉強させればええがね。でも、子どもに嫌われたくないで、「ゲームやめなさい」って言えんだわ。もっと学校で勉強やってもらわないといかん!とか言っとる。
 二学期制や二期制にして、夏休みが減っても知らん顔して「いいんじゃない」と言う親はどうなっとるんだろう。
 自分が子どもの時は夏休みや冬休みが早く来て欲しかったのとちゃうの? 「子どもの立場で考えてください」なんて人に言う前に、自分で考えてもらわないかんわ。
 自分の子どもが、しんどく、つらくなるのに、平気で「勉強する時間が増えていい」なんていうのはどうかしとるぞ。
 そんなことまで言うなら、夏休みもずーっと勉強させたらええがや。わしは、ごめんこうむるけどよ。
 子どもの休みまで奪って平気な大人っていったいなんだぁー?
 今回の教育改革は、もうちょっと子どもの立場で考えていけば、ばかばかしい、大人の論理でしかないし、しかも、めっちゃ貧困な想像力しかないこともわかる。
 「読解力が低下」だとぉー? たわけだわ。ハリーポッターやダレンシャンは売れとるがや。電車の中でみんな本を読んでおるぞ。学校の図書館の本が足らないーと子どもたちは怒っとる。
 わけわからんテストなんかで、読解力が低下しとる?だって。他の国がアップしただけかもしれんがや。国語がちがってもテストできるんか?知らんかったなあ。
 まあ、とにかく、子どもをいじめるのはやめよまい。子どもに、もっと時間と空間を保証したろまい。お金はかけんで、手間かけよまい。
 低学力克服だとか能書き垂れて、毎日子どもに勉強を強いるなんて、親のやることじゃないだろ。
 相手の気持ちになって考えること、思いやりが大事だというけど、今度の教育改革はそれとは、全く無縁の改悪だ。
 親の世欲と文科省、教育委員会と校長が結託して子どもをいじめるのが、この教育改革の本質だわ。
 親や教員に、うるさくいわれながらも、適度にそれを無視していける子に育っていってほしいとわしは願っとる。
(2004-12-15)


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