ラインが飛ぶメカニズム

フライキャスティングを練習する前に、ラインが何故飛ぶのか?ということを理解しておく必要があると始めに書きました。 むやみに、やれ脇をしめろだとか、やれ手首は開くなと言った方法を説明されても、それが何を意味しているのか理解できないのではないでしょうか。

まずは、フライラインの先に結ばれたほとんど重量が無い毛ばりを飛ばすには、ルアーフィッシングなどの他の釣りとは考え方を変えなければなりません。 たとえばルアーフィッシングではラインにルアーが結ばれており、そのルアーの重量とロッドの反発を使って飛ばすのですからライン自体にはほとんど重量がありません。 それにひきかえフライフィッシングは毛ばりにはほとんどと言ってよいほど重さがないために、フライライン自体に重量をもたせてあります。 この違いを理解してください。つまり、ルアーフィッシングのキャスティングとはまったく違う理屈でラインを飛ばすのです。

余談ですが、このフライラインの先端の30フィート(9.14m)の重さでライン番手(4番とか6番といわれるAFTMA規格)が決められています。

もう一つは、今までフライラインを飛ばすと説明していましたが、実際にはフライラインを飛ばすわけではありません。 上級フライマンがフライラインの全て(フルライン)をキャスティングしているのを見たことがあると思います。 いくらフライラインに重量があるといえ、普通の理屈では全てのフライラインを投げきれるわけがありません。 ある程度の距離を超える場合は、シューティングというテクニックが必要となってきますが、今回の説明ではキャスティングとシューティングは別にします(実際違います)。

たとえば、10m先に毛ばりをキャスティングする場合には、フライラインをリールから10m出しておいてからキャスティングすることになります。

以下に、フライラインが飛ぶところを図解します。 ロッドを前後に振ることによって加速されたフライラインが、進行方向へと移動してきたフライラインの根元、つまりロッドティップをロッドの停止とともに固定します。 ロッドティップを停止させてもフライライン自体が加速されているため徐々にU字を描きながらロール(これをループと言う)し、最後には真っ直ぐになります。 このことは、前(フォワードキャスト)へも後ろ(バックキャスト)へも基本的な理屈は同じです。 ロッドを前後へ振る動作を分解してみると、(1)ラインの進行方向を定める、(2)ラインを加速する、(3)ロッドティップを固定する、ことと理解してください。

従って、ロッドを力いっぱい大きく振ったとしてもフライキャスティングには何の意味もないことがわかります。

バックキャスト

フォワードキャスト

以上のことから、フライロッドのティップは前後に直線的に振って、ぶれなく確実に固定(停止)することがメインテーマです。 ループが乱れていることはそのままロッドティップがぶれていることの証となります。

もうひとつは説明したキャスティングが簡単にできるフライロッドを入手することが大事でしょう。 ロッドティップがへろへろだったりやわらかすぎるロッドでは練習のさまたげになると私は思います。 ロッドティップの質量が少なくシャキッとして、魚がかかったときはきれいに曲がり、キャスティングのような力が加わるときはあまり曲がらないロッドってないですかね。

作成日:2002/12/18 更新日:2007/07/22

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