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第四章 少年は少女のため立ち向かう

 その日、朝のSTでルーレシア先生に呼ばれた翔は、一限目が始まる前に廊下でルーレシア先生と話していた。
 今日は、以前行われた武術大会の優勝クラスに勲章を与えるために聖バートリアム王国の国王自らアカデミーを訪れ、クラスの代表に直接勲章を手渡す儀式が行われることになっていた。そのため、翔を除く一般生徒達は浮き足立っていた。
「申し訳ないけど、カケル君の存在は学園だけの秘密だから、式には参加しないで教室待機していてもらいたいの」
 それがルーレシア先生の話だった。確かに、国王が来ると言うことはその側近やら護衛やら、お偉いさん達がわんさか来るのだろう。黒髪の人間がゼロだというこの世界において翔は特異で、もし存在が知られればモルモットのハムスター同然だという話なので、翔は反論なく了解した。
(……フリルの奴、妙に緊張してるな……)
 ルーレシア先生の話を受け入れた後、教室に戻ってフリルの様子を窺うと、普段の毅然として堂々とした空気が感じられず、何処か縮こまって弱々しい感じがした。ギュッと拳を握りしめて膝の上に置き、目は何もない卓上をジッと見つめている。
「なあ、あいつどうしたんだ? 朝食の時からああだったんだが」
 翔はボソリとヴァイルに尋ねた。ヴァイルも多少緊張しているように見えたが、フリルほどではない。
「今日は国王様がいらっしゃるからね。僕だってすごく緊張してるんだよ。……でも、フリルの場合、国王様イコール叔父さんだからね。それに、王族であるご両親もいらっしゃるかもしれないし」
「ああ、そういうことか。……ホント、あいつは親に弱いな」
「親が親だからね。僕だって、もし自分の親がすごく偉い人だったら気後れしちゃうよ」
 そういうもんかと翔は半分納得し、フリルの横顔を見やる。その横顔を見つめていると、ルーレシア先生が再び教室へ姿を現し、生徒達に儀式が行われる集会所へ移動するよう呼びかけた。
「じゃあ行ってくるね」
「おう。俺はゆっくり寝てるさ」
 ヴァイルが教室を出て行き、廊下でグラッティと合流して翔の視界から消えた。
「……いいわね、あんたは」
「まあな。親の前で攻撃魔法ぶっぱなすなよ」
「う、うるさい! あんたに言われなくともわかってるわよ! そ、それに、お父様達が来るかどうかなんてまだわからないんだから!」
「なんだ、何も連絡ねーのに怯えてんのかよ」
「うるさい!」
 いつになく弱気のフリルが、重そうな足取りで教室を出て行く。いっぺん親の前で本性曝しといた方が、後々楽になると思うんだがな。
(さて、じゃあ寝るとするか……)
 誰もいなくなった教室。翔は机に突っ伏し、瞳を閉じた。
 徐々に意識が遠のいていき、数分後、教室には翔の寝息だけが響いていた。

* * *

 アカデミーの片隅にある集会所。そこに全校生徒約二百名と、教職員十五名が集まっていた。そして、集会の壇上には聖バートリアム王国の現国王、ゴルド十一世が、臣下と護衛を連れて立っていた。
 国王らしい華やかな衣装に身に纏い、金色の王冠が眩く光っている。国王は赤いマントを翻して演説台に昇り、グルッと生徒達を見渡した。
「王立高位魔導師養成アカデミーの生徒達よ。日々、厳しい鍛錬や高度な学術教養習得のため、精を出している貴君らは、聖バートリアム王国の未来を担う若人達だ。これからも勉学に勤しみ、いずれは国の重要な役職についてこの国を支えていってもらいたい」
 国王が挨拶をし、続いて司会を務める教員が、
「では、先に行われた実技演習で優勝したクラスの代表は前に出なさい」
 と指示を出した。三学年の各代表一名ずつがゆっくりと壇上へ歩み寄り、国王の前に横一列に並んだ。
『そろそろだ』
 そんな様子を、集会所の屋根裏から窺っている二つの影。手には緑色に輝くキューブが握られ、キューブからは低い男の声が響いていた。
「準備はできています。部下達も、すでに集会所を包囲しています」
『よし』
 眼下では、国王が一年の代表に勲章を手渡し、次に二年の代表に勲章を渡すところだった。長い金髪が艶やかな、とても顔立ちの整った少女に。
『今だ』
「――はあああっ!」
 国王が少女に勲章を手渡そうとした瞬間、突如集会所の天井が割れて二人の女が舞い降りてきた。間髪入れず、集会所にあるすべての扉から武装した兵士が一斉に流れ込み、集会所は騒然となる。
「な、なんだっ! おい、なんだ貴様らはっ!」
「……邪魔者は殺す」
「ぐああああっ!」
 舞い降りた女の一人が、乱暴に紫色のロングヘアーを振り回しながら体術で護衛の兵士を吹き飛ばす。さらに追い打ちで魔法を放ち、凄まじい雷撃が兵士の身を一瞬にして灰と化した。
「みな動くな! 動いた者には死があると思え!」
 抹茶色の髪をした女が、声を張り上げる。しかしだからといって黙っているわけもなく、国王の護衛を務めている兵士達が次々とその女目掛けて迫っていった。
「ふざけるなぁっ!」
「そんなに死にたいか。……なら、死ね」
 女は自身の体に強化魔法を施し、腰から二本の短刀を抜く。そして目にも止まらぬ早さで壇上を駆け回り、その軌跡に屍が累々と積み上がる。
 生徒達、教師達は武装した兵士達に取り囲まれている。相手は三十人程度だが、その立ち振る舞いからしてかなり戦い慣れていることが伺えた。教師達が生徒達に大人しく従うよう指示を出し、生徒達は反抗することなく推移を見つめていた。
 泣いたりわめいたりする者がいれば容赦なく殴られ、生徒達の何名かは集会所の床に横たわっている。国王の護衛を務める兵士と女達が戦い続け、集会所には轟音が鳴り続いていた。

* * *

「……んん?」
 耳障りな爆発音が聞こえ、翔は目を覚ました。瞼を擦り、ハッキリしない意識で周囲を確認するが、特に変わったところはない。誰もいない教室で、翔が一人寝ているという点を除けば。
 夢でも見ていたのかと、大あくびしながら考えていると、再び轟音が風に乗って運ばれてきた。今度は聞き違いでも夢でもなく、それは窓の外から響いてきた。
(何だ……?)
 のそりと立ち上がり、翔は窓の外を凝視する。そして耳を澄ませると、繰り返し轟音が耳に飛び込んできた。
 眉を細め、ジッと東を見つめると、うっすらと黒い煙が上っている様子が見えた。あそこは確か、勲章の授与が行われている集会所のはずだ。
「……まさかフリルが魔法ぶっぱなしたんじゃねーだろーな」
 ボリボリと頭を掻きながら、翔は欠伸をかみ殺して目に浮かんだ涙を拭う。丁度その時、今度は凄まじい閃光が走り、続いて爆音が翔の耳に届いた。
(……いくら何でもおかしいぞ?)
 ようやく何かおかしいと感じ始めた翔は、しばらく悩んだ挙げ句、教室を飛び出して集会所へ駆け出した。
 いくらフリルが暴れているにしてはおかしい。というより、親を恐れるあいつが人前で暴れ狂うこと自体おかしいはずだ。なら、あの爆発音や閃光は何なのだろうか。
(どうも嫌な予感がするな……)
 広い学園の敷地内を集会所へ走りながら、そう考えていると、ふと翔の視界に見慣れぬ武装集団が映った。自分がこの世界にとって異質だと自覚している翔は、とっさに近くに立っていた木の陰に隠れて、そっと様子を窺った。
 石造りの立派な外装。壁には蔓が這い上がり、さながら古城のような趣を感じさせる集会所の前には、学園敷地内に屋敷を構える生徒達の使用人らしき人間が多数集まっており、彼らは武装した集団によって一箇所に集められて軟禁されていた。国王の護衛のため訪れた軍人であるなら、そのようなことをするはずがない。明らかにおかしい。
(……っ!? エリカさんにユリカちゃんも居る)
 拘束されている人達の中に二人を見つけ、様子を窺うと、半泣き状態のユリカちゃんをエリカさんがなだめていた。他にも、恐怖に顔を歪ませている人が随所に見られる。
(何だ、一体何が起こってるんだ?)
 翔は武装した連中に見つからないよう、そっと木の陰を縫いながら近寄っていった。ある程度近づいたところで、茂みに身を潜め、耳を澄ませて相手の会話を盗み聞きする。
「ふん、思ったよりあっけなかったな。魔導師の卵がウジャウジャいやがるから、もっと苦労するかと思っていたが……」
「たとえ強大な魔力を持っていたとしても、所詮はただのガキだ。戦い慣れていない奴らに、反抗する力などないさ」
「国王からの連絡が途絶えたとわかれば、直に王都から援軍が来るだろう。それまでにさっさと引き上げないとな」
「ああ。ルナティス様とセフィリア様が国王を捕らえ、例の物を手に入れれば任務は終了だ。もうしばらく、誰も集会所に近づけさせるな」
 会話を聞く限り、奴らは学園の外から来た連中で、今学園を訪れている国王を狙っているらしい。集会所の中がどうなっているかわからないが、楽観視できるような状況ではなさそうだ。
(しかし、どうする? 俺は魔法なんざ使えねぇし……)
 背中に嫌な汗をかきながら、翔は歯がみした。奴らの正体はわからないが、十中八九敵である。集会所の中ではフリル達も拘束されているかもしれない。しかし、この世界において戦う術を持たない翔に今の状況を打開できるはずがない。
 無力。魔法とかいう意味不明な力がない翔は無力だ。
(……けど……)
 一瞬、フリルの恐怖に歪んだ顔が浮かんだ。こんな時にあいつの泣き顔が浮かぶなんて、どうかしてるな。
 無意識に拳に力を込め、翔はキッと集会所の周囲をウロウロする武装した集団を睨む。どいつもこいつもムカツクいけ好かない面をしていた。
 翔は必死に集会所の建物を眺め回した。気付いたら、何処か侵入できそうなところは無いだろうか、何処か突破できそうなところは無いだろうかと思案していた。
(あった!)
 翔の目に映ったもの、それは太陽光を建物の中へ送る天窓。視力のいい翔なら、この位置からでもそれが外から開閉可能だというのが見えた。
 都合良く武装集団は正面口しか集っていない。天窓は建物の至る天井にあるため、進入路は選べる。問題は高さだが、すぐ脇の大きな木から飛び乗ればきっとなんとかなるだろう。
(俺は――)
 無力な翔に何が出来るかわからない。でも、それでも、翔は動かずにはいられなかった。
 何故こんな愚行に走ろうと思うのだろうか。答えは考えるまでもないが、それは口に出すものでもない。
 大地を蹴る。静かに、しかし迅速に。翔は武装集団の目を盗んで移動し、葉を青々と茂らせる木を這い上がり、一瞬にして地上数メートルまで登る。幼少時、木登りを飽きるほどしておいてよかったと心底思う。
 しなる枝に若干の恐怖を感じながら、翔は枝を蹴って集会所の屋根に飛び乗った。勾配のきつさに足を取られそうなところを必死に堪え、天窓へ這うように近寄る。そっと天窓を開け、中を窺って集会所の天井裏に降り立った。石造りの外装と違い、天井裏は木で組まれていた。
(……気づかれてないよな?)
 忍び足で天井裏を歩き、一階の様子が確認できる場所へ移動する。
 そこで翔が見たのは、武装集団に囲まれて大人しくしている生徒達と教師達。壇上で繰り広げられる武装集団と国王の護衛と思われる軍人達の激しい戦闘、険しい表情の国王らしき豪奢な衣類を身につけた男。そして――
(フリルッ!)

* * *

 集会所の壇上はすでに床に張られた木が吹き飛び、その下の石が露骨に顔を出していた。魔法が迸る激しい戦闘の余波は周囲の壁にも広がり、まるで台風に見舞われたように騒然としている。
「王よ、まだ抵抗するのか?」
 豪奢なマントを翻す国王の手前、女が鬱屈そうに国王を睨め付けていた。濃い赤に一滴の蒼を落としたような深い紫色の長い髪は何処までも艶やかで、切れ長の深紅の瞳は見る者を魅了するほど美しい。しかし、発せられた声は感情を一切感じさせない冷ややかなものだった。
「ぐ……ぬぅ……。き、貴様らは一体……」
「愚問だ。答える必要はない」
 兵士の一人が国王を守るべく両手を輝かせながら女目掛けて飛びかかる。両手を女へかざし、短い詠唱を終えてその手から凍てつく冷気が迸った。目に見えるほど冷えた冷気の刃が女へ迫る。
「言ったはずだ。……動けば殺す、と」
「ぐはっ!」
 気が付いた時、兵士の懐に夏の草木よりも深い緑色の髪をツインテールにした女の姿があった。背丈は低く、顔つきはアカデミーに通う生徒達よりも幼く見えるほど童顔。しかし、その灰色の瞳には喜怒哀楽のどれも感じられない。
 女の拳は兵士の腹を貫通し、背中から朱色に染まって飛び出していた。ボタボタと鮮血がしたたり落ち、兵士は嗚咽と悲鳴が混じり合った声を漏らしている。
「セフィリア。さっさと殺せ」
 迫る凍てつく冷気に左手をそっとかざし、見えない障壁を張る紫色の髪の女。たったそれだけで凄まじい冷気は周囲に霧散し、床に霜が降りる。セフィリアと呼ばれた女が腕を引き抜くと、兵士は力なく床に倒れ伏せた。もはや息はない。
「国王よ、これ以上犠牲を出したくないのであれば、我らの要求を受け入れろ」
「……要求?」
「我らが望むのはただ一つ。《グングニル》」
「――っ!?」
 国王が目を見開き、一歩後ろ足を引いた。すかさずセフィリアが国王の背後に回り込み、後方から首元を掴む。
「ぐはっ」
「この学園の地下に眠る封印の門。その先にある神槍グングニルは国王、貴様しか解呪できぬ呪詛で封じられているはずだ」
「ど、どうして……それを……」
 苦痛に表情を歪める国王にもう一人の女が歩み寄る。
「理由を知る必要はない。……早く封印を解け。さもなくば、一人ずつ学園の生徒を殺していく。最初は、貴様の姪、フリル=レン=ラファードだ」
 そう言って女は身を返し、壇上の端で愕然と推移を見つめていた三人の生徒、その真ん中にいる一人の女生徒を睨め付けた。睨まれた少女はビクンと体を硬直させ、微かに肩を震わせる。
「く、ぐ……。わ、我はこの国の王だ。いくら親族を人質に獲られようとも……悪に屈服するわけには……いかぬ!」
「そうか。……殺せ、ルナティス」
 セフィリアが国王の喉元を一層強く握りながらもう一人の女に言い放つ。ルナティスと呼ばれた女は両手を少女へかざし、小さく魔法の詠唱を開始する。
 ルナティスの両手がバチバチと唸りだし、大気が振動し始める。少女はガクガクと震える体を律するかのようにキュッと唇を噛みしめた。薄紅色の柔らかな唇が裂け、血が滲み出る。それで恐怖を押し殺したのか、少女は素早い詠唱で魔法を紡ぎ、両手をルナティスへかざした。
 その瞬間、少女の両手から紅蓮の業火が巻き起こった。凄まじい轟音と爆風を生み出しながら、炎がルナティスに迫る。
「――っ!?」
 油断していたせいか、ルナティスの判断が一瞬遅れる。しかし、そんな驚きの表情も瞬く間に元の無表情に戻り、ルナティスは迫る炎に対して詠唱を終えた雷撃を迸らせる。
 互いに実体のないエネルギー同士がぶつかり、凄まじい爆発が起こる。その衝撃で怯んだ少女目掛け、ルナティスは間合いを詰めていた。その手には、鋭い短刀が握られている。
「あっ……」
 少女の声。このアカデミーに通う生徒の大半は魔法による戦闘経験しかない。それも演習という題目で死とは無縁の戦いのみ。本当の戦いにおいて、いかに相手を倒すかという術を、少女が知る由もない。
 すでにルナティスは少女のすぐ目の前まで迫っていた。詠唱は間に合わない。逃げようにも体が恐怖で凍り付いて動かない。
 背後に迫る絶対の死。震える体、開ききった瞳孔、渇いた喉、流れる冷や汗。
 間違いなく死ぬ――少女がそう思った時だった。
「はああああっ!」
「――ぐっ!?」
 黒い影が天井より舞い降り、手に持った木の棒で迫るルナティスの肩口を強打した。ルナティスが後退し、少女の視界に見覚えのある黒髪、見慣れた大きな背中が映し出される。
 それは――
「カケル!」
 少女は初めて、少年の名前を口にしていた。

* * *

 気が付いた時、翔は木の棒を手に壇上へ飛び降りていた。フリルが危ないと感じた瞬間、無意識に天井裏から飛び降りていたのだ。
(……俺もつくづく馬鹿だな)
 自分自身に呆れながら、翔は不意の一撃を喰らわせた相手を睨め付ける。天井裏にあった丁度良い長さの木の棒を両手で握り、全体重を付加した強烈な一撃を叩き込んだにも関わらず、女はすぐさま身を引いて後方へ跳ねていた。あまり効いていないようだ。
 女は間合いを開け、翔を見て驚いたように目を見開いていた。翔は竦む足にグッと力を込めて律し、
「はっ。そんなに黒髪が珍しいか?」
 と、恐怖に押し負けそうな感情を殺して強気に言い放つ。後の事なんて全く考えてない。
「……く、黒髪? な、何者だ貴様……」
 国王らしき男を取り押さえている女が翔に問う。チラッと周囲を見渡すと、すでに国王側の兵士はゼロ。翔は向かいに二人の女、そして後方には数十の武装した敵がいることに気づき、絶望の度合いが加速していく。どう考えても打破できる状況じゃない。
「……フリル、出しゃばったはいいが、どうやら何も出来そうにない」
「はぁっ?」
 背を向けたまま、背後のフリルに言ってみたところ、フリルは返す言葉もないのか、間の抜けた声を漏らした。無理もない。こんな馬鹿、そうそう居るもんじゃない。
「馬っ鹿じゃないの!? 助ける手だてがないんだったら教室で大人しくしてなさいよ!」
「ああ。そうしてりゃよかった。後悔してる」
 そう言いながら、翔は木の棒を強く握りしめる。敵も翔の正体がわからず臆しているのか、なかなか攻撃してこない。
「ちっ、こんな意味不明な世界で死ぬのなんかまっぴらなんだがな……」
 ここで死んだら、目が覚めて元居た世界にいるなんてことはないだろうかなんて考えてしまう。情けない。
(死ぬ気なんてない。……そんなの、決まってるだろ!)
 自分は無力だ。けど、無力であってはならない。自分は魔法が使えない。だから負けるだろう。だが、負けてはならない。何故なら、自分の死が自分が守ろうとしてる少女の死に繋がるからだ。
「名乗らぬか……。なら、死ね!」
 女が両手を翔に向ける。死が近づく。
「フリル、お前は強化魔法とかいうの使えねーのか?」
「え? ……きょ、強化魔法はあたしの専門じゃないわ!」
「……何でもいい。援護できるんだったら、何かしろっ!」
 そう言って翔は突進した。意表を突かれたといった顔で、女がとっさに詠唱を止めて短刀を持ち直す。
「はああああっ!」
 木の棒を木刀に見立て、横に振る。所詮は平和な現代で培った剣術だが、今は天地流を信じて剣を振るうしかない。
 ――が、信じた天地流は互いのエモノが同じだった時にのみ有効だったという事を思い出す。気が付いた時、翔の手に握られていた木の棒は女が取り出した短刀の刃によって真っ二つに寸断されていた。
「ちぃっ!」
「ば、馬鹿! そんな木の棒で何とかなるわけないでしょ!」
「……だな。くそ、銃刀法違反だぞアレは!」
 そう言いながら再度女に迫る。間合いを開けて魔法なんぞ喰らった暁には絶対の死が待っている。幸い、女の詠唱はフリルに比べて格段に遅い。武術大会の時はフリルの詠唱がアホみたいに早かったから間合いを開けざるを得なかったが、今は違う。
「うおおおおっ!」
 翔は咆えながら、半分になった木の棒を握りしめたまま拳を振るう。女は翔の攻撃をかわしつつ短刀で斬りつけてくるので、必死にそれをかわしながら攻撃の手を休めない。
(どうすればいい? どうすれば……)
 焦る気持ちを抑えて必死に思考を巡らせる。相手は確かに戦い慣れているようだが、スピードや体の捌き方は圧倒的に翔の方が上手い。この世界の人間は、どうやら近接戦闘をあまり得意としてないようだ。魔法が使えるからだろう。
 女の顔に疲れの色が滲み始める。このまま翻弄し続ければ、やがて体力も尽きるんじゃないだろうかと考えた時――
「――っ!? ぐはっ!」
 突如、後方で国王の首を絞めていた小柄な女が飛び出し、一瞬にして翔の懐に入り込んできた。とっさに両手をクロスしてガードしたものの、女の正拳突きをもろに喰らい、翔の体は宙を舞って後方へ吹き飛ばされる。
「……ルナティス、こいつは私が殺す。お前は国王にグングニルの封印を解かせろ」
「わかった」
 翔が先ほどまで対峙していた相手、ルナティスと呼ばれた女が翔を一瞥した後国王の元へ歩み寄る。国王はルナティスを睨みながら歯を食いしばっていた。
 翔は体を起こして体勢を整える。先ほどの動きを見る限り、目の前にいる女は強化魔法で身体能力を強化しているようだった。
(くそ、さっきのスピードは人間業じゃねぇ……。それにあのパワーも……)
 女の拳を受けた部分の腕がズキズキと痛む。華奢な女の一撃だというのに、硬球の死球を喰らったぐらい衝撃があった。
「カケル! 避けてっ!」
「……っ!」
 突然、背後のフリルが声を張り上げた。頭で理解するよりも先に体が動いており、翔は左に飛び退いた。
 瞬間、翔の脇を凄まじい業火が通過していく。真っ直ぐに女目掛けて飛んでいくそれは、もはや何度喰らったかわからないフリルお得意の炎魔法だった。
「フン、その程度の攻撃魔法……」
 女は避けようともせず、両手を前面にかざした。その手が仄かに輝き、シールドのような半透明の障壁が女の前に現れる。フリルの炎はかき消される、そう直感した時、翔はすでに飛び出していた。
「はああああっ!」
「――なっ!」
 咆えた瞬間、翔の体は光よりも早く加速していた。あまりに一瞬のことで翔自身認識が遅れたが、ハッとした時には女の身がすぐ目の前にあった。まだ、フリルの炎すら女に当たっていない。
 もはや何がどうなってるか考えることが出来ない。ただがむしゃらに、寸断されて短くなった木の棒を振り下ろす。
「だあああああっ!」
「な、なにっ!」
 木の棒が虚空に描く一線。剣先は女の身に届かなかったが、女が驚愕の声を貰した。それもそのはず、翔が斬ったのは女の体ではなくその前に展開されていたシールドだったからだ。
「あああああっ!」
 唖然とする翔と女。直後、女が悲痛な叫びを上げてフリルの業火に飲み込まれた。翔によって裂かれたシールドの合間から炎が女の全身に襲いかかり、女が身に纏っていた衣類が次々と焦げ墜ちる。
「セフィリアッ!」
 後方のルナティスが叫ぶ。しかし、セフィリアと呼ばれた、フリルの魔法を受けた女はグラッとよろめき、そのままドサッと床に倒れ伏せた。流石フリルの魔法、こんなのを毎日喰らっていたのかと、今更ながらゾッとする。
(た、倒したのか? それに、今のは……?)
 目の前に倒れたセフィリアを見つめながら、翔は逡巡する。無我夢中で斬りつけた一撃はセフィリアに届いていなかった。しかしそれは相手の障壁をぶち破り、結果としてフリルの攻撃を当てるために一役買った。
 それだけじゃない。フリルの魔法は凄まじい早さでセフィリアに迫っていたのだ。にもかかわらず、後から飛び出した翔の体は一瞬にして追いつき、女の障壁で炎がかき消える前に攻撃していたのだ。考えれば考えるほど、何がどうなってるかわからない。
 しかし考えている暇などなかった。相手はまだ目の前に一人、後方に腐るほど居る。
「サンキュ、フリル。……やっぱお前の魔法は凄いな」
 取りあえず、セフィリアを倒したのはフリルの魔法のお陰だ。今回ばかりは素直に礼を言ってもいいだろう。
「お、お礼なんていいわよ! そ、それより、気を抜かないで!」
「そうだな」
 聞けばフリルの声は震えていた。無理もない。さんざん攻撃魔法を翔に喰らわせてきたとはいえ、それは本気の一撃ではない。しかし、先ほどの攻撃は違う。放った炎は敵を包み、その身を朱色に染め上げる破壊の術。命を奪わんとする一撃だったのだ。本当の戦闘を知らない少女にとって、それはあまりに重い一撃だったのではないだろうか。
(……これ以上フリルに人間をやらせるわけにはいかねぇな)
 唖然とするルナティスを睨め付けながら、そんなことを考える。翔とて人間相手に本気で拳を振るったことなどない。竹刀や木刀で斬りつけたことなど無い。フリル同様、躊躇し恐怖しているのだ。だが、だからといってやめるわけにはいかない。
 もはや背中はぐっしょり汗で濡れていた。伸びてきた髪もしっとりと肌に張り付き、気持ち悪いことこの上ない。おそらくそれはフリルも一緒だろう。ヴァイルやグラッティ、シェミニやハルルだって、集会所の何処かで同じように恐怖を感じているかもしれない。
「く、神光臨のため、ここで退くわけにはいかない!」
 翔があれこれ考えていると、ルナティスが凄まじい気迫と共に両手をかざした。ハッとする間もなく詠唱を始め、翔は反射的に飛び出す。
 ルナティスの手に凄まじい雷光が煌めく。バチバチと雷鳴を唸らせ、周囲に強力な地場が発生し、空間が歪むような錯覚を覚えた。
「させるかぁぁぁっ!」
「はあああっ!」
 凄まじい雷撃弾が真正面より翔に迫る。翔はとっさに体を沈め、スライディングしながら雷撃の下をすり抜ける。頭上を凄まじいエネルギーが過ぎ、黒髪が少しだけ焼き焦げた。
「な――っ!」
「喰らいやがれぇぇぇっ!」
 腰を落とした体勢のままルナティスの懐に潜り込み、翔は渾身の一撃をその腹部に叩き込む。
「あああああっ!」
 ルナティスの体が宙に舞い、その口から少量の血が飛散する。そのまま力なく大地へ墜ちたルナティスは、気を失って動かなくなった。
(や、やったのか……?)
 そう思いながら、安堵に包まれそうな時――
「くうぅぅっ!」
 後方からフリルの苦しそうな嗚咽が聞こえた。ハッと振り返ると、フリルが先ほどの凄まじい雷撃弾を必死にシールドで防いでいた。
「フリルッ!」
 術者が倒れたというのに、雷撃弾は全く威力が衰えない。攻撃魔法は得意なくせに、防御魔法はあまり得意ではないのか、シールドを張っているフリルはかなり辛そうだった。
 徐々に雷光弾がシールドにめり込んでいく。ピシッピシッと、硝子にヒビが入るような音が零れ始め、徐々にシールドの色が透明に近づいていった。
「く、くそっ!」
 駆け出す。どうしてそんな気になったのか、翔は体の動くまま、フリルへ駆け出していた。
(何をする――?)
 もはや思考はデタラメだ。考えて行動していない。勝手に動く体に、意識を任せる。
(何がしたい――?)
 魔法などという意味不明な力、翔にはどうしようもない。でも、それでも、体が勝手に動くのだ。それこそどうしようもない。
「フリルーッ!」
「なっ、カ、カケル?」
 翔は障壁とフリルの合間に側面から割り込み、フリルを正面から抱きしめた。途端、パリンという衝撃音が響き、フリルの張っていた障壁が跡形もなく霧散した。そして、雷撃弾が翔の身に襲いかかる。
(ああ……、死んだな……)
 そう思った。絶対に死ぬ、と。最後にフリルの顔でもゆっくり眺めるか、と自分の腕の中にいる愛らしい少女を見つめる。
 フリルは震えていた。眉を顰め、悲しいのか寂しいのか、困っているのか迷っているのか、よくわからない表情を浮かべていた。最後なんだから、笑っていて欲しかった。
 そっと目を細め、フリルの顔を凝視する。澄んだ蒼い瞳は宝石以上に煌めいており、しっとりと濡れていた。そして柔らかそうなピンクの唇。すべては、あの唇が始まりだったような気がする。
 事故とはいえ、この世界に迷い込んできた時に触れあってしまったあの唇。武術大会で手が出せなかったのも、こうして自分は無力だと知りながらも飛び出してしまったのはすべて、あの唇に自分の唇が触れてしまったからだろう。
(は……。馬鹿だな、俺……)
 瞳を閉じる。そして次の瞬間、凄まじい衝撃が翔の身に襲いかか――
「……?」
 ――らなかった。ピカッと、一瞬翔の胸元から眩い光が迸ったかと思うと、それは光のカーテンとなって翔を包み込み、雷撃弾はそのカーテンに阻まれて虚空に消え去った。
 閃光に続き、ピシッという音。それを最後に、周囲に静寂が戻った。
「……カケル?」
 不思議そうにフリルが翔を見つめる。何だ、何がどうなったんだ。
 意味もわからず固まっていると、集会所が騒がしくなった。壇上から見つめると、リーダー格が倒れたためか、武装集団が急にうろたえ始めていた。
 それを好機ととらえたのか、国王が無事な臣下に檄を飛ばし、傷の浅い兵士達が武装集団に反撃を始める。ルーレシア先生達、アカデミーの教師もそれに加わり、先生の指示のもと、生徒達も傷ついた兵士の治療や強化魔法を紡ぐ。
 一瞬にして形勢は逆転し、武装集団の連中は次々と拘束されていく。翔とフリルは壇上で呆然とその様子を見つめていた。
「カケル君!」
「フリル、大丈夫?」
 壇上でフリルと抱き合ったまま固まっていると、ヴァイルとグラッティが駆け寄ってきた。二人とも無事そうで、少しばかり安心する。
 それに続いてシェミニとハルルが集まってきた。いつの間にか、この二人も翔にとってそばに居るのが当たり前な友人となっている。
「とっころでぇー、カケル君さ、いつまでフリルをギュッギュしてるつもりなのん?」
「は……? う、うあっ」
 言われて初めて、翔はフリルを強く抱きしめたままだったことを思い出す。気付けばフリルの顔は怒ったような表情になって翔を睨んでいた。
 とっさに飛び退き、「悪かった」と、小声で謝る。フリルは何も言わなかった。
「でもよかった、二人とも無事そうで」
「あ、ああ……。お前らも怪我なさそうだな」
「大人しくしてたから」
 翔が四人を見回しながら言うと、ハルルが小さくそう答えた。
「そっれよりさー、カケル君、きみはほんっとすごい事したわね! もうさ、フリルのピンチに颯爽と登場して、バッタバッタ敵をなぎ倒して、すんごい魔法も一瞬にして防ぐなんて、超すごすぎー!」
 シェミニが興奮冷め切らぬといった感じで声を踊らせる。
(そ、そうだ、最後のあれ、もしかして……)
「どうしたの?」
 急に胸ぐらを漁り始めた翔に、グラッティが不思議そうに尋ねた。翔は胸元から、小綺麗なネックレスを引き出す。
「あ、それ……」
 フリルがつぶやく。そう、そのネックレスはルーレシア先生がフリルの魔法対策として翔にくれたものだった。ネックレスに埋め込まれた宝石には、大きなヒビが入っていた。
「そうか。これがあの攻撃を防いでくれたのか」
「防魔の宝珠。効果、装備者に迫る攻撃魔法を一度だけ無効化し、受けた魔力を記憶する」
「なーんだ、最後のアレ、カケル君のミラクルじゃなかったのねん。残念」
 何だミラクルって、とツッコミたいところを自制し、翔はネックレスを服の中に戻した。一度防いだため、もはや効果はないだろうが、今後もお守り代わりとして持っていてもいいと思った。
 ネックレスだけで、翔の身に起こったすべての意味不明が解明させるわけではない。しかし、この世界において理屈を考えるのは不毛だ。この世界には翔が元居た世界とは違う理屈がある。きっと、その何かが作用したのだろう。そう、考えることにする。

* * *

「うぅ、遅かったです。あの少年のパラメータが改変して特異発現しちゃったですぅ」
 へなっと、青白いラインが縦横無尽に駆けめぐる床に腰を落とす銀髪の少女。頭上のリングはもはや点灯していな――
「こ、こんなことではへこたれないのです!」
 ……再びピカッと点灯する。
「まだまだ可能性は残されてるです。アドレスが完全に固定されるまでまだ時間はあるです。修正プログラムも最後のサブルーチンさえ構築できれば、いつでも起動可能です」
 グッと拳を握りしめ、少女はすっくと立ち上がった。背中から伸びる純白の翼をバサッと広げ、漆黒の空間に仄かな輝きを帯びた羽根が舞う。
「現在のアドレスは7Aのa8f0。元のアドレスは6Aの4cb2。個体識別ハンドルは……、テンチカケル……」
 少女は瞳を閉じ、両手を床に向けて小さく言葉を紡いでいく。その体は光に包まれ、風もないのに銀髪がゆらゆらとゆらめく。
 時が止まっているように静かな空間に、少女の言葉が歌声のように響いていった。

* * *

 何が何だかわからぬまま、アカデミーに平穏が訪れた。
 いや、実際は色々あった。まず、翔の存在が知られたため、国王の側近達にあれこれ質問を受けた。取りあえずルーレシア先生に言われたとおりの嘘を突き通したが、みんな怪訝そうに翔を見つめていた。
 無理もない。いきなり登場して、本人でもビックリするほど活躍してしまったのだから。本来なら出オチ同然に一瞬で幕が下りるはずだったのだが、意味不明な事象の連発であれよあれよという間にヒーローになっていたのだ。
 非公式ではあるが国王より勲章を授与され、ジジイやルーレシア先生には過多すぎる賞賛の言葉を受けた。まあ、褒められて嫌な気分になることはないが。
 あっちこっち引きずり回された後、ようやくフリルの家に戻ってきた翔に、今度はエリカさんとユリカちゃんが聞いてるこちらがこっ恥ずかしくなるような言葉で出迎えてくれた。夕食の準備もエリカさんがしていてくれたらしく、その日は翔の仕事をすべて二人が受け持ってくれた。
 ただ気になったのはフリルの態度だった。どうもあの後から、よそよそしいというか、怪訝そうというか、半分上の空だった。あんな事があったわけだから、まだ恐怖が完全に抜けきってないのかもしれない。
 使用人用の個室にある簡易ベッドに横たわり、翔は天井を見上げて逡巡する。
(何か、色々ありすぎてまだ実感がない)
 いきなり学園を襲った連中が何者なのか、その目的は何だったのかすら、翔にはわからない。この世界では、今日みたいな事は日常茶飯事なのだろうか。
 それなら国王だってもっと多くの護衛をつけるはずだ。つまり、完全に不測の事態だったのだろう。
(あの二人、なんか、冷たい感じだったよな)
 敵として対峙し、打ち勝った二人の女。歳は姉さんと同じくらいに見えた。そんな人が、人を殺すのに何の躊躇も見せず、背筋が凍るほど冷たい目で射抜いてきたのだ。思い出すだけで、血の気が引いていく。
 あの二人を含め、学園を襲った連中は駆けつけた援軍によって拘束され、すでに学園の敷地外に連行されていった。きっとこれから、正体を暴くために拷問などを受けるのだろうと容易に想像できた。
「ま、俺には関係ねぇや。……考えてもどーせ答えでねぇし」
 翔は独り言ちて瞳を閉じる。そして脳裏に浮かぶのはフリルの顔。あの時、翔の腕の中で子ウサギのように体を震わせて弱々しい表情を浮かべていたフリルは、男なら誰しも護ってやりたくなるようなか弱い少女だった。
(……俺は馬鹿だ)
 このままじゃ、どんどんこの世界に引きずり込まれてしまう気がした。元居た世界に戻れるかどうかわからないが、今のままではいざその時が来た時に未練がましくこの世界に留まりたいと願ってしまうかもしれない。
 元居た世界では両親に姉妹、学友に先輩後輩、多くの人間が翔のことを心配してるかもしれない。帰れるのなら、帰らないわけにはいなかい。
 寝返りを打って、左腕の上に頭を乗せる。壁側に顔を向け、いきなり扉を開かれても表情が見えないように。
(もし、神様が居るなら、……いや、もし俺をこの世界に連れてきた奴がいるなら……)
 翔はグッと唇を噛みしめる。
(居場所が出来る前に、さっさと元の世界に帰らせてくれ……)
 もはや手遅れかもしれない。けど、そう願わずには居られない。翔は、この世界の住民ではないのだから。
(俺……は……)
 翔の意識は遠のいていった。
 静寂に埋もれ、闇に沈むよう、翔の今日が過ぎていく。きっとまた明日、喧噪に包まれた朝が来て、我が侭で高慢ちきな女にあれこれ命令されるのだろう。
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