<カリウム> |
透析を始めてしまえば、透析装置「ダイアライザー」が、 溜まってしまうカリウムを濾過してくれますから、まあ良いのですが、 シャントが終わり、いったん退院した患者さんが、 大変な苦労をするのが、カリウムというミネラルです。 体内のカリウムが、ある一定量を超えると、 心臓を突然止めてしまいますから、一番怖い「栄養素」です。 このカリウムは野菜や果物や海草に多く、 ナトリウムの調整もしますから、もっとも健康食品に使われます。 青汁、昆布、しいたけ類、果物など、健康に良い食べ物として知られていますが 腎臓機能が悪化した人には、突然猛毒に変貌します。 この常識を覆すのはなかなかに大変で、食事を作るとき、知らないうちに間違いを犯してしまいます。 まずカリウムを減らすことから始めると、腎臓病患者の食事を理解しやすいと思います。 これは透析中の人もまったく一緒です。 コツを掴んでしまえば、ご家族の人も簡単に料理できますから、覚えてしまいましょう。 私の奥さんが探し出してきた本が、一番便利でした。 主婦の友社「腎臓病の人のための、早わかり食品分析表」です。 一品ずつの分析値もわかり易いですが、付録としてついている 野菜とか果物、肉類の、少ない順に並べて書いてあるのを見ると、大体様子が掴めます。 ただ、ひとつひとつを気にし過ぎますと、食べるものがなくなってしまいます。 そこで私が編み出して、血液検査でも好結果を出している方法をお知らせします。 とにかく、なんでも「茹でこぼし」をしてしまいます。 キャベツ、レタス、大根、にんじん、ジャガイモ、玉ねぎなど、すべて5分茹でました。 肉類も、魚介類も、ありとあらゆるものを「茹でこぼし」 しておきます。 私はこれらの素材を、ジプロックのパックに一品目ごとに詰め、一旦冷蔵庫にしまいます。 それを「サラダ」としてそのまま「マイドレッシング」で食べるも良し、 炒めたり、煮たり、味噌汁の具として、使いこなします。 全部買ってきた時に処理しておくと、料理する時にはそのまま使えますから、 かえって料理は短時間で、簡単に出来ます。 つい冷蔵庫で腐らせてしまうことも、なくなりました。 これさえやっておけば、悩むことなく「カリウム」問題はクリアー出来ました。 果物だけは、要注意です。 基本的には、茹でたもの、つまり「フルーツ缶詰」と覚えておいてください。 ただし「シロップ」にはカリウムが溶け出しているので、捨てるしかありません。 もちろん茹でこぼしをした食べ物を食べていれば、 月に1回くらいはイチゴ、ぶどうなど2粒はいけますよ。 「茹でただけの素材」が,なまじ味付けした「料理」よりおいしく、 毎日同じものなのに、飽きないことに驚くでしょう。 現代の人間は、食いすぎと、料理のし過ぎであったことに、気が付くでしょう。 「病める者は幸いである」は、本当です。 透析をきっかけとして、さまざまなことを教えていただけるのですから。 |
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