Parker Duofold Quality

(通称 "Parker DQ" )

1926年〜販売


 

 
       


 1920年代になってパーカーは、1921年の
「Duofold Pen、翌年には「Duofold Junior Penの製造販売が開始された。「Duofold」の開発でインクの貯嚢量が多くなった。また、材質のベークライトによる黒 色からの色付きの万年筆へ進化した。材質もこれまでより丈夫なものとなったことなどから人気も出てきた。しかし、当時、この万年筆の販売価格は高価であったために、売れ行きが今ひとつ伸びなかった。
 そこで、Parker社は
1920 年代中後期になって、安価な万年筆の種類を市場に出すことになった。これにより、高価な「Duofold  Line」の売れ筋を刺激する策に出たのである。この策が見事に的中し、「Duofold」の人気は一層高まり大成功を収めたのである。
 この試みに製造販売された最初の万年筆が、
1926年の黒い「Duofold Quality」通称で「DQ」とよばれるものであった。この当時Duofold」の定価は7$であったことから、この低価格の万年筆は半値の3.5$であったと言われている。この「DQ」万年筆
に引き続いて、パステル風のLineの
「True Blue Pens」や、「Streamlined Duofold 」などが製造されたのである。
 

       
  「ワッシャークリップ」   「エボナイトの天冠」   「」  
 


 これらの万年筆のデザインは、
1910年代の製品であった「
Jack  Nife  Safety  Pen」の最終版(1917年頃の製造)のデザインを受け継いでいる。(当然「Duofold」にも受け継がれている。)黒い天冠、ワッシャークリップはクラッシクで、シンプルな感じがする万年筆であった。これが何時までも飽きのこない落ち着いたデザインであることから、人気が出たのである。
 キャップを閉じた状態で全長は約130mm、尻軸にはめた状態では160mmである。これは通常の大人の手に程よい長さである。軸の太さは、キャップで12mm(胴軸で10mm)とやや細めである。
 

 
       
  「ボタンフィラー」   「全長130mm」   「LUCKY CURVEのインプリント」  

 インクフィラーはボタンフィラーでインク吸入は
Duofold」に比べれば細身である分少なめである。ペン芯は通称「クリスマスツリー」といわれる形のものが採用されている。胴軸には、「Parker "DQ"」と「LUCKY CURVE}とリボンの絵柄の中にインプリントされている。Nibは「PARKER  PEN  MADE  IN  U.S.A 7」とあり、Duofold」のNibのようなDuofoldの文字は彫り込まれていない。
 オープンNibのこの万年筆の書き味は
、しなやかで、一見とても柔らかく感じるが腰があり、日本語には格好のペン先であると感じた。
 1920年代の "DQ" ペンは、あまり市場に出てこない万年筆である。それは、低価格であったために雑な取り扱いをされたためか、使いきってしまったのであろう。少し淋しい思いがしてならない。
 
「当時のDuofoldの広告」