2010年9月11日に、種子島宇宙センターから宇宙ステーション(ISS)へ物資を運ぶ無人補給機(HTV)を搭載した国産H-IIBロケットが打ち上げに成功した。今後HTVは、米スペースシャトルの退役後、ISSへ大型機材を運べる唯一の手段になる見込みです。
今回、H-IIBの軽量化のために、摩擦熱で金属を軟化して溶接する新技術を初めて導入した。導入された技術はFSW(Friction
Stir Welding・摩擦攪拌接合)とFPW(Friction
Plug Welding・摩擦プラグ接合)である。
FSWは突起工具を回転させながら接合部に押し当て、摩擦による発熱で軟化させながら攪拌して接合する技術でありロケットタンクの円周部やドーム部の接合に利用される。品質の安定や接合の高速化といった特徴があり、鉄道や船舶をはじめ多くの産業界で既に適用が進んでいる。
ただ、この接合方法では接合の最終プロセスにおいて押し付けている突起工具を抜く必要があり、工具を抜く際に穴が発生する。よって、この穴欠陥を埋める必要があるのだが、この穴埋めにFSWと同じく摩擦熱を利用してプラグ(栓)を接合し完全に穴埋め修復します。この技術はFPWと呼ばれ、日東制機はこのFPW装置を設計・製作し三菱重工業株式会社殿
飛島工場(愛知県飛島村)へ納入しました。
なお、将来H-IIBロケットは、商業衛星打ち上げへの利用も計画されており、FSWやFPWといった摩擦熱で金属を軟化して溶接する新技術は、今後の日本の宇宙開発・航空機産業をはじめあらゆる方面で技術発展に大きな貢献をもたらすと期待されます。 |
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FPWの定義 |
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FPW工法 |
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資料提供:三菱重工業株式会社殿
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