●『数理パズル』っていう言葉を知っていますか?
パズルというと、真っ先に「ジグソーパズル」を思い浮かべる人が多いと思います。
また最近ブームだったので、クロスワードやナンバークロス、ナンバープレース(別名数独)、お絵かきロジックなどを思い浮かべた方もいらっしゃるでしょう。
その手のパズル雑誌はたくさん出ていますからね。
『数理パズル』というのは、その名が示すとおり、「数の理(ことわり)の上に立っているパズル」、またもっと広く「数学の上に立っているパズル」と言うことが出来ます。
例えば、“15パズル”。
これは「スライディングブロックパズル」と呼ばれる数理パズルの一種であり、その典型的且つ抽象的な例です。
色々なバリエーションのものが市販されています。
例えば、“ハンガリアンキューブ”(別名「ルー○ックキューブ」と言いますがそれは商品名なので控えさせていただきます)。
これも典型的な、そして象徴的な数理パズルです。
上記に挙げた中では、「ナンバープレース」は数理パズルということが出来ます。
また「お絵かきロジック」も数理パズルと言ってもいいかもしれません。
また"数"乃至"形"を扱うという点で、見様によってはすべてのパズルは数理パズルと言えるかもしれません。
●“タングラム”とは?
右の図を見てください。
あなたもこの形、一度は見たことがあるのではないでしょうか?
正方形が、2つの大きな3角形、1つの中くらいの三角形、2つの小さな三角形と、
正方形、平行四辺形の、合計7つの図形に分割されています。
これが“タングラム”です。
タングラムは「分割パズル(カッティングパズル)」と呼ばれる“数理パズル”の一種です。
「分割パズル」とは、ある形の板(乃至ブロック)を幾つかに分割して組み直し、別の形を作るパズルの総称です。
タングラムの発祥の地は中国で、ゆえに別名“チャイニーズパズル”とも呼ばれています。
歴史は古く、紀元前2000年頃にまでさかのぼる世界最古の分割パズルだ、と言うデマが流れたこともありますが、実際には発祥は18世紀末であろうと言われています。
因みに中国では「七巧図(チ・チャオ・ツ)」と呼ばれています。
これは「7つの巧みな設計図」とでもいう意味でしょう。
●“タングラム”は「答えのないパズル」!
タングラムは、幾何学図形を扱うパズルなので、明らかに数理パズルです。
でも今まで挙げてきたパズルとは、どこか違うと思いませんか?
そうです。タングラムには「答えがない!」のです。
もっと正確に言うと、「一つに定まった答えがない」、つまり「答えが無数にある」ということです。
例えば、ジグソーパズル。
形を組み合わせるという点ではタングラムとよく似ていますが、答えは、ただ一つしかありません。
例えば、ペントミノなどの箱詰めパズル。
これも形を組み合わせて決められた空間に納めるパズルですが、答えは一つではない場合もありますが、少なくとも限られた答えしかありません。
ところが。
タングラムには答えがいくらでもあります。
尤も、シルエットを示して「こういう形を作れ」という問題にすれば答えは限られますが、その「シルエット」が、いくらでも存在するのです。
そしてタングラムの素晴らしい所は、作られるシルエットがなにかの形にみえる、ということです。
これだとどうして素晴らしいか分からないかもしれないので言い換えると、「どんな形(に見えるもの)も作ることができる!」ということなのです。
男の人、女の人、動物、植物、乗り物、建造物から、身近な小物まで、実に様々なものを作ることができるのです。
●“タングラム”で遊ぼう!
タングラムを作るのは簡単です。
右の図をプリントアウトして、線にそって7つに切ればいいのです。
ただし普通の紙ではぺらぺらで扱いにくいので、厚紙やダンボールなどに図を書き写してそれで作るといいでしょう。
もし可能ならば、厚めの木の板(一枚板)を糸のこで切って作るとなおいいと思います。
大きさもあまり小さくても大きくても扱いにくいですから、一辺が10〜15cmくらいになるように拡大するとやりやすいと思います。
なお、大型玩具店や、パズルコーナーのある百貨店などで、市販のタングラムのセットが手に入ります。
主な製品を挙げておきます:
- TANGRAM SILHOUETTE PUZZLE(知恵の板タングラム)(はなやま玩具/\1,000)(木製)
- タングラム(はなやま玩具/\980)(金属製:金・銀の2色)
- ラッキーパズル&タングラム(はなやま玩具/\680)(マグネット製:携帯用)
- 木製タングラム(平和工業/\300)(木製:袋入り、持ち運びに便利)
(追記(2002/10/14):最近では、100円ショップにもタングラムが置いてあります。
板が反っているなど、品質は余りよくありませんが……。)
さぁ、タングラムの準備は出来ましたか?
次のページから、タングラムのシルエット問題が始まります。
今用意したタングラムを使って、これらのシルエットにあうように並べ替えてみてください。
答えは(一部を除いて)どこにも記してありません。
中には難しい問題もありますが、大いに悩んでください。
今後もどんどん問題(シルエット)を増やしていきたいと考えています。
皆さんも、ご自分で想像力を働かせてもっともっと色々なカタチを作ってみましょう。
いいカタチが出来たら、教えてくださいね。
1998.11 -> 2002.10 あんちもん2
●“タングラム”情報発信基地始動!?
Tangran Base Station というブログの運営を開始しました。
@nifty提供のココログというサービスを利用しています。
本業多忙のため、週に1回、休日くらいにしか更新できないというブログらしからぬ体たらくですが、毎回 SVG 形式のタングラムシルエットを掲載しています。
よろしければこちらも覗きに来てください。
2004.01 あんちもん2